「人って結構口癖があるもんだな」
「あらそう。私にはそういうものは一切無いから分からないわ」
「いや、お前にも結構たくさん口癖があると思うけど」
「引っぱたくわよ」
「何でだよ!別に悪い事じゃないと思うぞ!」
「うるさいわね。そうして事実無根のでまかせを使ってまで私の事をどれだけ理解しているのかをアピールするつもりなんでしょう?そこまでして私達がとても親しい事をいちいち私に認識させる必要があるのかしら。そんな事をするまでもなく私はあなたの事を……って、何を言わせるのかしら、みっともない。そもそも私に口癖なんて何一つ存在しないと言ってるじゃないの、失礼な」
「……たった一言で結構口癖が満載だったような気がするけど……」
「しつこいわね。もしかして口癖があるのが恥ずかしいという展開に持ち込んで私を黙らせようとしているのかしら、いかがわしいわね」
「別にそういうつもりは無いけど、まぁ本人では気付かないものなのかもしれないな。僕も自分の口癖って言われても分からないし」
「あら、そうかしら。あなたの口癖は【これじゃ公開処刑だ】とか【またヤマンバか】とか【アスピリンかインスリンかはっきりしろ】などがあるわね」
「何だそれは!今までに一度も言った記憶が無いぞ!」
「うるさいわね。冗談よ。あなたの言葉なんて何一つ覚えていないから分からないわ」
「うっ、超人的な記憶力の持ち主のお前にそんな事を言われるほど僕の言葉は印象に無いのか……?それはショックだな……」
「何をごにょごにょ子供に【キャベツを買ってきて】とお使いを頼むと毎回【アフリカの歴史】とか【南北戦争】とか【格差社会の問題点】などの本を買ってきてしまって困っていたら、ある日子供が友達をいじめて泣かせてしまって、いじめや差別について説明しながら叱っていたら、何故か子供は叱っている最中にキャベツを買いに行ってしまって、ついに自分の滑舌が悪くて【差別】と【キャベツ】が逆に聞こえていた事に気付いた男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。子供はひょんな事からとんでもない学習能力を発揮する事があるから注意してちょうだい」
「……何なんだその話は……と、とにかく、自発的に口癖を持つとしたらどんなのが良いだろうな」
「あら、どういう事かしら」
「普段の口癖を意識せずに言ってるのと違って、あえて自分で意識して言ったらどうかなと思ってさ。例えば語尾に何か決まった言葉を付けて強引に口癖にしちゃうような」
「あらそう何を言っているのかしら頭がおかしいんじゃないかしら。毎回語尾に決まった言葉をつけるわけね何を言っているのかしら頭がおかしいんじゃないかしら。こんなカンジで言えば良いのかしら何をいっているのかしら頭がおかしいんじゃないかしら?【頭(あたま)】の事を【かしら】とも言うから何だか混乱してきてしまうわね何を言っているのかしら頭がおかしいんじゃないかしら」
「口癖が長過ぎるぞ!もっと短くしないと他の言葉よりも口癖の方が長くなっちゃうじゃないか」
「うるさいわね 。どうしてこんな事をしなければならないのかしら 。そもそもここまでしなければ個性が持てないような人はこの程度の変化ではどっちみち誰からも相手にされないと思うわ 。というカンジにすれば良いのかしら ?」
「いや、特に語尾に何もつけずに話してたじゃないか。今のじゃ普段と変わらないぞ」
「あら 。そんな事は無いわよ 。あなたが長いとか言って批判するから、今度は極限まで短く【無音】の口癖を入れているじゃないの 。耳で聞いても全く変わらないでしょうけれど、文章にすればちょっとは変化があるはずよ 」
「普通に生活しててその口癖に気付く人って果たして現れるのか……?」
「でもそうなると毎回語尾に心の中で決まった言葉を想う、というのも可能でしょうね……。この場合は口癖というよりも【心癖(こころぐせ)】とか【本音癖】とか呼ぶと良いんじゃないかしら…………。とはいえ意外と会話と内容の違う事を毎回思うのは難しいかもしれないわね………………。まぁ、何を考えているのかしら……………………」
「お、おい、大丈夫か。凄く話しづらそうだけど、一体何を想ってるんだ?」
「言えるわけが無いじゃないの、みっともない。本音癖と言っているのが聞こえなかったのかしら」
「そう言われると余計に気になるけど……でも教えてくれないんだろうな、きっと」
「クリックして欲しいのが本音よ」
「ツイッター とかいうものを始めてみたわ」
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