停止条件・解除条件 | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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  停止(かなうこと)条件の説明

 

停止条件とは、ある特定の事実が発生した場合に法律行為の効力が生じるという条件のこと。法律行為の効力は、その条件が成就するまで停止される。

  • 売買契約:「買主がローンの審査に通ったら、この不動産を買う」という条件付きの売買契約。この場合、ローンの審査が通ることが停止条件。

  • 雇用契約:「従業員が特定の資格を取得した場合に正式採用する」という条件付きの雇用契約。この場合、資格取得が停止条件。

 

  既に成就しないことが確定している条件は無効
 

  1. 不可能な条件:

    • 条件そのものが物理的または法律的に実現不可能な場合。
    • 例:「満月の日に雨が降る」というような条件。
  2. 公序良俗に反する条件:

    • 社会的に受け入れられない内容や、法律に反する内容を含む条件。
    • 例:「他人を傷つけた場合に契約が有効になる」というような条件。
  3. 不明確な条件:

    • 条件の内容が曖昧で、当事者間で合意が取れない場合。
    • 例:「運が良かったら」というような主観的で不明確な条件。
  4. 誠実義務違反の条件:

    • ある当事者が誠実に条件成就を妨げる行為を行った場合、その条件は無効とされることがある。

具体例

  • 不可能な条件:「人が空を飛ぶことができたら契約が成立する」という条件は物理的に不可能。
  • 公序良俗に反する条件:「相手の会社が倒産したら契約が有効になる」という条件は公序良俗に反するため無効。
  • 不明確な条件:「いい感じになったら契約する」という条件は不明確で当事者間の解釈が一致しないため無効。

 

契約を締結する時点で、停止条件が成就しないことが確定しているため、その条件に基づく契約は成立しない。なぜなら、条件が成就しないことが確定している場合、その条件は事実上存在しないのと同じだから。

条件が存在しない場合、その条件に依存する契約自体が無効となる。

 

  解除(キャンセル)条件の説明

 

解除条件とは、ある特定の事実が発生した場合に既に効力を持っている法律行為の効力が失われる(解除、キャンセルされる)という条件のこと。つまり、法律行為は一旦成立して効力を持つけど、解除条件が成就するとその効力がなくなる。

  • 賃貸契約:「賃借人が家賃を3ヶ月以上滞納した場合、契約が解除される」という条件付きの賃貸契約。この場合、家賃の滞納が解除条件。
  • 雇用契約:「従業員が特定の規則に違反した場合、解雇される」という条件付きの雇用契約。この場合、規則違反が解除条件。

 

  解除条件が成就しないことが契約時にすでに確定していた場合は無効

 

解除条件とは、ある特定の事実が発生した場合に、既に有効である契約の効力が消滅するという条件のこと。しかし、契約を結ぶ時点でその解除条件がすでに成就していた場合、その契約自体が無効となる。

 

 

  • 登場人物: 花子さん(売り手)と太郎さん(買い手)
  • 契約内容: 花子さんが太郎さんに車を売る
  • 解除条件: 「太郎さんが免許証を失効したら契約を解除する」

契約時の状況

  • 契約を締結する時点で、太郎さんの免許証が既に失効している。

結果

  • 解除条件の意味: 「太郎さんが免許証を失効したら契約を解除する」という条件付きで、太郎さんの免許証の有効性が契約の前提となっている。
  • 現実の状況: 契約を結ぶ時点で太郎さんの免許証がすでに失効しているため、解除条件が既に成就している。

 

なぜ契約自体が無効になるのか?

