STEP.1募集株式とは
募集株式には2つパターンがある。
新株発行
新しく株式を発行するわけだから、
単純な話で、企業規模が大きくなって
資金調達をするのが目的。
資金が増えるってことだから、
資本金、資本準備金として計上。
自己株式の交付
文字どおり株式会社自身が持つ自分の株式を
交付するわけだから、新株発行はなし。
資本金も増えるわけがない。
STEP.2募集株式についての決議
非公開会社
小さい会社がほとんど。
だから、株主=会社経営者ってことで、
募集株式を発行しようとするときは、
株主ファーストになる。
持ち株の比率が変わってくるからだ。
持ち株比率が変わると、議決権にも影響してくる。
家族、親族経営ならば、その権力争い、骨肉の
争いが生じ得るってわけで、株主総会、しかも
特別決議で決める。
原則、株主総会の特別決議となる。
公開会社
CM放送してたりする大会社をイメージすればよい。
おびただしい人数の株主がいるわけだから、
発行済み株式もおびただしい数。
持ち株比率なんて少々の発行では影響なし。
ってわけで、こちらは持ち株比率というよりも
迅速な資金調達重視、経営者の判断で実施すべきということで
取締役会の決議でOK。
公開会社である大会社は所有(株主)と経営(取締役会)の
分離だから。
経営に素人の株主ではなく、経営のプロ、取締役会で
決めてOKということ。
ただし、迅速な判断が求められるといっても特定の人に有利な
金額での株式の交付、有利発行の場合は株主総会の特別決議が必要。
いくらなんでも取締役会だけでの決断は許されない。
既存の株主が不公平だと文句を言ってくる可能性大。
STEP.3 割当の方法
株主割当て
割当方法
株主の持ち株数に応じた割合で割当てられる。
だから、割当の手続きは不要。
株主Aの持ち株数 20株 → 200株
株主Bの持ち株数 10株 → 100株
株主割当ての決議機関
〇 非公開会社
原則、株主総会の特別決議
例外、定款の定めによって、取締役若しくは取締役会でOK
特段、株主に割当てられるため、持分の比率に影響がない。
権力争いになり得ず、有利発行となるものでもないから
株主総会すら不要とできる。
はたまた、取締役や取締役会に委任してもいいですか?
っていう決議も不要。
いきなり定款で取締役若しくは取締役会で株主割当て
について決議することを定めておいてもよい。
株主割当てのためにイチイチ株主を集めて、
取締役、取締役会に委任してもいいですか?って株主総会に
諮る必要がないということ。
株式が第三者、つまり、外部に流出するわけではないため、
株式の価値もかわらず、既存の株主に影響を及ぼすことはない。
持分比率、経済的影響がないということだ。
〇 公開会社
取締役会一択!
有利発行の概念がないため、株主総会の特別決議もなし。
〇 種類株式発行会社
ある種類の株式についてのみ株主割当てをしようとした場合、
他の種類株式の株主に損害を与える場合は、当該種類株式の
株主総会の特別決議がなければ効力を発生しない。
A種類株式を株主割当てしようとするとき、
B種類株式の株主に損害が生じるときは、
B種類株式の株主総会の特別決議が必要ということ。
第三者割当て
割当方法
株主割当て以外の方法。
株主の持ち株数の応じた割当でない方法。
つまり、株主に割り当てる場合であっても
その割当方法が、持ち株比率に関係なく
割り当てるのであれば第三者割当てとなる。
株主Aの持ち株数 20株 → 100株
株主Bの持ち株数 10株 → 200株
この場合は第三者割当てとなる。
第三者割当ての決議機関
〇 非公開会社
ちっちゃい会社だから株主総会の特別決議が必要。
部外者が入ってくるわけだから、ちっちゃい会社は
ざわつく。
株主の利益最優先のため、株主総会特別決議が必要。
① 株主総会の特別決議
② 株主総会の特別決議で委任
取締役に委任できる
② 株主総会の特別決議で委任
取締役会に委任できる
取締役や取締役会に委任できるっていうのは、
第三者に割り当てる場合、いちいち、株主総会を
開けません、って時にこの制度を利用するのだ。
でも委任する場合は1年という縛りがある。
株主総会決議後、1年間限りということだ。
厳しいルール設定となっている。
株主割当ては委任する場合は株主総会すっとばして、
いきなり定款で定めてもOKってところで、
第三者割当ての委任の手続きの方が厳しい感じになっている。
〇 公開会社
原則、取締役会
大会社ゆえに株主ファーストというよりも
お金ファースト。
だから、経営者判断で決めることができることとなっている。
STEP.4 第三者割当てと譲渡制限株式
非公開会社・公開会社ともに共通すること。
第三者割当ての場合、募集株式の種類が
譲渡制限株式である場合は、
原則として当該株式の種類株主を構成員とする
種類株主総会の特別決議により募集事項を決定
しなければ当該募集株式の効力が生じない。
譲渡制限株式って、どんな会社であっても理由があって、
譲渡制限をつけているということで、それを持っている
株主は持株比率に興味がある株主ってことだで、
それが第三者割当てされると、権力に変更が生じて
しまう可能性がある。
うるさい株主ってことだから、必ずそのうるさい株主を
集めて意見をお伺いする必要がある。
注意点
ここで、まどろっこしい、ことを整理する。
第三者割当ての譲渡制限の場合、
段階ごとで決議が変わってくる。
発行決議のとき
種類株主総会の特別決議
割当決議のとき
株主総会(全体の)特別決議
又は
取締役設置会社の場合は取締役会
問
会社法上の公開会社の募集株式の発行において
会社が譲渡制限株式である募集株式の引受けの
申込みをした者の中から当該募集株式の割当てを
受ける者を定める場合には、その決定は、
取締役会の決議によらなければならない。
答 〇
第三者割当てにより募集株式の発行を行う場合
会社が譲渡制限株式である募集株式の引受けの
申込みをした者の中から当該募集株式の割当て
を受ける者を定める場合には,
株主総会、取締役会設置会社に
あっては取締役会の決議によらなければ
ならない。
この問題では公開会社だから取締役会の決議となる