賃借権登記と借地借家法 | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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(賃貸借)

第601条

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

 

 

  賃貸借の定義

 

・使用収益させること

賃料、有償であること

・契約終了後の返還

 

というのが賃貸借の成立要件で、

・諾成契約・・・契約を申し込んだら相手が承諾する

       「はい」、って出したら「OK」、って答える   

・双務契約・・・互いに債務を負担

        「貸す」という債務と「家賃を払う」という債務

・有償契約・・・銭札束

 であるのだ。

 

 

登記請求権 

賃借権は債権だから、賃借人は賃貸人に対して

当然に賃借権の登記請求権を有していない。

賃借権契約締結時において、賃借権の登記を

することを特約で定めておくことで、

賃借権設定登記請求権を有することができるのだ。

 

 

【参考】賃借権は債権にすぎないため,賃借権の設定の登記をすることの特約がない場合には,賃借人は,賃貸人に対し,賃借権の設定の登記手続を請求することができないものとされている。

 

 

  賃貸借登記の絶対的登記事項

 

賃料札束

 

そもそも賃貸借ってのは物権じゃなくって

債権だからさ。

賃料なくして賃貸借契約は存在しない。

絶対的登記事項であることから重要要件。

 

賃料は札束である必要はなくって

賃借人(借りる人)🎅がもっている別の土地の

使用収益をもってあててもよい。

この場合、

賃借人は金銭札束でなく、

「🎅のA土地を使用収益する。」でもOK。

ちなみに、賃料は明確じゃなきゃNG。

「双方協議のうえ」とか、

「甲土地、乙土地合計金20万円」

という記載はだめ。

不動産毎に賃料を定めないといけない。

 

 

過去問

宅地である甲土地について賃借権の登記を申請する場合は、その申請情報の内容として、賃料の定めを「乙土地を使用収益」することができる。→ 〇

 

 

 

  賃貸借の任意的登記事項

 

存続期間

 例:存続期間 50年

 ※ 民法上、賃貸借は50年は超えられない。

支払時期の定め

 「前払い」という特約も有効。

 普段、アパートやマンションの家賃が前払いなのは

 この特約のせいだよね。

 記載例:「支払時期 毎月末」

賃借権の譲渡・転貸を許す旨の定め

 そもそも、民法では、賃借人(大家さん、オーナー)

 の承諾を得ておかないと、譲渡や転貸は許されない。

 大家さんとしては、自分が選んだ相手じゃない、どこの

 馬の骨かわからない人には貸したくないってものだ。

 でも、大家さん(オーナー)の許可なく転貸したり、

 賃借権を譲ったりできるっていう内容を登記しておく

 こともできるのだ。

 記載例:「特約 譲渡ができる。」

敷金

 大家さん、オーナーが変わったときに、賃貸不動産の

 譲受人が賃貸債務を継承することは敷金返還義務も

 継承するということだから、登記で公示をしておく

 必要がある。

 記載例:「敷金 金15万円」

賃貸人が処分能力、処分権限を有しない旨

 処分能力や処分権限を有しない者が賃貸人になる場合、

 本来、賃貸人がすることができる賃貸借契約が

 短期賃貸借に限定されるため、その公示が必要である。

 記載例:「被保佐人 〇市〇町2番地 山田花子が設定した賃借権」

 

登記申請 

 

 

登記の目的 賃借権設定

原因    〇年〇月〇日設定

権利者   〇市〇町2番地 A ・・・賃借人

義務者   〇村〇町1番地 B ・・・賃貸人(オーナー)

添付情報  登記原因証明情報

      登記識別情報 ・・・賃貸人(オーナー)Bのもの
      印鑑証明書  ・・・賃貸人(オーナー)Bのもの

      代理権限証明情報

目的で、

建物を目的にする賃借権は借地借家法の規定が

適用される賃借権であることを公示するため、

目的 建物所有」と記載する。

 

  参考知識!借地借家法第23条

 

 事業用定期借地権

 

 事業用で認められていることが以下のことは

 認められていない。

 

 

① 借地契約の更新不可

  普通借地権は更新可能であり、地主は更新について

 正当な事由がない限り、拒否できない。

 でも、事業用定期借地権の場合、更新はないのだ。

 期間満了後、終了する。

  期間が満了したら、新しい土地を探すのだ。

 

② 借地契約の更新不可

  普通借地権なら、存続期間の延長は可能だけど、

 事業用定期借地権の場合、存続期間の延長は認め

 られない。 

 

③ 地主に対する建物買取請求権の行使不可

  普通借地権なら、土地の上の住居用の建物等の買取

 を請求できるけど、事業用定期借地権はこの

 建物買取請求権というものが存在しない。

  

 

 事業用定期借地権の存在意義

 そもそも、普通借地権って、その土地の上に

家を建てて住んでいたならば、存続期間が

満了したとしても、地主は、簡単に土地を

返してもらえない。

更新を希望された場合も正当な事由がない限り

更新を拒否することも地主には早々許されない。

そんなときに登場した制度は「事業用定期借地権」というもの。

「事業用定期借地権」の場合であれば、存続期間が終了する

とともに、借地権が消滅して、賃借人側には更地に

して返還する義務が生じるのだ。

地主を保護するための制度ってことだね。

事業用定期借地権は

・事業の用に供する建物の所有が目的

・借地権が30年以上50年未満

 (借地借家法第23条第1項)

