会計監査人設置会社は,原則として,剰余金の配当に関する事項を取締役会が定めることができる旨を定款で定めることができるが,配当財産が金銭以外の財産であり,かつ,株主に対して金銭分配請求権を与えないこととする場合は定めることができない(会社459条1項4号)。
会社の利益の分け方について
会社が利益を出した時、その利益を株主に分けることがあります。これを「剰余金の配当」と言う。
誰が決めるのか
通常、会計監査人設置会社では、取締役会(会社の経営陣)がこの利益の分け方を決めることができる。
特別な場合
でも、次のような特別な場合には、取締役会だけで決めることはできない。
- お金以外のものを配る場合:例えば、会社が利益として株主に不動産や商品を配る場合。
- お金に替えることができない場合:配られたものをお金に替えてもらうことができない場合(換金不可能)。
どうなるか
この特別な場合には、取締役会だけで決めるのではなく、株主総会での承認が必要。これにより、株主が不利益を受けないようにしている。
具体的な例
例えば、会社が利益として株主に不動産を配ろうとしている。
さらに、その不動産をお金に替えてもらうことができないとする。
この場合、取締役会だけでは決められず、株主総会でみんなの意見を聞いて決める必要があるというもの。
会計監査人設置会社だからナニ?
会計監査人設置会社でこのようなルールが設けられている理由は、株主の利益を守り、公平性と透明性を確保するため。
1. 株主の保護
会計監査人設置会社は一般的に規模が大きく、株主の数も多い。このため、個々の株主が会社の経営に直接関与することは難しい。取締役会が一方的に配当の方法を決めると、株主が不利な条件で配当を受けるリスクがある。特に、お金以外の財産を配当する場合や、それをお金に替えることができない場合、株主が困る可能性があるのだ。
2. 公平性の確保
利益の分配が金銭以外の場合、その評価や価値が明確でないことがある。例えば、不動産や商品などはその時々の市場価値が変動するため、公平な配当が難しい。これにより、株主間で不公平が生じる可能性がある。このような場合には、株主総会で全ての株主の意見を聞き、公平な配当を決定することが重要。
3. 透明性の確保
株主総会での承認を必要とすることで、配当に関する決定プロセスが透明になる。株主全員が配当の内容や条件について知ることができ、意見を述べる機会が与えられる。これにより、経営陣が不正な決定を行うリスクが減少する。
4. 監査機能の強化
会計監査人設置会社では、会計監査人が財務情報の適正性をチェックしている。利益の分配においても、会計監査人の監視が及ぶことにより、不正や誤りが防止される。特に、お金以外の財産を配当する場合には、その評価や計算が複雑になるため、監査機能が重要となる。
まとめ
会計監査人設置会社では、株主の利益を守り、公平性と透明性を確保するために、取締役会だけでなく株主総会の承認が必要となる場合がある。これにより、全ての株主が納得できる形での利益の分配が行われるようにしているのだ。要するに、会計監査人設置会社では、株主の利益を守り、みんなが公平に扱われるようにするために、特定の条件下では取締役会だけでなく、全ての株主の意見を聞く必要があるということ。