1. 契約の前提が崩れている

 

契約を結ぶ際には、解除条件が将来的に成就する可能性を前提としているため、その条件がすでに成就している場合、契約の前提が崩れていることになる。

 

2. 契約の無効

契約時に解除条件が既に成就しているということは、契約が成立すると同時に解除されることを意する。このため、契約の効力が初めから存在しない、すなわち契約自体が無効とされる。

 

まとめ

 

  • 解除条件: 契約が将来の特定の事実が発生した場合に解除されるという条件。
  • 成就の確定: 契約を結ぶ時点でその解除条件が既に成就している場合。
  • 結果: 契約自体が無効となる。

このように、解除条件が契約時点で既に成就している場合、その契約は無効となる。これにより、契約の前提条件が既に満たされているため、契約が初めから成立しないことになる。

 

 

条件が成就したか成就しなかったかが不明な間における当事者の行為
 

 

民法第128条は、条件が成就したか成就しなかったかが不明な間における当事者の行為について規定している。条件の成否が確定する前に、相手方の利益を害する行為をしないよう求めている。

条文の内容

民法第128条:「条件が成就したこと又は成就しなかったことを知らない間に、相手方の利益を害する行為をしてはならない。」

 

具体例

  • 登場人物: 花子さん(贈与者)と太郎さん(受贈者)
  • 契約内容: 「2024年の弁護士試験に合格したら、100万円をプレゼントする」という贈与契約
  • 条件: 「2024年の弁護士試験に合格する」

状況

  • 契約時: 太郎さんが試験結果をまだ知らない。つまり、条件が成就したかどうかが不明な状態です。

民法第128条の適用例

1. 相手方の利益を害する行為の禁止

契約時点で条件の成否が不明な間、花子さん(贈与者)は太郎さん(受贈者)の利益を害する行為をしてはならない。

  • : 花子さんが「太郎さんが合格しないだろう」と勝手に判断して、太郎さんに100万円を渡す準備をしない場合。これにより、太郎さんが後で合格したと分かった時に、すぐに贈与を受けられないことになる。

2. 実際のケース

  • 太郎さんが合格した場合: 花子さんは合格が確定した時点から遡って、贈与契約に基づいて100万円を渡す義務がある。この間に、花子さんが10万円を他の目的に使ってしまうなど、太郎さんの利益を害する行為をしてはいけない。
  • 太郎さんが不合格の場合: 花子さんは100万円を渡す義務がありませんが、その間に太郎さんが条件成否を知らないため、花子さんはその状態を維持する義務がある。

 

まとめ

 

  • 民法第128条の目的: 条件の成否が不明な間、相手方の利益を保護するために、当事者が相手方の利益を害する行為をしないようにすること。
  • 適用例: 条件の成否が不明な間、契約の一方が相手方の利益を害する行為を避ける必要がある。例えば、条件が成就するかもしれない状況で、その前提に反する行動を取らないこと。

 

不法な条件を付した法律行為の無効
 

 

民法第132条は、不法な条件を付した法律行為の無効について規定している。この条文は、不法な条件を含む契約が無効であることを明確にしている。また、不法な行為をしないことを条件とする法律行為も無効とされている。

 

条文の内容

 

民法第132条:「不法な条件を付した法律行為は、無効とする。不法な行為をしないことを条件とするものも、同様とする。」

 

解説

不法な条件を付した法律行為が無効

  • 不法な条件とは、法律に違反する行為を行うことを条件とするもの。
  • 無効とは、その法律行為が初めから効力を持たないということ。

 

具体例

1. 不法な条件を付した場合

  • : AさんがBさんに「あなたがCさんの家を壊したら、100万円をあげる」という契約。
    • 問題点: 家を壊すことは不法行為。このような不法な条件を付した契約は無効。

2. 不法な行為をしないことを条件とした場合

  • : AさんがBさんに「あなたがCさんの家を壊さなかったら、100万円をあげる」という契約。
    • 問題点: 一見すると良い行為を促進しているように見えますが、不法行為(家を壊すこと)をしないことを条件にしています。このような条件も無効とされる。

 

なぜ無効なのか?

