判決による登記はおそらく、司法書士試験のなかで、ガチ中のガチ。
判決
登記
司法書士試験を作成する人にとっても大好物、
かなりのパワーワードじゃなでしょうか。
盆と正月がいっぺんにやってくる、本能をくすぐられる
最強ワードということで学習してこ。
🎅君は自分の土地をオニ👹君と
売買取引し、👹君に所有権を移転する
ことになった。
でも、急に🎅君が世界中の子供たちにプレゼント
を配らなきゃとかいう理由で忙しくなって、
所有権移転登記の請求に応じてくれない。
債権者の要求に応じてくれないとんでもな債務者に
民法414条がある。
(履行の強制)
第414条
1.債務者が任意に債務の履行をしないときは、債権者は、民事執行法その他強制執行の手続に関する法令の規定に従い、直接強制、代替執行、間接強制その他の方法による履行の強制を裁判所に請求することができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
オニ👹君が裁判所に訴えて、サンタ🎅君の債務、
”登記請求に応じる”という債務を履行させるよう
訴えるのだ。
本来、不動産登記法では、原則、登記義務者である🎅君と
登記権利者である👹君の共同申請とするのが理想。
でも、サンタ🎅君のような言い訳ばっかりで、
登記請求に応じようとしない場合、裁判所に判断を委ねるのだ。
裁判所が”登記手続きしなさい!”という確定判決
を下したならば、こっちのもん。
原則、サンタ🎅君なんて、そっちのけで、👹君は
その確定判決の正本を登記原因証明情報として提供のうえ、
単独(一人)で、登記申請することができるのだ。
お金払って、土地を譲ってくれないなんて、
そんな理不尽なことは許されない。
判決による登記ができる要件
〇 主文に記載されていること
民事訴訟法に以下のように定められているから。
第百十四条 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
主文・・・結論部分
既判力・・・民事訴訟でその判決が当該当事者の間で終結すること。
別の裁判を起こしたとしても同じ結論となり、
蒸し返すことができない終局的な結論。
〇 給付判決であること
民事訴訟で被告に対して”やりなさい(行為)””やらない(不作為)”と
具体の手続き、行動を命令する判決のこと。
〇 判決が確定していること
文字どおり、判決が揺るぎないものであること。
でもって、手続法である民事執行法第177条によって
具体の手続きが定められている。
(意思表示の擬制)
第百七十七条 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾、調停若しくは労働審判に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。ただし、債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第二十七条第一項の規定により執行文が付与された時に、反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第三項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす。
意思表示の擬制っていうのは、”意思表示をしたものとみなす”こと。
確定判決に準ずるもの
確定判決と同じ効果として、単独で登記できるもの。
裁判上の和解
和解の成立を調書に記載したものは
確定判決と同じ効力を有する。
認諾調書
上記の例で👹君が被告の🎅君を訴えたとき、
🎅君が無条件に認めた場合、その”認諾”が
調書となった場合、確定判決と同じ効力となる。
調停調書・審判書
調停によって当事者間の合意が成立したときに
その調停調書や遺産分割の審判がなされたときの
審判書は確定判決と同じ効力を有する。
仲裁判断
仲裁判断についても調停同様、その判断内容は
確定判決と同じ。
調停とよく似ているけど、仲裁は双方の意見を
聞いたうえで、仲裁委員に判断を委ねる。
外国判決
外国の裁判所ででた判決も一定の条件のもと
確定判決と同じ効力を有する。
判決の登記手続き
判決の主文に登記原因、登記理由が記載されている場合
例)被告は原告に対し、別紙物権目録の不動産について、令和6年3月8日売買を原因として所有権移転の登記手続きをせよ。
→ 令和6年3月8日 売買
判決の主文に登記原因が書かれていない場合
例)被告は原告に対し、別紙物権目録の不動産について、所有権の移転の登記手続きをせよ。判決の確定日は令和6年3月8日
→ 令和6年3月8日判決
判決の主文に原因日付が書かれていない場合
例)被告は原告に対し、別紙物権目録の不動産について、売買を原因として、所有権の移転登記手続きをせよ。
→ 年月日不詳売買
過去問
問題1.
🎅及び👹は、🎅に対して👹への所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決を登記原因証明情報として提供して共同で当該所有権の移転の登記を申請することができる。
答え 〇
🎅に対して👹への所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決がある場合,👹は単独で判決による登記を申請することができるし、🎅と👹の共同申請もできる。共同でできない場合の確定判決だけど、確定判決をもってして、共同申請できないわけではない。
判決による登記は単独申請「できる」のであって単独申請一択ってわけじゃないということ。
問題2.
🎅が、👹又は🐶の指定する者に対し所有権移転登記手続をする旨の記載のある和解調書を得た👹は、これに基づいて単独で所有権移転の登記を申請することができる。
答え ✖
判決は和解調書も含まれるけど、その内容が個別具体的じゃないとダメ。
だから、👹はこれに基づいて単独で所有権移転の登記を申請することはできない。具体的に登記申請意思が擬制されているわけじゃない。
問題3.
被相続人から不動産を買い受けた者は、共同相続人の1人の者に対して,登記手続を命ずる確定判決に基づき、単独で所有権移転の登記を申請することができる。
答え ✖
相続人全員の登記申請意思が擬制されていないければいけない。
問題4.
土地の所有権の登記名義人である🎅が死亡した場合において🎅に配偶者
並びに子
がいる。🎅の死亡後に
から甲土地を買い受けた👹が,
から👹への売買を原因とする所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決に基づき、代位によって🎅から
への相続を登記原因とする所有権の移転の登記の申請をする場合において、当該確定判決の理由中に🎅の相続人が
のみである旨の認定がされているときは、相続があったことを証する情報として当該確定判決の正本を提供すれば足りる。
答え 〇
当該確定判決の理由中で共同相続人についての認定がされている場合には当該確定判決の正本を相続があったことを証する情報として提供することができると解されています。
問題5.
土地の所有権の登記名義人である🎅が死亡し👼、🎅の法定相続人として配偶者
子
がいる。甲不動産について法定相続分による所有権の移転の登記がされた後に、🎅の遺産分割に関する調停が成立し、その調停調書に
に対して土地
のそれぞれの持分各4分の1につき遺産分割を原因とする持分移転登記手続をする旨の記載がある場合には、
は遺産分割を登記原因として単独で
から
への持分の移転の登記の申請をすることができる。
答え 〇
遺産分割を登記原因とする持分の移転の登記のように共同申請でなされるべき場合でも、一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、他方が単独で申請することができる(不登63条1項)。この点,調停調書は上記の確定判決の代わりとなるため
は遺産分割を登記原因として単独での持分の移転の登記の申請をすることができる。
判決による登記申請の場合と同様登記手続をなすべき旨を内容とするものである必要がある。
問題6.
🎅が所有権の登記名義人である土地につき🎅が👹に対して所有権の移転の登記手続に必要な書類を交付することを内容とする和解調書に基づき👹は、単独で甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。
答え ✖
和解調書は判決の登記の判決に含まれるけど🎅が所有権の移転の登記手続に必要な書類を交付することを内容とするのみで、Aが登記手続をする旨は内容とされていない。だから、こんな判決では👹は単独で甲土地の所有権の移転の登記を申請することはできない。
登記手続きをせよ、という給付的内容がなければ,登記申請意思が擬制されているとはいえなにのだ。