![占ってもらいたいのは仕事?恋愛?人間関係?](https://stat.ameba.jp/common_style/img/home_common/home/ameba/allskin/ico_kuchikomi2.gif)
「ちょっと、私に近寄らないでちょうだい」
「何でだよ!まだ何も言ってないぞ!」
「うるさいわね。何か妙な事を言おうとしていたじゃないの。何でもお見通しよ」
「いや、話し掛けようとは思ってたけど、妙な事かどうか分からないじゃないか」
「あらそう。それなら話してみれば良いじゃないの」
「うん、もし当たる占い師がいたとしたら何か占って欲しい事はあるかな、と思ってさ」
「私に近寄らないでちょうだい」
「こら!どうしてそうなるんだ!」
「うるさいわね。案の定妙な質問だったじゃないの。だから宣言通り私に近寄らないでちょうだいと言っているのよ」
「いや、どこがどう妙だったのか知りたいんだけどな」
「あら、占いなんて妙とか怪しいとか胡散臭いとかをそのまま形にしたようなものじゃないの。というとあなたは【あくまで例え話での当たる占い師だ】とか言うつもりでしょうね」
「まぁそうだな。当たる占い師がもしいたとしたら、という仮定の話だぞ」
「ええ、そうでしょうね。でもそんなものはいないんだから考えるだけ時間の無駄じゃないかしら。というとあなたは【でも当たったとか、良く当たるとか、そんな風に騒がれてる占い師がいるじゃないか】とか言うつもりでしょうね」
「うん、よくテレビや雑誌で取り上げられるような人もいるな。って、別にそういう人とも無関係で考えてもらって構わないんだけど……仮定の話じゃ興味が湧かないか?」
「ちょっと、そういう人と無関係で構わないとか妙な事を言い出さないでちょうだい、腹立たしいわね。何を考えているのかしら」
「僕もお前が何を考えてるのかよく分からないぞ!占い師を否定したいのか肯定したいのかどっちなんだ?」
「うるさいわね。占い師なんて所詮は口が上手いだけだ、とか言われているから挑戦してみただけじゃないの。どうして私の言った通りの意見にしないのかしら、腹立たしいわね。あなたは私が占った通りに生きていればそれで良いのよ」
「またそんな強引な……少なくとも一流の占い師はもっと色んな会話の流れに対応してるんだと思うぞ」
「あらそう。私の会話が二流とか三流と言いたいのね、失礼な。私にだってあなたの未来くらい何もかも占えるはずよ」
「何か意図した展開とは違うけど、その方が楽しそうだな。ちょっと占ってみてくれ」
「まずは18歳で人生のどん底を味わうでしょうね。そして19歳でもう一度どん底になるわ。22歳くらいでもどん底でしょうね。そして……」
「ちょ、ちょっと待った!大雑把過ぎるし内容が酷過ぎるぞ!どん底って、一体僕はどうなるんだ!」
「あら、まずは18歳で大学受験に失敗するか、高校卒業が出来ないか、とにかく私とは違う進路になってしまうわ。そして19歳で私の大学に再挑戦して失敗するでしょうね。そこでもうあなたは諦めて専門学校に通うか就職するかの選択をするけれど、私が就職する時になるとまたとんでもない格の違いを見せ付けられて落ち込むんじゃないかしら」
「……何か当たりそうで嫌な予感がするけど……ちょっと暗い気持ちになってきた」
「あら、冗談に決まってるじゃないの。冗談が本当にならないように努力すれば良いのよ。そういう点では占いが言った未来よりも良い未来なんていくらでも存在するわ。だから占いなんて外れた方が良いのよ」
「なるほど、良い内容で外れさせちゃうくらいの気持ちがあれば占いを聞くのも楽しいかもしれないな。っていうかどん底なんて言うからてっきり別れたりしちゃうのかと思ったぞ」
「あらそう。それなりに当たりそうな事を上手に言うのが占いの真相じゃないの。いくら冗談でも全く起こらない未来を言ったら占いにならないわ」
「そ、そっか。僕達が別れるのは全く起こらない未来って思ってくれてるんだな」
「……うるさいわね。だから何か妙な事を言おうとしている、って最初に言ったのよ。占った通りになってしまったわ、みっともない」
「妙な事を言おうとしてたのはお前の事だったのか……?」
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