設定行為又は設定後の契約により,承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のための工作物を設け,又はその修繕をする義務を負担した場合において,承役地の所有者は,いつでも,地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し,当該義務を免れることができる(民286条,287条)。
民法第286条と第287条に関連する地役権について復習。
地役権とは?
地役権(ちえきけん)は、ある土地(承役地)を特定の目的のために使う権利を、他の土地(要役地)の所有者が持つこと。たとえば、Aさんの土地(承役地)を通ってBさんの土地(要役地)に行くための道を作る権利が地役権。
具体例で説明
1. 地役権の設定:
- Bさんの土地(要役地)に行くために、Aさんの土地(承役地)を通る道が必要だとする。
- AさんとBさんが合意して、Aさんの土地に道を作る権利(地役権)をBさんが持つことになった。
2. 義務の発生:
- このとき、Aさんが自分の費用で道を作る(工作物の設置)か、その道を修繕する義務を負うことになったとする。
放棄と移転の仕組み(民法第286条・287条)
- 問題発生:
- 時間が経つと、Aさんにとってこの義務が負担になることがある。
- 免除の方法:
- Aさんは、以下の方法でこの義務から免れることができる。
1. 地役権の部分の放棄:
- Aさんは、地役権のために使われている土地の部分の所有権を放棄する。
2. 所有権の移転:
- その放棄した部分の所有権をBさんに移転する。
- 結果:
- Aさんは地役権に関する義務から解放され、Bさんがその部分の土地の所有者となり、地役権を行使するための費用や修繕の負担を引き継ぐ。
まとめ
- 地役権:他人の土地を使う権利
- 義務:承役地の所有者(Aさん)が地役権のために道を作ったり修繕したりする義務
- 免除の方法:承役地の所有者(Aさん)はその土地の一部を放棄し、地役権者(Bさん)に所有権を移転することで義務から解放される
地役権に関する設定行為や義務の免除方法。