「なぁ、お前は白い服って持ってるのか?」
「あら、何かしら突然。いつも汚れた服を着ている洗濯機が無い家の娘みたいな認識を突然されているのは一体何故なのかしら。別に貧乏だからといって卑屈になったり自らを蔑んだりはしないわよ。バカにしたい人は勝手に言わせておけば良いのよ。その代わりいつか確実に復讐する事を心に誓って……」
「ちょ、ちょっと待った。何か全く意図してない危ない展開になりそうな気がするぞ」
「あら、今は危なくないから大丈夫よ。油断させておいて一生癒えない深い心の傷を負わせるのが常套手段だもの」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!僕は別に復讐劇について話し合いたいわけじゃないんだ!ただ白い服を持ってるのかどうか訊いてるだけだぞ!」
「うるさいわね。復讐なんて冗談に決まってるじゃないの、失礼な。こんな話を信じるなんて、普段私の事を何だと思っているのかしら。いつか必ず今回の失礼な認識について痛い目に遭わせなければならないわね」
「……それって立派な復讐じゃないのか……」
「うるさいわね。冗談だと言ってるじゃないの。そんな事より何を話したいのかしら?何を言いたいのかさっぱり分からないわ」
「いや、だから白い服を持ってるのかどうか気になったんだけど……いつも黒い服を着てるからな。たまには……」
「引っぱたくわよ」
「何でだよ!何も言ってないぞ!」
「うるさいわね。【性格とか人間性が真っ黒なんだからせめて白い服で隠さないととても見れたものじゃない。まるで備長炭が歩いてるみたいだ。このままじゃ白い服を着たってすぐに汚れてザッハトルテみたいになるに違いない】と言おうと思ったんでしょう?身体が黒くとろけてしまっているじゃないの、失礼な。あなたの事は何でもお見通しよ」
「そんな事思うわけないだろ!人間性だって黒くないし、それとは別に黒い服は凄く似合ってると思うぞ。ただ興味があって訊いただけじゃないか」
「あらそう。残念ながら持ってないわよ。白いのは制服のシャツくらいなものね。黒い服だらけのクローゼットの中に掛けてあるととても目立って腹立たしいわ。おはぎの山の中に一つだけアンコを塗り忘れたおはぎが混じってるみたいなカンジかしら。いつか黒いシャツに替えてやりたいくらいよ」
「流石に黒いシャツに替えたら先生も気付くと思うぞ。学年トップの成績のお前に注意をする勇気があるかどうかは分からないけど……」
「さぁ、どうかしらね。でも我慢して白いシャツを着る方が良さそうね。私には言いづらくてもあなたには言いやすいでしょうから。あなたのせいで私が変わったとか思われたらたまらないわ」
「うっ、そんなに僕の影響を嫌がらなくても……」
「……何を言っているのか分からないけれど、私のせいであなたの評価が下がるなんて耐えられな……って、何を言わせるのかしら、みっともない。とにかく私は黒い服が好きなのよ。無闇に値切れるもの」
「へー、知らなかったけど、そうなのか?でもどの服も全く安そうには見えないぞ」
「違うわよ。闇に紛れるもの、って言ったの。白い服じゃお化けか何かと間違えられてしまうかもしれないものね。黒い服なら咄嗟に顔さえ背ければ全部真っ黒になってバレないわ」
「……まさか黒い服は僕をストーキングするためだったのか……?」
「頭を真っ白にして言われるままにクリックしてちょうだい」
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