 

  1. 社会秩序の維持: 不法行為を条件とする契約が有効だと、法律違反を促進することになる。これは社会秩序を乱すため、法律はこれを無効とする。
  2. 倫理的観点: 不法な行為やそれをしないことを条件とする契約は倫理的に問題がある。法律はこのような契約を認めない。

まとめ

  • 不法な条件: 法律に違反する行為を条件とするもの。
  • 無効の理由: 社会秩序と倫理を保つため。
  • 具体例:
    • 不法行為を行うことを条件とする契約は無効。
    • 不法行為を行わないことを条件とする契約も無効。

 

不能の条件を付した法律行為の無効 

 

民法第133条は、不能の条件を付した法律行為の無効について規定しています。ここでいう「不能の条件」とは、物理的または法律的に実現不可能な条件のこと。

条文の内容

民法第133条

  1. 「不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。」→条件を成就できないことが条件になるから無効。
  2. 「不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。」→その状態がキャンセルされることが不可能だから結果、その状態は無条件に維持、継続される。

 

解説

1. 不能の停止条件を付した法律行為は無効

  • 不能の停止条件とは、物理的または法律的に実現不可能な条件。
  • 無効とは、その法律行為が初めから効力を持たないということ。

具体例

  • : AさんがBさんに「あなたが月に行けたら、この土地をあげる」という契約。
    • 問題点: 現在の技術では個人が月に行くことは実現不可能。このような停止条件を付した契約は無効。

2. 不能の解除条件を付した法律行為は無条件とする

  • 不能の解除(キャンセル)条件とは、物理的または法律的に実現不可能な条件。
  • 無条件とするとは、そのキャンセルされる条件を無視して法律行為が成立するということ。

具体例

  • : AさんがBさんに「この車をあなたにあげます。ただし、あなたが人間よりも速く走れたら契約は解除される」という契約。
    • 問題点: 人間が車よりも速く走ることは実現不可能。このような解除条件を付した契約は、その条件を無視して無条件で成立。つまり、Bさんは車をもらえることになる。

 

なぜこの規定があるのか?

  1. 実現不可能な条件: 不能な条件を付した契約が有効であるとすると、現実に実現不可能なことを前提とする契約が存在することになる。これは法律的に意味がないため、無効とされている。
  2. 法的安定性の確保: 不能な条件を無条件とすることで、契約の当事者にとって法的な安定性が確保される。つまり、契約が予測可能で確実なものになる。

 

まとめ

  • 不能の停止(かなうこと)条件: 実現不可能な条件を付した契約は無効。
    • : 「月に行けたら土地をあげる」→ 無効。
  • 不能の解除(キャンセル)条件: 実現不可能だから契約はキャンセルされことがキャンセルされて無条件で有効。
    • : 「車より速く走れたら契約を解除する」→ 無条件で契約有効。

 

 

停止条件が債務者の意思のみに係る場合
 

 

民法第134条は、停止条件が債務者の意思のみに係る場合、その法律行為が無効となることを規定している。このような条件を「随意条件」と呼ぶ。

 

条文の内容

民法第134条:「停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。」

 

解説

随意条件とは?

随意条件とは、契約の成立が一方当事者(債務者)の意思だけに依存する条件のこと。つまり、債務者が「やる」と決めれば条件が成就し、「やらない」と決めれば条件が成就しない、というもの。債務者の気分次第、匙加減というやつ。

 

なぜ無効なのか?

随意条件は契約の公正性や信頼性を損なうため、法律的に無効とされる。契約は双方が合意して公正に履行されることが前提であり、片方の意思だけで成り立つ条件はこれに反するから。

 

具体例

 

債務者の意思のみに係る条件

  • : AさんがBさんに「もし私(A)が気が向いたら、あなたに10万円を渡す」という条件で契約を結ぶ。
    • 問題点: この契約はAさんの気分次第で成り立つため、公正性や信頼性が欠けている。このため、このような随意条件を付した契約は無効となる。

 

まとめ

 

  • 随意条件: 契約の成立が一方当事者(債務者)の意思だけに依存する条件は無効。
  • 無効の理由: 契約の公正性や信頼性を損なうため。