株式交付子会社株主が真意でなく株式交付親会社に対して株式の譲渡しの申込みをした場合、株式交付親会社が当該株主の申込みが真意でないことを知り、又は知り得たとしても、当該株主の申込みは無効とはならない(会社法第774条の8第1項)。
シナリオ
- 株式交付子会社: A社
- 株式交付親会社: B社
- 株主: Cさん(A社の株主)
株式交付とは?
A社の株主であるCさんが、自分の持っているA社の株式をB社に渡して、その代わりにB社の株式を受け取るという手続き。
ポイント1: 申込みの無効について
- Cさんが本当の気持ちではなく、B社に対してA社の株式を譲渡する申し込みをしたとする。
- B社がその申込みがCさんの本当の気持ちではないことを知っていた、あるいは知ることができたとしても、その申込みは無効にはならない。
例
Cさんが本当はA社の株式を譲渡するつもりがないのに、何らかの理由でB社に譲渡の申し込みをしたとする。B社が「Cさんは本当は譲渡するつもりがないんだな」と気づいても、その申し込みは有効で、取り消すことはできないのだ。
ポイント2: 民法の適用除外
通常、法律(民法)では、本当の気持ちではない意思表示は無効とされている。でも、会社法には特別な規定が優先されるため次の場面では民法のルールが適用されない。
- 株式交付の申込み: CさんがA社の株式をB社に譲渡する申込み。
- 株式の割当て: B社が新しい株式をCさんに割り当てること。
- 株式譲渡契約: B社がA社の株式を譲り受けるための契約。
例
民法では心裡留保(原則有効)「相手が嘘だと知っていた場合は嘘の意思表示は無効」となり得るけど、会社法のこの特別な規定により、上記のような場面ではこのルールが適用されず、嘘の意思表示でも有効とされる。
まとめ
- Cさんが本心でなくA社の株式をB社に譲渡する申し込みをしても、その申し込みは有効。
- これは、特定の会社法の規定に基づいており、通常の民法のルールが適用されないため。
簡単に言うと、株式の譲渡に関しては特別なルールがあり、本当の気持ちではなくてもその申込みは有効になるということ。企業再編の迅速化と安定性を重視し、特定の場面で心裡留保の適用を除外し、意思表示の無効を主張できないようにしている。お金💰でつながるドライな関係だから嘘だとか本当の気持ちじゃなかったとかいう言い訳は通用しない。