「僕達の初デートってのはどこになるんだろうな?」
「………………」
「入学してすぐに学校で動物園に行ったけど、あの時はまだ付き合ってなかったわけだしさ」
「………………」
「付き合ってからだとすると、映画に行った時か?それとも……」
「………………」
「えーと、話聞いてたか?」
「うるさいわね。どうでも良いじゃないのそんな事。それとも誰かと初デートのドキドキしてもどかしい幸せな気分でも味わいたいのかしら?」
「そんな事するわけないだろ!ただ僕達の最初のデートってどこになるのかなと思っただけじゃないか。っていうか、もしかして僕を相手にそんな風にドキドキして幸せに感じてくれた事があるのか?」
「何がデートなのか人それぞれ捉え方が違うから何とも言えないんじゃないかしら。ひょっとしたらデートなんて今まで一度もした事が無いのかもしれないわよ」
「せっかくの質問を完全にスルーしてるな……まぁ良いか。もしお前が一度もデートした事が無いって思ってたとしたら悲しいな。僕としては二人でどこかへ出掛けたらデートだと思ってるんだけど……」
「あらそう。とにかく基準が曖昧だから先に決めた方が良いと思うわ。問題は好意があるかどうかじゃないかしら。好意というか気になる存在という段階でも良いかもしれないわね」
「なるほど。片方がデートだと思ってても、もう片方はただ友達と一緒に出掛けただけ、って思ってたりもするだろうしな。じゃぁ僕達の場合はお前が僕に関心を持ってくれた時が最初のデートになるわけだ」
「あら、それはどういう事かしら」
「えっ?いや、その、僕は最初にお前を見た時から他の人とは違う感情で見てたと思うし……それが好意なのかと言われたらそうなんだと思うし……」
「何をごにょごにょ告白するつもりじゃなかったのについ相手に気持ちを悟られるような事を言ってしまってパニックになっている男のようにつぶやいているのかしら、気持ち悪いわね。あなたは先程から出掛ける出掛けると、子供に掛け算を教える夢が叶わなかった教師の幽霊のように繰り返しているけれど、世の中には自宅デートとかいう言葉もあるわよ。どこかへ出掛けるのだけがデートとも言い切れないんじゃないかしら」
「そういえばそうだな。でもやっぱり学校の登下校とか教室の中とかはデートってカンジじゃないし……周囲に知り合いがいない二人きりの状況ってのが重要なのかな。二組が一緒なのをわざわざ例外的にダブルデートって呼んだりするしな」
「あらそう。何を言っているのかよく分からないけれど、そういう事で良いんじゃないかしら」
「いや、そんな分からない事は言ってないと思うけど……じゃぁとにかく、お前にとっての初デートってのはいつになるんだ?」
「さぁ、どうかしらね。あなたはどうなのかしら?」
「いや、さっきも言ったけど、お前が僕に関心なり好意なりを持ってくれたタイミングが分からないからな……僕は答えようがないぞ」
「うるさいわね。こんな妙な質問に答えるわけがないじゃないの。もし私が答えたとしたら初めての事態でしょうね」
「うっ、やっぱりこんな質問は恥ずかしいか。まぁ困らせるつもりじゃないから無理に答えてくれなくて良いぞ」
「……うるさいわね。もう答えたわよ」
「えっ!?いつ?もしかして【初めて】ってのが答えか?」
「うるさいわね。何度も言わないわよ、みっともない。何を考えているのかしら」
「初めてって、もしかして教室での自己紹介とかの事なのか?そんなに早くから気に掛けてくれたのは嬉しいけど、でもそれはデートとは呼べないんじゃないか?クラスメイトもたくさんいたわけだしさ」
「ええ、そうね。それがどうかしたのかしら」
「いや、知り合いがいない二人きりの状況がデートって……」
「教室にはあなた以外の知り合いなんて一人もいないじゃないの。さっきから何を言っているのかさっぱり分からないわ」
「……そういうところはホントに容赦ないよな……あれ、って事はもしかして……」
「…………うるさいわね。私はあなたと出会ってからずっとデートし続けているわよ」
「あなたも毎日クリックし続けてちょうだい」
「ツイッター とかいうものを始めてみたわ」
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