会社の訴訟@過去問(@_@) | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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株式会社A(以下「A社」という。)を最終完全親会社等とする株式会社B(以下「B社」という。)が,株式会社C(以下「C社」という。)と取引をした結果,B社の代表取締役Dの責任により,B社が10億円の損害を被り,C社が10億円の利益を得たという事例において,B社C社間の取引がされた後,A社の株主であるEが,代表取締役Dに対する特定責任追及の訴えの提起の請求(以下「提訴請求」という。)をする前に,株式交換が行われ,A社が株式会社F(以下「F社」という。)の完全子会社等となり,株主Eが,新たにA社の最終完全親会社等となったF社の株主となった。B社C社間の取引がされた日以後,B社の株式の帳簿価額がF社の総資産額の5分の1を下回っていた場合には,A社がF社の完全子会社等となったことは,株主Eによる提訴請求の可否に影響しない。なお,B社C社間の取引がされた日において,B社の株式の帳簿価額は,A社の総資産額の5分の1を超えていたものとする。

この状況は、複雑な企業間の関係や株式の持ち分、代表取締役の責任に関する問題を含んでる。以下にポイントを絞って、わかりやすく整理していきたい。

その前に特定責任を復習。

 

 

特定責任とは

 

 

「特定責任」とは、責任の原因となる事実が発生した日において、最終完全親会社およびその完全子会社におけるX社株式の帳簿価格が、当該最終完全親会社の総資産額(省令で定める)に対して5分の1(20%)を超える場合に、その責任を指す。

親会社がその子会社に重大な影響を及ぼす可能性が高いため、親会社に対してその子会社に関連する責任を課すことが合理的であると考えられるのだ。

例えば、子会社が法的問題や財務問題を引き起こした場合、その子会社が親会社の総資産の20%以上を占めているのであれば、親会社もその問題に対する責任を負う可能性があるということ。この責任は、子会社が親会社に対して持つ直接的な責任ではなく、親会社が子会社の活動に対して持つ間接的な責任を指す。

したがって、「特定責任」は親会社が一定の条件下で、その重要な子会社に関連して負うべき責任を明確にするための概念。例えば、親会社Aの総資産額が1兆円だとして、この場合、A社の総資産額の20%は2000億円。もしX社がA社の完全子会社であり、X社の株式の帳簿価格が2000億円を超える場合、A社はX社に関する特定の責任が発生するということ。この「特定責任」は、特定の大規模な子会社に対する責任を明確にするためのもの。子会社のくせに大きい会社だから親会社に縛られるのだ。

 

では、本題へ戻ろう。

背景の状況

  1. A社: B社の最終完全親会社
  2. B社: A社の子会社であり、C社と取引をした。このB社の取引のせいで損害を受けた。
  3. C社: B社と取引をし、10億円利益を得た。
  4. : B社の代表取締役で、B社の損害に対して責任を持っている。
  5. : A社の株主

 

事件の流れ

  1. B社がC社と取引し、B社は10億円の損害を受け、C社は10億円の利益を得た。
  2. この取引の結果、A社の株主Eが代表取締役Dに対して責任追及の訴え(提訴請求)をしようと考えた。
  3. しかし、提訴請求をする前に、A社が株式交換を通じてF社の完全子会社となり、株主EはF社の株主になった。

 

法的問題点

  • 提訴請求の可否: 株主Eが代表取締役Dに対して責任追及の訴えをすることができるかどうかが問題となる。
  • この提訴請求の可否が影響を受けるかどうかは、A社がF社の完全子会社となったことによる。

 

判断基準

  1. B社の株式価値: B社C社間の取引が行われた日において、B社の株式の帳簿価額が親会社A社の総資産額の5分の1を超えていた。
  2. 取引後の価値: B社C社間の取引が行われた後、B社の株式の帳簿価額がF社の総資産額の5分の1を下回った。

 

取引後の変化

  • B社の株式価値の低下: 取引による損害でB社の財務状況が悪化し、その結果、B社の株式の帳簿価額が下がった。
  • F社の総資産額と比較: B社の株式の帳簿価額がF社の総資産額の5分の1(20%)を下回るまでに価値が低下したということ。

 

具体的な意味

  • 財務状態の影響: B社の財務状態が取引によって大きく悪化し、B社の株式の価値がF社全体の資産に対して相対的に小さくなったことを示している。

例えば、もしF社の総資産額が100億円だったとしたら、B社の株式の帳簿価額が取引後に19億円未満(5分の1を下回る)にまで落ち込んだことを意味する。これは、B社の株式が取引による損害で大きく価値を失ったことを示している。

 

状況は、、、

  1. 状況: B社が損害を受け、株主EがB社の代表取締役Dに対して責任を追及しようとしている。
  2. 重要な点: 取引の日にB社の価値が十分に高かったので、提訴請求が可能。
  3. 最終的な変化: A社がF社の子会社になり、B社株主EがF社の株主になったとて、提訴請求の権利に影響はない。

 

本件では、株式交換によりA社がF社の完全子会社となり、F社が最終完全親会社となっている。この状況においても、A社のB社への特定責任の適用に関する判断基準は変わらない。要するに、A社がF社の子会社になっても、その前に発生した責任はそのまま追及できるということ。

A社がF社の完全子会社となったとしても事件発生時A社がB社の特定責任は変わらない。
よって株主Eによる提訴請求の可否に影響しない。

要するに、株式交換によって親会社と子会社の関係が変わっても、特定責任の判断基準日においては、発起人等の責任の原因となった事実が発生した時点の状況が考慮されるため、株主Eが提訴請求を行う際には、この関係変更は影響を及ぼさないということ。