吸収分割と債権者保護手続と人的分割もろもろ | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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吸収分割の基本概念

 

吸収分割は、会社がその事業の一部または全部を他の会社に移転すること。これにより、元の会社(分割会社)は存続し、事業を受け取る会社(承継会社)がその事業を引き継ぐ。

 

債権者保護手続きの必要性

 

吸収分割において、分割会社の債権者の権利が損なわれる可能性があるため、債権者保護手続きが必要。この手続きは、債権者が吸収分割によって不利益を被らないようにするためのもの。

吸収分割における「分割会社では請求できない債権者に対してのみ債権者保護手続きが必要」という点に要注意。

 

債権者の心配

 

分割会社にお金を貸している人(債権者)は、分割会社が財産を承継会社に移すことで、自分の債権を回収するのが難しくなることを心配する。特に、分割会社が吸収分割後に財務状況が悪化する場合、債権者は大きなリスクを負うことになる。

 

なぜ「分割会社では請求できない債権者」に対して保護手続きが必要なのか?

 

「分割会社では請求できない債権者」に対してのみ保護手続きが必要な理由は、分割会社に残る資産や財務状況が、これらの債権者に対する債務の履行を担保できない可能性があるため。分割会社は存続しているため、債権者全員が債権を回収できないってわけじゃないということ。だから、保護されるべきは請求できない債権者に限定されているということだ。

 

具体的な理由

 

  1. 資産の減少:

    • 分割会社が財産を承継会社に移すことで、分割会社に残る資産が大幅に減少することがある。このため、分割会社が債務を履行する能力が低下し、一部の債権者は自分の債権を回収できなくなるリスクがある。
  2. 財務状況の悪化:

    • 吸収分割後、分割会社の財務状況が悪化し、債務を履行する能力がさらに低下することがある。特に、重要な事業部門や収益源を承継会社に移した場合、このリスクは高まる。
  3. 保証の提供:

    • 保護手続きにより、分割会社は債権者に対して十分な保証を提供する必要がある。これにより、分割会社が債務を履行できない場合でも、債権者は保証によって保護される。

 

具体例

 

  1. 例1:資産の減少による影響:

    • A会社がCさんに100万円の借金がある。
    • A会社は主要な資産をB会社に移す吸収分割を行う。
    • この結果、A会社に残る資産がほとんどなくなり、CさんはA会社からお金を回収できなくなるリスクが高まる。
  2. 例2:財務状況の悪化による影響:

    • A会社がDさんに50万円の借金がある。
    • A会社は収益の大部分を生み出す部門をB会社に移す吸収分割を行う。
    • A会社の収益力が低下し、Dさんが債権を回収するのが難しくなる。

 

債権者保護手続きの内容

 

通知と公告:

分割会社は、吸収分割を行う旨を債権者に通知し、公告する。これにより、債権者は吸収分割の事実を知ることができる。

公告の方法は①②のいずれかでOK.

①官報公告+知れている債権者への格別通知

②官報公告+定款に定めた公告方法による公告

※ 不法行為によって生じた分割会社の債務の債権者がいるときは②の公告があっても格別の通知が必要。

  不法行為による債務とは?

  不法行為による債務は、法律に違反する行為や過失により他人に損害を与えた場合に生じる債務。これは、例えば会社が過失

  によって事故を起こし、他人に損害を与えた場合、その損害を賠償する義務が生じること。

 具体例

  1. 交通事故の例:

    • A会社の従業員が業務中に交通事故を起こし、Bさんに怪我をさせた。
    • BさんはA会社に対して損害賠償を請求する権利を持っている。
  2. 製品の欠陥の例:

    • A会社が製造した製品に欠陥があり、Cさんがその製品を使って怪我をした。
    • CさんはA会社に対して損害賠償を請求する権利を持っている。

 

 

人的分割をする場合の債権者保護

 

上記に関わらず、人的分割をする場合は、分割会社全ての債権者に対して債権者保護手続が必要になる

 

人的分割とは?

 

 

人的分割の名称の理由

「人的分割」とは、会社が事業の一部を承継会社に移転し、その承継会社の株式を元の会社(分割会社)の株主に割り当てる方法

  1. 分割会社が承継会社から対価として全部取得条項付種類株式を取得

  2. 株式株主に承継会社の全部取得条項付種類株式を割り当てる:人的分割では、分割会社を経由して分割会社の株主に対して、承継会社の株式が割り当てられる。これは、「人」に焦点を当てた分割であり、株主が新しい会社の持ち主としての権利を得ることから、「人的分割」と呼ばれる。

  3. 株主の権利の移行:

    • 分割会社の株主が、分割会社を経由して承継会社の株式を受け取ることで、新しい会社に対する権利を持つようになる。つまり、人的分割は株主(人)に対する配慮が重視された分割方法。
  4. 組織の再編成:

    • 分割によって、新設会社が設立され、分割会社の株主に承継会社の株式が配られるため、承継会社の組織が再編成されることになる。会社のオーナーは株主、承継会社に新しい株主が加わることで承継会社の再編成が株主(人)に直接影響を与えるため、「人的分割」と呼ばれる。

 

 

なぜ全部取得条項付種類株式なの?

 

 

 

 

「全部取得条項付種類株式」が使われると、株主が新しい株式をスムーズに受け取ることができる。

 

全部取得条項付種類株式とは?

 

全部取得条項付種類株式とは、会社が特定の条件のもとで、その株式を全て取得できる種類の株式。これにより、会社は株主の同意を得ずに株式を取得して管理や再編成を行うことができるのだ

 

人的分割と株式の再編

 

人的分割では、会社が事業の一部を新しく設立する会社に移し、その新設会社の株式を元の会社の株主に配布する。

 

スムーズに受け取る理由

 

全部取得条項付種類株式を使うことで、株主が新しい株式をスムーズに受け取ることができる。

  1. 再編成の柔軟性

    • 全部取得条項付種類株式は、会社が特定の条件下でその株式を取得することができる。これにより、会社は株主の同意を必要とせずに株式の再編成を行うことができるのだ。
  2. 株主への配布が簡単

    • 人的分割で、新設会社の株式を分割会社の株主に配布する際、全部取得条項付種類株式を使うと、分割会社が承継会社の株式を取得し、その後株主に新しい株式を配布するプロセスが簡単になる。
  3. 手続きの簡略化

    • 全部取得条項付種類株式を使うと、会社は複雑な手続きを経ずに株式を取得し、株主へ再配布することができる。これにより、株主は迅速に新しい株式を受け取ることができるのだ。