設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において,別段の慣習がないときは,地上権者は,いつでもその権利を放棄することができる(民268条1項)。ただし,地代を支払うべきときは,1年前に予告をし,又は期限の到来していない1年分の地代を支払う必要がある。
地上権とは、他人の土地を一定の目的のために使うことができる権利。例えば、建物を建てるために他人の土地を使う権利。
民法第268条第1項では、地上権の存続期間(どれくらいの期間その土地を使えるか)を決めなかった場合について述べている。もし特別な慣習がない場合、次のことができる。
1. 地上権者はいつでもその権利を放棄できる
これはつまり、地上権者は自分の意思でいつでもその土地を使う権利をやめることができるということ。
ただし、地代を支払う義務がある場合には以下の条件が付く。
- 1年前に予告する:地上権を放棄する1年前に土地の所有者に知らせる必要がある。
- 期限が到来していない1年分の地代を支払う:もし1年前に予告しなかった場合、まだ支払っていない1年分の地代を前もって払う必要がある。
具体例
たとえば、AさんがBさんの土地を使って家を建てている。契約の際に、地上権の存続期間を決めていなかった場合、Aさんはいつでも「もうこの土地を使わない」と放棄することができる。
でも、もしAさんがBさんに毎年地代を払っている場合には、「来年からこの土地を使わない」と1年前にBさんに知らせるか、知らせなかった場合にはまだ払っていない1年分の地代を一括で払う必要がある。
要点まとめ
- 地上権の存続期間を決めていない場合、地上権者はいつでもその権利をやめることができる。
- 地代を払う場合は、1年前に知らせるか、1年分の地代を払う必要がある。
地上権者には自由がありますが、地代を支払う場合には土地の所有者に対する一定の義務があるというもの。