敷地権が設定されたあとでも、建物だけ・土地だけに用益権(賃借権・地上権など)を設定して登記できるのか?」という点について整理していきます。

 

✅ まず:「用益権」ってなに?

用益権とは、「他人の土地や建物を使わせてもらう権利」です。

たとえば:

種類 内容 よくある例
賃借権  借りる権利(借地・借家)  アパート借りる、土地を借りるなど
地上権  土地を使って建物を建てる権利  月極駐車場、借地建物
地役権  他人の土地を通行する等の権利  私道を通らせてもらう など

 

🧠 問題:敷地権付きの建物や土地に、建物だけ・土地だけに用益権の登記できるの?

結論から言うと:

対象 登記できる? なぜ?
建物のみ ✅ 登記OK  賃借権は「建物という“モノ”」に設定するものだから
土地のみ ✅ 登記OK  地上権や賃借権は土地単体で使うための権利だから

 

🔍 理由をやさしく解説!

建物だけに賃借権の登記 → OK!

  • 賃借権は建物そのものに設定される権利

  • 登記対象は「建物」であって、その中の敷地権(=土地の共有持分)ではない

  • だから敷地権があっても「建物だけを借りる」という設定はOK

土地だけに賃借権・地上権・地役権 → これもOK!

  • 地上権や地役権などはもともと土地だけを使うための権利

  • 「土地の一部だけを使わせてね」っていう設定が一般的

  • → 建物と一体になってる敷地でも、土地単体に対して設定するのは自然なこと

📌 じゃあなぜ「分離処分」にはならないの?

  • 分離処分の禁止(区分所有法22条)は、所有権の移転や担保設定のような“処分”行為に適用される

  • でも、用益権は“使わせる”だけであって、所有者が変わるわけではない!

  • 処分ではないので、分離処分の禁止の対象外

✍「借りるだけならOK! 売ったらアウト!
→ 用益権は“使用権”だからセーフ、所有権や担保だとアウト!

 

✅ 最後にまとめ表


登記の対象
用益権の種類
敷地権設定後でも登記できる?
理由
建物のみ  賃借権 ✅ できる
賃借権は建物自体に設定する権利だから
土地のみ
 賃借権・地上権・
 地役権
✅ できる
土地を使う権利なので土地だけを目的とできる

建物 or 土地

 所有権・担保権(抵当など)
❌ 原則NG 分離処分にあたるから