「世界中に色々な料理があるけど、一度は食べてみたい料理ってあるか?」
「何かしら、突然、気持ち悪いわね。何を訊きたいのかさっぱり分からないわ。話題を作り直してきてちょうだい」
「いや、そんな味にうるさい頑固親父みたいな事を言わずに……一度は食べてみたいけど、まだ食べた事が無い料理って何かあるのかな、と思ってさ。特に物凄い高級料理とか」
「あら、高級料理と言われても難しいわね。例えばどんなものがあるのかしら?」
「うーん、そうだなぁ。料理というか食材だけど、世界三大珍味なんてどれも高価じゃないのかな」
「あらそう。フライドポテトとポテトチップとコロッケの事ね。確かにとても高価だと思うわ」
「全然三大じゃないぞ!どれもジャガイモを揚げただけじゃないか!しかも全然高価じゃないし!」
「まぁ、ただジャガイモを揚げただけであんなに美味しくなる料理を上回る料理なんてあるのかしら。物凄く高い価値があると思うし、高いクラスに属する料理だと思うわ。要するに高価で高級というわけね」
「いや、今回はそういう言葉遊びじゃなくて、実質的な金額で考えて欲しいんだけどな」
「あらそう。仕方が無いわね。それならフライドポテトとポテトチップとコロッ……」
「ちょっと待った!それは高価じゃないって言ってるじゃないか!」
「うるさいわね。私の言葉が揚がりきる前に会話の油から出してしまうなんて失礼な。スーパーで売っているジャガイモだけがジャガイモだと思ったら大間違いよ。世界中を探せば、とんでもない希少で貴重なジャガイモがあるかもしれないじゃないの。1個5万円くらいするかもしれないわ」
「そりゃそんなジャガイモがあったら一気に高級料理の仲間入りかもしれないけど、あくまで平均的な素材の価格で考えて欲しいな」
「あらそう。仕方が無いわね。それならフライドポテトと……」
「ちょっと待った!フライドポテトは特に高価じゃないってさっきから言ってるじゃないか。頼むから真面目に答えてくれ!」
「うるさいわね。どうして私の言葉を会話の油の中に入れる事さえ許してくれないのかしら、腹立たしいわね。あなたの貨幣価値や市場価格が普通だと思ったら大間違いなのよ。たった一個のジャガイモを買うために一日中働かなければならなかったり、それどころか一ヶ月働かなければならない人だって世界にはたくさんいるのよ。それをフカヒレとかエイヒレとかヒレカツとかヒレステーキとかヒレ酒とか、誰もが苦労せずに食べれて当たり前みたいな顔をして言うべきではないと思うわ」
「うっ、それはそうかもしれないけど……一応僕達の生活水準を基準にして話してくれると嬉しいんだけどな」
「あらそう。卑劣なあなたの生活レベルに比例させて非礼なヒールで悲恋を演じれば良いのね。って、くだらない事を言わせないでちょうだい。ヒレなんてどこから出てきた言葉なのかしら、気持ち悪いわね」
「いや、僕は一言も言ってないけど……要するにヒレが高級料理って事で良いのか?」
「ええ、そうね。味も値段も知らないけれど、私が料理してあげたから最高級の単語になったと思うわ」
「……それはそれでまたスゴイ基準だな……」
「高級クリックボタンよ。クリックしてみてちょうだい」
「ツイッター とかいうものを始めてみたわ」
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