【会話ブログ】綺麗な羽なんて持っていないけれど | 【会話ブログ】

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あなたは素直?あまのじゃく? ブログネタ:あなたは素直?あまのじゃく? 参加中


「素直な人の反対をどうして天邪鬼って言うんだろうな」

「あら、知らないのかしら。昔々、せっかく立派な羽を持っているのに性格が恥ずかしがり屋だったために、メスではなく天に向かって羽を広げているクジャクがいたのよ。そのクジャクを指して【天の孔雀】って呼んだのが語源とされているわ」

「へー、そうだったのか。それは確かに素直じゃないな。っていうか人間以外にも異性にアピールする事を恥ずかしがる動物がいるとは思わなかった」

「ええ、そうね。もしかしたらいないのかもしれないわ。冗談だもの」

「え?冗談?何が冗談なんだ?」

「天邪鬼というのは本来、メスのクセにオスのように羽を広げる事が出来るクジャクを指して【女(あま)の孔雀】って呼んだのが語源よ。魚類でも鳥類でも何でも、メスよりオスの方が綺麗な容姿をしているものね。でもクジャクはメスも羽を広げるケースがあるわ。模様はオスほど綺麗ではないけれど、通常はオスにアピールされるのを見ているだけのメスとしてはとても捻くれた行動と言えるわね」

「えーと、結局最初に言ってた【天の孔雀】の話が冗談だった、ってわけだな?かなりホントっぽかったけど……でもそっか、クジャクはメスもアピールしたりするんだな。言われてみると何か見た事がある気がするぞ。それは確かに自然界の中では素直な進化とは言えないのかもしれないな」

「何を納得しているのか分からないけれど、冗談だと言っているじゃないの」

「いや、何に対して冗談って言ってるのかよく分からないぞ。クジャクのメスは冗談じゃなく羽を広げたりするじゃないか。確か茶色っぽいのが一色だけだったっけ?」

「さぁ、どうかしらね。天邪鬼というのは本来、サソリなどを食べる益鳥であるクジャクを指して【甘の孔雀】って呼んだのが語源よ。人間は無闇に自然を破壊するけれど、その人間にとって利益となるような、人間を甘やかすような行動をするクジャクは、他の動物達からすると限りなく素直とは言えない方法で生き残っていこうとしているものね。そういう点ではメスが綺麗になろうとするのも人間の真似をしているのかもしれないわ。自然界で人間だけだものね。オスがメスより汚いのは」

「汚い、って言われるとちょっと言い過ぎな気もするけど……でも女性のが綺麗なのは間違いないな。人間によって住む場所を追いやられてしまう動物達がたくさんいる中で、クジャクは人間の味方として重宝される存在になってるわけか。まぁクジャクの意志なのか偶然なのかは分からないけど、他の動物にとってはまさに天邪鬼な行動に見えるだろうな」

「あらそう。先程からずいぶん何度も納得しているわね。結局どの冗談が気に入ったのかしら?」

「……えーとさっきも冗談とか言ってたけど、言ってる意味がよく……」

「クジャクの話よ。天邪鬼は本来、人間の想像力が生み出した架空の妖怪の事だもの。クジャクとは全く、羽一枚の接点も無いわよ。どうして気付かないのかしら」

「天邪鬼の語源を知らずに訊いてたんだからお前の話を信じるに決まってるじゃないか!」

「うるさいわね。大きな声を出せば私が驚いて冗談の羽を引っ込めると思ったら大間違いよ。クジャクは冗談みたいな鳥だから私も冗談を言っていただけじゃないの。本当に冗談みたいなカンジだものね」

「まぁ着飾ってるわけでもないのにあんな姿をしてるのは人間には考え付かないかもしれないけど、でも自然界には他にも鮮やかな動物はいっぱいいるじゃないか」

「違うわよ。冗談みたいな漢字、って言ったの。何となくクジャクが羽を広げているように見えるわ」

「冗談……うーん、確かに【冗】が頭の部分で、【談】は羽っぽく見えなくもないかもな。って、そんな理由でクジャクの話が全部冗談って言われても気付くわけないだろ!」

「うるさいわね。クジャクの特徴については冗談ではなかっただけまだマシじゃないの。私の気分次第で何もかも完全に冗談の話だって可能だったのよ。運が良かったわね」

「全く……でも確かにただ天邪鬼の語源を聞かされて話が終わるよりは楽しかったな。いつもありがとう」

「……何かしら、突然、気持ち悪いわね。オウムならまだしも、クジャクが言われた言葉を言い返すと思ったら大間違いよ。噺家だったから仕方が無いわ」

「いや、別にお前は僕に感謝する必要なんて無いじゃないか。しかもお前はクジャクじゃないし……それに噺家って、話を膨らませるのがマイブームみたいなカンジなのか?」

「違うわよ。話したかったから仕方が無い、って言ったの。少しでも長くあなたと話していたいじゃないの。だからいつも話に付き合ってもらって感謝し……って、何を言わせるのかしら、みっともない」

「うっ、そんな大変な事をして話を広げなくても僕と話したいならいくらでも付き合うのに……全く天邪鬼だなぁ」

「あらそう。想像上の妖怪で悪かったわね。これ以上話すと退治されてしまいそうだから近寄らないでちょうだい」

「やっぱり素直じゃない!」


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