営業を譲り受けた商人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には,その譲受人も,譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う(商17条1項)。この場合,営業を譲渡した後,遅滞なく,譲受人及び譲渡人から第三者に対し,譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を第三者に対して通知したときは,譲受人は,譲渡人の営業によって生じた当該第三者に対する債務を弁済する責任を負わない(商17条2項)。
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営業の譲渡と商号の使用:
- 商人A(譲渡人)が自分のビジネス(営業)を商人B(譲受人)に譲渡したとする。
- 譲渡された商人Bが、譲渡人Aの商号(会社名や店名)を引き続き使う場合がある。
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債務の弁済責任:
- 商人Bが商人Aの商号を引き続き使う場合、商人Bは商人Aの営業によって生じた借金(債務)を返済する責任を負う。
- つまり、商人Bは商人Aが負っていた借金も引き継ぐことになる。
免責の条件
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通知の重要性:
- 商人Bが商人Aの借金を返済しない責任を負わないようにするためには、特定の手続きが必要。
- 商人A(譲渡人)と商人B(譲受人)の両方が、そのことを第三者(取引相手や債権者)に通知しなければならない。
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通知の内容:
- 通知の内容は「商人B(譲受人)は商人A(譲渡人)の借金を返済しない」ということ。
- この通知が第三者に対して行われることで、商人Bは商人Aの借金を返済する責任を免れることができる。
具体例で説明
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基本のケース:
- 商人Aが「ABC商店」を経営していましたが、ビジネスを商人Bに譲渡した。
- 商人Bは「ABC商店」という商号をそのまま使っている。
- 商人Aが以前に借りたお金(債務)がまだ残っている場合、商人Bもそのお金を返済する責任がある。
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通知が必要なケース:
- 商人Bが商人Aの借金を返済しないことにしたい場合、商人Aと商人Bの両方が、そのことを商人Aの取引先や債権者に通知しなければならない。
- 例えば、商人Aと商人Bが共同で手紙を出して「商人Bは商人Aの借金を返済しない」ということを知らせる。
- この通知をした場合、商人Bは商人Aの借金を返済する責任を負わなくて済む。
ポイント
- 商人Bが商人Aの商号を使い続ける場合、商人Aの借金を引き継ぐ責任がある。
- その責任を免れるためには、商人Aと商人Bの両方が取引相手や債権者に通知する必要がある。
- この通知により、商人Bは商人Aの借金を返済する責任を免れられる。
これにより、取引相手や債権者が誤解しないようにし、責任の所在を明確にすることができるのだ。