![人前で話すの得意? 苦手?](https://stat.ameba.jp/common_style/img/home_common/home/ameba/allskin/ico_kuchikomi2.gif)
前回
「コソコソッ!ササッ!ヒラリ。パッ」
「あら、何の音かと思ったらハイジだったのね。そんなところで何をしているのかしら、珍しいわね。何か用かしら?」
「むっ?何故か足音も立てずに近寄っているのに音でバレてしまっているんだよ。とんでもない防犯対策が施されているに違いないのかも。しかも私が用事がある事になってしまっているのかも?それなら今から慌てて用事を作って辻褄を合わせようという友達思いの一面を見せる次第なんだよ。そうなのかも。違うかも」
「あらそう。私達の教室を覗いていたわりには私に用があるわけではなかったのね。という事は彼に用があったのかしら?」
「んー?別にミッキーには用は無いかも。という事は私は教室そのものに用があったという可能性が出てきてしまったんだよ。なるほど英語にすると【KYOUSHITSU】の中に【YOU】を発見かも!」
「あらそう。【きょうしつ】に【よう】があったのね。ひらがなでも発見出来たわよ。って、何をくだらない事を言わせているのかしら。それはそうと今のうちに正直に白状した方が良いわよ。私にこんなわけの分からない態度をするという事は、私に内緒で彼に用事があるんでしょう?」
「ぴー!そんな事無いかも!誰が相手であっても必ず話しづらい話というのは存在するのかも。そうなのかも?そうに違いないのかも」
「あらそう。という事は何だかんだで結局私に言いたい事があるけれど言いづらいというカンジなのかしら。今更私に気を使う必要なんて無いわよ。親しき仲にも礼儀ありとは言うけれど、礼儀というのは一定の距離感を生み出してしまうものだし、気を使うのがかえって失礼に当たる関係というのもきっと世の中に存在すると思うわ。とはいえ私とあなたは残念ながらまだそこまでの関係性ではなかったのかもしれないわね。二度と私に近寄らないでちょうだい」
「むむむむむ、御巣鷹山を二つの雌阿寒岳が囲む景色があった場合、雌阿寒岳は常に二ついなければならないのか、という問題に行き当たってしまったんだよ」
「まぁ、突然何かしら。同じ山が二つ同じ場所にある方がかえって問題じゃないかしら。って、そういう意味ではなくて何かの比喩になっているみたいね。山なんて一つしかなくても山脈になっていても、人間はその状況を受け入れるしかないと思うわ」
「むむむ、じゃぁ彦星が一人でいる時に織姫じゃなく他のアンドロメダ座やおとめ座的な存在がやってきたとすると……」
「あら、彦星の人間性が試される場面ね。織姫の事が心から好きならばおとめ座と話したり食事をしたりしても良いんじゃないかしら。って、そんな問題よりも、さっきからずいぶんと話しづらそうね。比喩表現も先程より簡単になってしまって何が言いたいのか既にお見通しという気がするわ。そもそもどちらも同じ状況を指しているみたいだものね」
「むっ、そんな事無いかも。男が一人と女が二人……」
「いよいよ核心を突いてきたわね。比喩というより名前を伏せた程度の表現になってしまっているわよ。私としては男爵イモとメイクイーンの比喩とか、牡鹿郡と女川町の比喩も聞きたかったけれど、後者は震災の件もあるし不謹慎になってしまうかもしれないわね。とにかくハイジ……じゃなくて女の好きにしたら良いじゃないの。【好き】という漢字は【女の子は好きな事をしても構わない】という意味なのよ。本当はどうか分からないけれど、今後はそういう意味にしてしまえば良いんじゃないかしら」
「ぴー!でも例え友達でも二人で話すだけで浮気になるとか言っている恐ろしいテレビがあったんだよ!テレビがあったと言うとテレビが勝手に放送したみたいに聞こえるから、番組があったのかも。だからひょっとして私が割って入って話をしていると付き合っている二人はイライラカッカッな展開になってしまうんだよ。背徳感満載のハイジが背信行為や背任行為をしてしまっているのかも?そうなのかも。そうに違いないのかも。ぐすん」
「あらそう。それで心配になって私の意見を聞きにきたというカンジなのかしら。何度も言うけれど、あなたの好きにしたら良いと言っているじゃないの。あなたはハイジ役なのよ」
「むっ?私は私であって実は別の誰かが演じる私で私を私に私?頭がこんがらがってきたかも」
「違うわよ。あなたは怪死役、って言ったの」
「ぎゃー!結局何だか痴情のもつれに巻き込まれて正体不明の毒物で完全犯罪で殺されてしまうのかも!ガクガクブルブル」
「違うわよ。あなたは監視役……って、何を言わせるのかしら。とにかく私がいない時でもいる時でも、彼の相手をしてあげてちょうだい」
「むむむ、確かにミッキーはミニーがいる時と違って、いないところでは羽目を外してミニーを褒め称える事ばかり言っているんだよ。私以外の人じゃとても聞いていられないような恥ずかしい内容かも。きっと顔がトマトになってしまうんだよ」
「……あらそう。とにかくそういうのをしっかり監視してちょうだい」
「むむむ?じゃなくてもももも?ミニーもトマトじゃなくて桃みたいになってしまったかも」
「ちょっと、人を妙な色眼鏡で見ないでちょうだい、失礼な。とにかくあなたが話し掛けても浮気になんてならないわよ。何を考えているのかしら。彼が私の事をどれくらい想っているかなんて何もかも把握しているもの。って、何を言わせるのかしら、みっともない」
「ミッキーがいないともたない?ずいぶん羽目を外してしまったのかもももも?」
「ちょっと、みっともない、って言ったの。とんでもない聞き間違いをしないでちょうだい、失礼な。これでは私が彼を褒め称えているみたいに……」
「これ以上羽目を外されるとトマトになりそうだから退散するんだよ!ぴゅぴゅぴゅっ!」
「……あら、もしかして私が監視されていたんじゃないでしょうね」
続く
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