監督:阪元裕吾
主演:水石亜飛夢、松本卓也、伊能昌幸、大坂健太、鈴木まゆ、秋乃ゆに、一ノ瀬ワタル
 

「ファミリー☆ウォーズ」などで、バイオレンス映画の新たな名手として注目を集める阪元裕吾監督によるハードボイルドアクション。

レンタカーでキャンプ場へ向かう優希ら8人の若者たち。その途中、山の中で車がパンクしてしまい、携帯電話の電波も繋がらず、助けを求めて歩き始める。トンネルを抜けてたどり着いたのは、包丁が頭に刺さった案山子がある奇妙な村・龍切村だった。馬に乗って現れた老人は車を直してくれると話し、優希たちを自宅へ招く。老人の家では3人の女性が律儀に出迎えてくれ、夕食や布団まで用意されていた。老人の半ば強引な誘いでその夜は泊まることになるが、翌朝、外の音で目を覚ました優希は、不思議なお面を被った村人たちが外を練り歩く姿を目撃する。

出演は「魔進戦隊キラメイジャー」の水石亜飛夢、「エンボク」の秋乃ゆに、「宮本から君へ」の一ノ瀬ワタル。(映画.com)

 

2021年製作/66分/PG12/日本
配給:ラビットハウス
劇場公開日:2021年9月24日

 

痛快リベンジャーズ 

 

予備知識は公式の情報くらいしか入れずに鑑賞。
これが大正解だった。
 
阪元監督作品には「ベイビーわるきゅーれ」以来ハマっていて、
何作かは見たけど、
これはこれで面白いアプローチだった。
 

  グッと来た点

 

①ホラーどころかリベンジもの
 
観賞前の印象はホラーテイスト満載のスプラッター系の話かと思っていて、
狂った村で次々に人が殺されていく話だと思っていた。

実際、前半30分まではそういう話。
 
冒頭の携帯電話で見せるシーンでは、
若者の悪乗りが映し出され、
生々しいキスシーンもあり、
あーこれはこいつら殺されるわと思っていたら、
案の定、浮かれまくっていた若者4人が犠牲になる。
 
しかし。
後半30分で別の物語に切り替わる。
 
実は村に来たメンバーの中に、
この村の人間を全員を皆殺しにする目的を持った奴がいるという設定が裏にあったのだ。
 
ということで、
ホラーテイストかと思っていたら一変、
アホみたいな慣習を持つ村の全滅を目的とした、
リベンジアクションムービーへと変わっていく。
 
前半は村人に押されていた若者チームだったが、
後半では村人を次々に殺害し、
村を壊滅に追い込むこの逆転が痛快だった。
 
 
②ナチュラルな会話
 
大坂健太演じる、
谷村睦夫という銃をもったメンバーのボソッというセリフがいい。
 
普通の会話で言いそうなニュアンスのセリフなんだけど、
セリフっぽくなくて、
この映画に良いスパイスを与えていた。
 
また、リベンジ組が村人に対して全く物怖じしていないのも良かった。
村人がどんなに怯えさせようとも、
 
「いけるっしょ」
「余裕余裕」
 
といった感じで、全く村人と向き合わずボコボコにし、
最後は何の躊躇もなく射殺するといった具合だ。
 
この辺りの言葉選びはうまく、
脚本の阪元監督のセンスが光っていた。
 
 
③66分という割り切り
 
1時間で終わるというこの割り切りが良い。
 
余計な所は一切省いて、
若者惨殺⇒村人皆殺し に絞って物語が展開され、
それ以外のダラダラとした要素は一切ない。
 
この割り切りがとても良かった。
 

 

  惜しい点

 

①オビンタワラ様の扱い
 
一ノ瀬ワタル演じるオビンタワラ様という村の神様がいるのだが、
これが惜しかった。
 
ただの腹ペコの怪力なのだが、
もう少しラスボス感は欲しかった。
一ノ瀬ワタルのいい人感が前に出過ぎていた。
 
ただ、エンドロール後、伊能昌幸演じる梶原健人は便利屋となり、
オビンタワラ様はそのサポート役になるというオチは好き。
 

 

  感想

 

誠に痛快だった。
 
この映画を当時25歳の監督がとったいうのがまたすごい。
 
実際、ホラーには飽きている感があって、
何度も怖がらせられてきたけど、
怖がらせてくる奴らをボコボコにするという作品はなかなかなかった。
 
結局、大人の事情で適度な着地があって、
スポンサーや、レーベルの推しのタレントや歌手の曲が使われ、、、
 
みたいなところからすると、
そうした政治色は全然感じなかった。
 
それが66分という時間を成立させ、
尖った作品になったのだろう。
 
サクッと見れるので、気持ちを発散したい人にはお勧め。
 
最後の「劇終」のアノ感じも、
タランティーノの「デス・プルーフ」みたいな終わり方で、
僕としては好きな終わり方だった。

 

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