敷地権と分離処分の可否について(過去問) | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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分離処分の原則についての過去問の整理!

 

 

敷地権が賃借権である敷地権付き区分建物について,抵当権の設定の登記を申請するときは,当該賃借権の目的である土地の所在,地番,地目及び地積を申請情報として提供しなければならないか?

→ 提供不要

 

(理由)

敷地権付き区分建物についての所有権,一般の先取特権,質権又は抵当権に関する登記を申請するときは,当該敷地権の目的となる土地の所在,地番,地目及び地積を申請情報として提供する必要がある。(不登令3条11号ヘ)。もっとも,敷地権が賃借権である場合には,申請にあたって当該賃借権の目的である土地の所在,地番,地目及び地積を申請情報として提供する必要はありません

そもそも賃借権に抵当権を設定することはできないことから(民369条参照),敷地権が賃借権である場合には,敷地権の目的である土地の表示は不要。

 

敷地権である旨の登記をした土地には,敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。

 当該土地のみを目的とする区分地上権の設定の登記については制限はない。当該敷地権の目的である土地のみを目的とする区分地上権の設定の登記の申請は,当該敷地権が生じた後に当該区分地上権が設定された場合であっても,することができる(昭58.11.10民3.6400)。

用益権の設定については制限がない。

 

敷地権である旨の登記がされている土地について,敷地権が生じた日よりも前の日を登記原因の日とする所有権に関する仮登記が土地のみにされている場合には,敷地権である旨の登記が抹消された後でなければ,その本登記を申請することができないか?

→ できない。

仮登記を本登記にするには,敷地権である旨の登記が抹消される必要がある。

 

 

敷地権である旨の登記をした土地には,当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記は、当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものを除き敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない(不登73条2項)。

 

上記の時系列は、

① 令和元年1月1日 敷地権の登記(一心同体登記) 

② 令和3年1月1日 売買による所有権移転仮登記

③ ①の仮登記の本登記はできない

   →一心同体になった後に所有権移転仮登記

 

できる場合の時系列は

① 令和元年1月1日 売買による所有権移転仮登記

② 令和3年1月1日 敷地権の登記(一心同体登記)

② ①の仮登記の本登記ができる

 

 

分離処分可能規約を定めたことを証する情報を提供する必要があるのは,分離処分可能規約を定めたことにより,敷地権に係る表示登記の抹消を申請する場合。

 

敷地権付き区分建物についての所有権,一般の先取特権,質権又は抵当権に関する登記を申請するときは,当該敷地権の目的となる土地の所在,地番,地目及び地積を申請情報として提供する必要がある(不登令3条11号ヘ)。

ちなみに敷地権が賃借権である場合には,申請にあたって当該賃借権の目的である土地の所在,地番,地目及び地積を申請情報として提供する必要なし。

そもそも賃借権に抵当権を設定することはできないことから(民369条参照),敷地権が賃借権である場合には,敷地権の目的である土地の表示は不要。

 

敷地権付き区分建物には,当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。→分離処分の原則

 

ただし,分離処分の禁止に該当しない場合又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権や抵当権に係る権利に関する登記であって,敷地権が生ずる前にその登記原因を生じたものについてはすることができます(不登73条3項)。

 

敷地権である旨の登記をした土地には,当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものを除き,敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができません(不登73条2項)。

→ 抵当権設定仮登記の登記原因日付は平成25年8月1日である場合、その土地が敷地権の目的となった日付が平成25年8月1日より後であれば、本登記をすることができます。

 敷地権の登記(一心同体登記)となる前の抵当権仮登記は本登記できる。

 

敷地権である旨の登記がされている土地について,敷地権の移転の登記をすることはできない。また,敷地権付き区分建物には,当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記をすることができない。遺産分割協議がされたとしても,当該遺産分割協議に基づいて,区分建物及び敷地権についてそれぞれ所有権の移転の登記を申請することはできない。

遺産分割協議に基づく権利変動にも,分離処分の禁止が適用される。売買のみならず、ということ。

 

敷地権付き区分建物には,当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができまない。ただし,当該建物のみを目的とする質権や抵当権に係る権利に関する登記であって,敷地権が生ずる前にその登記原因を生じたものについてはすることができる(不登73条3項)

