「そういえばお前はフライドポテト以外に何か食べたくなる事ってあるのか?」
「あら、何かしら、突然、気持ち悪いわね。人をフライドポテトだけ食べていれば生きていける妖怪みたいに言うなんて失礼な」
「誰もそんな事言ってないだろ!でもフライドポテトばっかり食べてるのは事実じゃないか」
「うるさいわね。何故か私達は昼食だけは一緒に食べる間柄だし、私が他のものを食べているシーンだって何度も目にしているはずよ」
「そんなただのランチ友達みたいに言わなくても……僕達は付き合ってるんだぞ」
「うるさいわね。冗談に決まってるじゃないの。いっぱい食わされたわね。私みたいな人を食えない人というのよ」
「いや、そういう上手い表現についての話じゃなくて……」
「しつこいわね。食い気味にツッコミを入れるのは辞めてちょうだい。いつもあなたに注意ばかりされている私はショック症状で食傷状態なのよ。とにかく私は食えない人と言っているじゃないの。フライドポテト以外には何も食べたいと思わないわよ。好きなものを最初に食べるか最後に食べるか、というのがよく議論になるけれど、私には最初も最後も無いわ」
「どういう事だ?」
「フライドポテトと他の料理が並んでいたとしたら、フライドポテトだけを食べておかわりのフライドポテトが出てくるのを待つタイプよ」
「な、なるほど。最初から最後までフライドポテトって事か。でも一人の分量が決まってて、まだお腹がいっぱいになってないのにおかわりが出ない状況もありえるぞ」
「ええ、そうね。あなたがどんな状況を想定しているのか分からないけれど、おかわりが無ければあなたの分を食べるから大丈夫じゃないかしら」
「……まぁその場に僕もいれば構わないけどさ……でも毎日の弁当ではフライドポテト以外のものを食べてるじゃないか」
「ええ、そうね。家から揚げてくると昼までには味が劣化してしまうもの。そこがフライドポテトの唯一の欠点と言えるかもしれないわね。学校で火と油を準備するのは大変だし、毎日教室で調理をしていたら周りのクラスメイトがまだ調理していない揚げ物のタネを持ってきて、私に揚げ物を依頼し始めるかもしれないわ。どうして貴重な昼休みを費やして天ぷら屋とか串揚げ屋のような真似をしなければならないのかしら、面倒臭いわね」
「……なんかちょっと楽しそうだと思っちゃったけど……他のクラスメイトと打ち解けるチャンスだったりして……でも最終的に僕が全部やらされそうだから確かに面倒だな……完全に校則違反だろうし……」
「何をごにょごにょ人気のレストランと固定給のフランチャイズ契約をした結果、予想外に売り上げてしまって固定給ではなくて歩合制にすれば良かったと後悔している雇われ店長のように呟いているのかしら、気持ち悪いわね。とにかく私は他のものを食べたり揚げたりしたいとは思わないわよ。せいぜい短い長いくらいね」
「なるほど。一応その時に食べたい長さってのがあるわけか。意外と奥が深いんだな」
「違うわよ。身近な話題くらいね、って言ったの。フライドポテト以外に平らげるものと言えば、あなたが気にしている話題くらいよ。良かったわね。大食漢の彼女がいて」
「確かにどれだけ話してても全く飽きないぞ。いつもありがとう」
「……何かしら、突然、気持ち悪いわね。そういう甘いものは食あたりを起こすから辞めてちょうだい」
「……全く素直じゃないな。まぁそういうところも好きだけど」
「何度クリックしても全部平らげてやるわよ」
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