取締役会設置会社特有のルール | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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  株主が議決権を統一しない(バラバラ)で行使する場合

 

取締役会設置会社において,株主が議決権を統一しないで行使する場合においては,当該株主は,株主総会の日の3日前までに,会社に対してその有する議決権を統一しないで行使する旨及びその理由を通知しないといけない。

            

概要

 

取締役会設置会社において、株主が議決権を統一しないで行使する場合に、株主総会の日の3日前までにその旨および理由を会社に通知しなければならない理由は、株主総会の円滑かつ公正な運営を確保するためなのだ。

理由はざっと以下のとおり。

 

 

円滑な議事運営のための準備

株主が議決権を統一しないで行使する場合、会社側はその対策を準備しておく必要があるのだ。議決権の行使結果を正確に集計したり、議決を正確に反映させるための準備をする必要がある。

そのため、株主に事前通知させることで、会社側は株主が議決権を分割して行使することに対応するための準備を整え、総会の進行をスムーズにすることができます。

そもそも、会議ってなでもある程度、シナリオが作られるよね。

私、マイクラの職場でも外部の人を交えて会議をするにあたり、外部の人に、事前に資料を送付し、事前に意見を出させることで

事前にシナリオを作成する。

個人的に3日前までって短くない?って気がするけど、そこは一般の会議と違って株主様のために株主総会だから。

あくまで会社じゃなく、株主ファーストってことで、ギリギリ直前と思えるけど、むしろ3日前まででいいの?って思える。
 

 

株主の意思重視

議決権を分割して行使する場合にその理由を通知することで、会社や他の株主にその意図を正確に伝えることができる。これにより、株主の意思が伝わるとともに、議決権行使における透明性と公正性が保たれる。

 

 

議案成立の正確性を担保

議決権の分割行使が行われることによって議案に対する賛成、反対の割合が複雑になるため、当日いきなり分割行使と言われたならば、株主総会最中に、成立要件の計算に時間を要する。事前に通知を受けることで、議案の成立要件、過半数や特別決議等の要件を正確に判断できるようなる。

 

ちなみに、会社法第313条第2項

株主は、その有する議決権を統一しないで行使する場合には、株主総会の日の3日前までに、その旨及び理由を会社に通知しなければならない。

 

この規定は、議決権行使の事前通知を求めることにより、会社が総会の準備を適切に行い、株主の意思を正確に反映させることを目的としている。

 

実務上の利便性

 議決権を統一しないで行使するというのは、株主が所有する株式の一部に対して賛成、一部に対して反対という、複数の異なる投票行動を行うこと。これには通常の議決権行使とは異なる対応が必要となり、会社側はこの情報を事前に知ることで、総会当日の議決権の集計方法やシステムを準備することができる。この通知が当日とかと、準備が間に合わない可能性があるよね。

 また、通知期限を設けることで、会社は株主の意思を正確に反映するための対応策を講じる時間を持てます。これにより、議決権の分割行使が他の株主に与える影響や、総会全体の議決結果に対する影響を適切に管理することができる。

 

  取締役設置会社だけが3日前通知ルール?

この事前通知の義務は取締役会設置会社に限られる。

取締役会設置会社において、株主が議決権を統一しないで行使する場合、株主総会の日の3日前までにその旨および理由を会社に通知することが求められている。

理由

 

取締役会設置会社は複雑だから

取締役会設置会社は、大会社であって株主も多いし、議案も多く、議決権の行使方法も様々。

そんな複雑な組織である取締役会設置会社の事情、空気を読まないあフリーな株主が、議決権を統一しないで行使する場合、せめて事前に通知しろよ、ってことで、会社は適切に準備し、管理することができるのだ。

 

運営の円滑化

 

取締役会設置会社では、多くの議案が取り扱うため事前通知を受けることで総会の運営を円滑に進めることができる。これにより、うるさい株主がギャーギャー言ったとしても、混乱を避けることができるのだ。

 

公正な議決の確保

 

議決権の分割行使が事前に通知されることで、他の株主や会社側はその理由を把握でき、公正で透明性のある議決が確保されることで、株主の権利も守ることができる。

 

他の会社形態の場合はどんな?

