前回
「それはそうと今日は一体何を話したいのかしら?何が何だかさっぱり分からないわ。日本語が知らぬ間に退化しているんじゃないかしら」
「いや、別に話したい事を好きに話してくれれば良いんだけどさ。でもせっかく進化の話になったし、人間が進化して何か一つ能力が増えるとしたらどんな能力が欲しいか、って話でもしようか」
「あらそう。あなたはどうなのかしら?」
「そうだなぁ、例えばどんな能力があるかな。瞬間移動とか、物を動かしたりとか……」
「直前に私が言った言葉くらいは記憶しておきたいとか、小学生と話せるくらいには日本語を理解したいとか、そういう事ね」
「それくらいは既に備わってるぞ!」
「うるさいわね。冗談じゃないの。それよりあなたはもしかして超能力のような能力が欲しいのかしら?」
「いや、例として言っただけで必ずしもそういうわけじゃないぞ。他にも例えばずっと健康なまま生きられるとか、今後の世界の食糧事情を考えると、食べずに生きていける能力とか……」
「一人でコンビニに買い物に行けるようになりたいとか、夜中に一人でトイレに行けるようになりたいとか、そういう事ね」
「だから既にそれくらいの能力は備わってるってのに!どういう解釈の仕方をしてるんだ!」
「うるさいわね。冗談だと言ってるじゃないの。あなたはすぐに興奮して世界にたった一人しかいない味方を怒鳴りつけてしまうのを辞める能力を手にするべきじゃないかしら」
「いや、妙な事を言うからツッコんでるだけで、怒鳴りつけてるつもりはないんだけど……って、僕の味方って世界に一人しかいないのか?」
「ええ、そうね。真実を知って傷付いてしまったかしら?悪かったわね。既にあなたの両親も良心の呵責を乗り越えてあなたを見捨てたというウワサよ」
「いつの間に僕の両親とそんな話をしたんだ!全く。でもホントに両親が見捨てるような事態になってもお前だけは味方でいてくれるんだな。それは素直に嬉しいぞ」
「あら、自己嫌悪が激しい性格なのね。もっと自分の事を好きになってあげても良いんじゃないかしら」
「え?どういう事だ?今の話とは関係ないような気がするけど」
「あらそう。否定しないのね。私はあなたの味方はあなた一人、という意味で言っていたのよ。でもあなたは私だけが味方だと思っているんでしょう?」
「ああ、そういう意味か……って事は僕は自分自身を怒鳴りつけてるって言ってたのか!?」
「ええ、当たり前じゃないの。自分にも能力が備わっていて嬉しいから大声で確認していたんでしょう?」
「お前が失礼な事を言うからツッコんでたに決まってるだろ!」
「まぁ、という事は今の言葉も含めてずっと私を怒鳴りつけていたのね、失礼な。泣いて土下座でもすればひょっとしたら味方になってあげても良いと思っていた私の思いやりを踏みにじるつもりなのかしら。二度と私に近寄らないでちょうだい」
「それじゃ僕を哀れんでるから一緒にいてくれてるみたいな言い方じゃないか。いくらなんでも酷いぞ。僕はお前の事が大好きなのに」
「……うるさいわね。そんな弱々しい態度をしたからってあなたが期待するような言葉を言ったりすると思ったら大間違いよ。私は素直に正直に生きていける能力を手にしようと日夜努力している最中だもの」
「って事は僕の味方じゃないってお前は思ってるわけか……うう、悲しい」
「……違うわよ。努力している最中、って言ってるじゃないの。察しが悪いわね。あなたみたいな人の傍にだけは一生いたくないわ」
「あなたもクリックする努力をしてちょうだい」
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