【会話ブログ】滅却出来ない想いもあるのかしら | 【会話ブログ】

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滝行と断食、どっちがやりたい? ブログネタ:滝行と断食、どっちがやりたい? 参加中


「自分の精神を鍛えるための修行にも色々あるな」

「あらそう。残念だったわね」

「いや、何が残念なのか分からないけど……」

「あらそう。あなたのように甘やかされて育った人は、いつか精神鍛錬の場に赴かないと今後も人生や世間に甘えてまともに生きていけそうにないものね。それで何を選択したのかしら?燃え盛る火の道を裸足で100往復歩く、というのはどうかしら」

「おい、ちょっと待ってくれ。別にそこまで甘やかされたとは思ってないぞ。それに何か色んな修行が混ざっちゃってる気がするし」

「あら、そうかしら。三日三晩何も食べずに、あなたの好物のトンカツの前を100往復するのが正しかったかしら?」

「いや、100往復ってのはお百度参りの事を言ってるんじゃないのか?火の中とか断食と合わせなくても充分辛いと思うぞ」

「あらそう。滝つぼの中を100往復だったかしらね。それともお百度参りを100往復だったかしら」

「だから他の修行は100往復もしなくて良いって言ってるじゃないか!それにお百度参りを100往復じゃ合計1万回も参っちゃってるぞ!やり過ぎだと思うぞ!」

「うるさいわね。だったら断食だけが良いのかしら?1週間の断食を100往復で良いかしらね」

「それじゃ結局100週間も断食しなきゃならないぞ。最後まで乗り越える前に死んじゃうような気がする」

「うるさいわね。修行を前にして【こんなの死んじゃいますよ】などとアピールする事でリアクションを楽しんでもらう芸人みたいな事ばかり言わないでちょうだい。そもそもこんな事は理不尽の上に成り立っているものなのよ。もし事故で死んでしまっても、精神がたるんでいたから修行に耐え切れなかった、などと言えば成立してしまうわ」

「修行って結構宗教とかが絡んでそうなイメージがあるけど、事故に対してずいぶん酷い扱いだな……」

「あら、そうかしら。神様なんて信じる者しか救ってくれないじゃないの。実際には信じたって救ってくれな……」

「こら!何か危ない事を言おうとしないでくれ!修行の話と関係なくなってきてるぞ!」

「うるさいわね。結局は色々な修行の案を出しても何もやろうとしないじゃないの。それとも、どっちつかずの腹立たしい態度を取り続けるあなたを前にしても手を挙げないかどうか、という実験なのかしら?まさか私が修行させられていたとは思わなかったわね。早く頬を出してちょうだい」

「別にそんなつもりはないぞ!しかも修行だと思った途端に失敗しちゃってるじゃないか!」

「うるさいわね。冗談に決まってるじゃないの。これくらいで叩いていたらあなたの彼女なんてとても務まらないもの。良かったわね。他の女性だったら目が合った瞬間に大暴れしているわよ」

「……目が合っただけで暴れるって、僕が腹立たしい態度とかいうのとは全く別の理由じゃないのか?もう生理的に全く受け付けない、みたいな……」

「何をごにょごにょ担任の先生が自分にだけ妙に厳しい態度を取る事に対して、これはあえて厳しく指導するという先生の愛情なんだ、と思っていたところ、突然先生が【お前は卒業式には来ないでくれ】と言い出したので、【別れが悲しいからってここまで突き放した事を言うなんて】と感動していたら、【もう最後だと思ったら今までの鬱憤が爆発して殴りまくってしまうかもしれない。お前なんかを殴って懲戒免職になったら最悪だから絶対に来ないでくれ】と言われてしまった男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。結局今日は何を話したいのかよく分からないけれど、まだ1割しか話してないから早く何か話してちょうだい」

「え?1割?何か僕に伝えたい事でもあるのか?」

「違うわよ。私とあなたの会話を100往復したいんでしょう?まだ11往復しかしていないわよ」

「いや、別にそんなつもりは……っていうかよくそんなのを数えてるな……」

「あら、私はあなたと出会ってからの全ての会話を記憶しているわよ。今までに何往復したか話した方が良いかしら?」

「そ、それはスゴイ……一体何往復なんだ……?」

「まぁ、そんなの冗談に決まってるじゃないの。私にだって分からないわよ。ほとんど忘れない私でも、時には覚えていない事くらいあるもの。あなたが妙な寝言を言っていた内容だってわざわざ覚えていないし、あなたが部屋で独り言を言っていた内容だってわざわざ覚えていないわ」

「……いや、それは元々会話としてカウントしないんじゃないのか?っていうかそもそも僕のそんな言葉は聞けないはずだしな」

「ええ、通常ならそうでしょうね。でも私のように修行を積めば聞こえる事があっても不思議ではないんじゃないかしら」

「どんな修行なんだ、全く……ほとんど超能力者みたいじゃないか……って、まぁ良いか。修行っていうと精神を落ち着かせるためにするんだろうけど、お前にはもう必要なさそうだな」

「ええ、そうね。修行なんてするだけ無駄だと思うわ。何も効果なんて無いんじゃないかしら。思い上がっているのよ」

「そ、それはちょっと言い過ぎじゃないか?多少は効果があると思うぞ」

「違うわよ。想いが勝っているのよ、って言ったの。どれだけ修行したって鎮めたり落ち着かせたり出来ない想いというものがあるのよ」

「それってもしかして……僕への想いとかそういう……」

「あら、何の事かしら。そんな事は一言も言ってないわよ」

「う、うん、そうだけど、普段ならそう言ってくれるような気がしてさ」

「あらそう。後82往復くらいすれば私の想っている事が100%聞けるかもしれないわね」

「それは大変だな……っていうかやっぱりちゃんと全部数えてるんじゃないのか?」


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