 

取締役会設置会社でない場合、例えば取締役会を設置していない会社、ちっちゃいちっちゃい家族経営の会社では、この規定は適用されない。

 

 

  株主が株主総会の招集請求をした場合

 

 

概要

一定の要件を満たす株主が取締役に対して株主総会の招集を請求した場合、その請求があった日から8週間以内に株主総会の招集通知が発せられない場合、株主は裁判所の許可を得て株主総会を招集することができまる。

会社法297条

  1. 株主総会の招集請求:

    株主は、取締役会設置会社において、総株主の議決権の3%以上を有する株主が、取締役に対して株主総会の招集を請求することができる。
  2. 取締役の対応:

    取締役が請求を受けた場合、その請求があった日から8週間以内に株主総会の日を設定し、招集通知を発する必要がある。
  3. 招集通知が発せられない場合:

    もし、取締役がこの期間内に招集通知を発しない場合、請求した株主は裁判所の許可を得て、自ら株主総会を招集することができます。

 

裁判所の許可

 

株主が裁判所に許可を求める際には、以下の手続きを踏む必要があります

  • 株主は、取締役が適切に対応しなかった事実を裁判所にチクる。
  • 裁判所はその申立てが正当であると認めた場合、株主に対して株主総会を招集する許可を与えます。

 

一連の手続きの流れ

 

  1. 株主による請求

    株主は、会社に対して株主総会の招集を求める書面を提出
  2. 取締役の対応

    取締役が8週間以内に招集通知を発しない場合、その旨を確認します。
  3. 裁判所への申立て

    株主は、管轄の裁判所に対して、株主総会の招集を許可するよう申立てる
  4. 裁判所の許可

    裁判所が許可を出した場合、株主は裁判所の指示に従って株主総会を招集

 

なんで8週間なの?

 

① 十分な準備期間の確保

株主総会ってそもそも株主のためのものであり、しかも会社の重要な意思決定の場であり、議案の準備や通知、資料の作成など多くの準備が必要。取締役会や担当部門にとって、これらの準備を万全にぬかりなく行うためには時間がかかります。しかも株主発信で招集される株主総会だから、その株主の意図に即した準備をするための8週間という期間は、準備を円滑に進めるために十分な時間を要するのだ。

② 株主への適切な通知期間

株主総会を招集する場合、株主に対して招集通知を送る必要がある。

一般的に、招集通知は株主総会の日の2週間前までに発送しなければならないと規定されている。

8週間の期間を設けることで、取締役は招集通知の作成と発送の準備を十分に行うことができ、株主も総会に備えるための時間を確保できる。

 ③緊急性と実務的なバランス

8週間という期間は、緊急性のある事案に対応するための期間としては適度に短く、かつ実務上の準備を行うためには十分な長さとされている。この期間を設けることで、会社が不当に株主総会の招集を遅らせることを防ぎつつ、実際的な準備を行うために必要な時間を提供する。

④ 株主の権利保護

株主は会社の所有者であり、重要な意思決定に参加する権利を有する。株主が一定の要件を満たして総会の招集を請求した場合に、会社側が迅速かつ適切に対応しないことがないようにする。8週間以内に対応しない場合、株主が裁判所の許可を得て総会を招集することができるため、株主の権利が保護されるのだ。

 

 

会社側発信と株主発信との招集の違い(まとめ) 

 

  1. 会社側からの招集通知(2週間前)

    会社側からの株主総会の招集通知は、一般的に株主総会の日の2週間前に行われる。通常の開催ってわけだけど、株主に株主総会に参加する機会を提供し、適切な準備時間を確保するためです。スケジュールも調整しなきゃだし、地方の人だと飛行機やホテルの予約をしなきゃだ。会社はそんな株主に対して、株主総会の日程や議題、会場などの情報を提供して、2週間の間で株主は準備をするのだ。
  2. 株主からの招集請求(8週間前)

    株主が株主総会の招集を請求する場合、その請求があった日から8週間以内の日を株主総会の日とするとされている。ってことで、株主が会社側に対して株主総会の招集を求めた場合、会社はその要求を受け入れ、請求があった日から8週間以内に株主総会を開催する必要があります。株主が要求するんだから、特定の議案、事情が発生したってことで、それに対応するためには会社側も構えた準備期間が必要ってわけで、会社発信の株主総会招集よりも長い期間、8週間が必要になるってわけだ。整理して覚えておくべきところ。