・借地権が10年以上30年未満

 (借地借家法第23条第2項)

・公正証書による契約であること

 

こうした、存続期間の制限のため、借りる方も

それを理解したうえで、契約しないといけない。

一旦、事業用で建てた建物も撤去して更地にしないと

いけない。

もっぱら、事業用定期借地権はある程度、計画性があって

終わりの目途が立つようなことを目的とするものが多い。

 

借地借家法第23条第1項と第2項の違いは

存続期間の他、第1項は更新や建物買取請求権は特約

もって廃除、第2項の期間の短い方は更新や建物買取請求権は

廃除されているのだ。

 

 

 

イベント

一時的に短期で借りる場合

展示会

一時的に短期で借りる場合

 

工場建設

清算する計画を立てて、プロジェクトとして

工場建設する場合。

農業事業

目的をもって作物を計画的に栽培する場合に

短期で土地を借りる場合

公共事業

災害時の仮設住宅、学校、病院等に利用する場合。

 

 

 一般定期借地権

 上記の事業用定期借地権との違いについてまとめておこう。

 一番大きな特徴としては、一般定期借地権の基本、

 借地権の存続期限が50年以上

 

①用途制限がない

居住用でも事業用でも可能。

居住用の場合、途中解約が認められている。

 

 

②契約更新なし

 

 

③建物の築造や再築しても存続期間延長なし

 更地にして地主に(オーナー)に返却すべし。

 ただし、更新、延長はなくても、再契約はできる。

 再契約する場合は、契約内容が変わることも想定しておくべし!

 50年以上たった後の再契約だから、諸般の事情が代わっていることもあるよね。

 

④期間満了と同時に建物買取請求権なし

 

公正証書等の書面にて契約

②~③の内容は必ず公正証書等の書面で契約すべし!

契約書の様式でもOK。

 

 

用途事例

存続期間が50年以上になるため、商業施設

〇オンモールとか、オフィスビル、公共用建物

等、長期的に利用される。

 

 

  参考知識!借地借家法第38条

 

 定期建物賃貸借

建物の賃貸借契約を更新しない、という定めに

する場合、必ず、「公正証書」で契約を

締結しないといけない。

公正証書で契約するときに限り、

更新しないとできる。

定期建物賃貸借契約は、1年未満でもOKだし、

期間が満了したら、再契約もOK。

普通の建物の賃貸借は1年未満はNG。

取り壊しが決まっている建物を短期で貸すときなど。

ウイークリーマンションもこの例。

 

定期建物賃貸借あれこれ注意点

 

 

契約の終了する旨通知義務

 期間満了で終了だけど、事前通知が必要。

 もし、通知しなかったら、その終了を賃借人に

 対抗できない。

 でも、事前通知を忘れても、事前通知をすべき期間

 の経過後に通知した場合は、 その通知の日から

 6月を経過後は、対抗できる。

 6月というペナルティが課せられるけど、通知を

 忘れた地主への救済措置がある。

 

 

賃借人の救済措置

 期限が終了する前に、借主がその建物が不要になった

 場合、賃借人側(借主)から解約を申し入れることが

 できるのだ。

 やむを得ない事情がある場合だけど。

 ・賃貸借の建物が生活するための居住用であること

 ・転勤、療養、家族の介護のため転居する

 ・解約は賃借人から申し入れる

 ・賃貸人からの解約は不可

 

でもって、解約から1か月を経過することで

契約が終了するのだ。

 

 

借地借家法に関わる過去問

以上の借地借家法に関連する過去問題を押さえておく。

借地借家法で事業用定期借地権か一般定期借地権か、

それとも、借地借家法の適用を受けず、民法の適用なのか、

存続期間の最長期間が変わってくるのでそこが要注意!

 

 

 

過去問

甲土地について,存続期間を60年とし,居住の用に供するものではない専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし,かつ,契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨の定めのあるAのための賃借権の設定の登記を申請する場合には,登記原因証明情報として,公正証書の謄本を提供することを要しない。

 

答え 〇(公正証書の謄本の提供は要しない)

 

 この問題で出てくる存続期間の”60年”にまず注目。民法上の賃借権の存続期間は50年を超えられないし、事業用定期借地権にしても50年は超えられない。唯一、50年を超えられるのは一般定期借地権のみ。

 そして、一般定期借地権は事業用でも居住用でも目的はなんでもよいから、事業用というワードが出たとしても、存続期間が

50年を超えていたら、自ずと、一般定期借地権ということがわかってくる。

 

 

過去問 
甲土地に輸送用のコンテナを設置して、一時保管するために🎅を借地権の登記名義人(借りる人)とする賃借権の設定登記の申請において、登記原因証明情報に存続期間が30年とする場合、その存続期間30年は有効か。

答え 

そもそもコンテナは家、建物じゃないから借地借家法の適用は受けない。民法上、最長は50年だから30年はOK!

 

 

 

過去問 
地目が畑である土地の賃借権について、存続期間を70年とする賃借権の設定の登記を申請することができる。

答え 

農地の場合、借地借家法の適用はない。民法上でも農業法上でも最長は50年