→ 敷地権の登記(建物敷地が一心同体)となる前なら、分譲マンションの部屋だけを質権、抵当権設定ができる。

  敷地権の登記前というのは敷地(土地)と一心同体じゃないから別々の人格のようなもの。

 

敷地権付き区分建物には,当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。

 ただし,分離処分の禁止に該当しない場合又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権や抵当権に係る権利に関する登記であって,敷地権が生ずる前にその登記原因を生じたものについてはすることができる(不登73条3項)。

建物のみ、敷地権のみの所有権移転や抵当権設定敷地権の登記及び敷地権である旨の登記を抹消した後でなければできない。

 

敷地権付き区分建物には,原則として,当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。もっとも,敷地権である旨の登記がされる前に土地のみに設定されていた(根)抵当権の追加設定として,区分建物のみを目的として追加設定の登記をすることは,分離処分に当たらないため許される(昭59.9.1民3.4675)。

登記官の職権により建物のみに関する付記登記がなされます。

 

→ (根)抵当権の追加設定とし、共同設定とする場合は土地、建物別個に追加できる。

  共同(根)抵当権になることにより、むしろ分離処分の原則が手厚く保護されるというもの。

 

敷地権である旨の登記をした土地には,当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものを除き,敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない(不登73条2項)。

 地役権の設定の登記は可能であり,本問のケースでも,乙土地を承役地として,令和3年4月1日設定を登記原因とする地役権の設定の登記を申請することができます。

 利用権であれば,登記原因の時期を問わず,敷地のみについて登記が可能。

 

→ 敷地権の登記(土地・建物一心同体登記)になる前、なった後、土地と建物はニコイチだけど、地役権の登記は可能。

  ただし、土地の賃借権は不可。土地の賃借権はその土地の一部のみに設定できないから。  

敷地権付き区分建物には,当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし,分離処分の禁止に該当しない場合又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権や抵当権に係る権利に関する登記であって,敷地権が生ずる前にその登記原因を生じたものについてはすることができます(不登73条3項)。

 もともと敷地に設定されている抵当権の追加設定として申請する場合であれば,分離処分の禁止に該当せず,区分建物のみを目的としてする抵当権の設定の登記を申請することが可能(昭59.9.1民3.4675)。

 

→ 先の焼き直し。共同根抵当権、共同抵当権はむしろ分離処分の禁止の趣旨に沿うことになります。

 

敷地権である旨の登記がされている土地には,敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし,分離処分の禁止に該当しない場合又は敷地権についての仮登記若しくは質権・抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものについては,することができる(不登73条2項)。敷地権を目的とする一般の先取特権の保存の登記については,その登記原因の時期にかかわらず,申請することはできない。

建物を目的とする場合もできません。

 

敷地権付き区分建物についての処分禁止の仮処分の登記は,当該敷地権が生じた後に当該仮処分がされた場合であっても,当該区分建物のみ又は当該敷地権の目的である土地のみを目的とすることができる(昭58.11.10民3.6400)。

 建物のみ,土地のみの権利が争われることもあるから。

 

登記記録上存続期間が満了している地上権を敷地権とする区分建物の所有権の移転の登記が申請されたときは,当該登記の申請情報及び添付情報から当該区分建物の敷地権が消滅していることが明らかな場合を除き,当該所有権の移転の登記をすることができるか?

→ できる。

(理由)

登記記録上存続期間が満了している地上権を敷地権とする区分建物の所有権の移転の登記が申請されたときは,当該登記の申請情報及び添付情報から当該区分建物の敷地権が消滅していることが明らかな場合を除き,当該所有権の移転の登記をすることができる(平30.10.16民2.490)。

敷地権の場合は敷地の登記記録から具体的な建物が分かるけど,当該建物の登記記録では,地上権が消滅していると登記官が形式的に判断することはできないからです。

 

 

土地のみを目的とする不動産工事の先取特権は,当該土地のみに効力を生ずることが明らかであるため,分離処分の禁止に該当するものではなく,その保存の登記を申請できるものとされている(昭58.11.10民3.6400)。