【会話ブログ】私の視線はカーテン凍る | 【会話ブログ】

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カーテンは何色? ブログネタ:カーテンは何色? 参加中


「そろそろ春だな」

「ええ、そうね。そろそろというより、もう充分に十二分に四十二日分くらい前から暦の上では春だったと思うけれど」

「う、うん、とにかくそろそろ暖かくなって身体を動かすのも億劫じゃなくなったし、部屋の模様替えでもしようかと思ってさ」

「あらそう。暖かくて身体を動かしたい気持ちはまだ理解出来るけれど、部屋の模様替えには一体どんな意味があるのかしら?」

「え、うーん、何となく今の配置に飽きたというか、まぁそんなカンジかな」

「あらそう。そうやってあなたは飽きると何でもかんでも変えれば済むという発想の持ち主だったのね。私に飽きるのも時間の問題なのかしら。私を変えるにはどうすれば良いのかしらね。新しいあなたに合わせて性格を捻じ曲げなければならないのか、それとも外見をあなた好みに整形しなければならないのか、もしくはいっそ付き合う人を変えなければあなたは納得しないのか、いずれにしてもこんな風に会話をしていられなくなる日も近いみたいね。二度と私に近寄らないでちょうだい」

「ちょっと待ってくれ!部屋とお前とは全く別の問題だろうが!」

「まぁ、本当にそう言い切れるのかしら。飽きっぽい性格である事は疑いようの無い事実だと思うわ。あなたは毎日食べる物も変わるし、二回連続で同じ私服も着てこないし、毎日携帯が表示する日にちも変わるわ。どう考えても部屋だけではなくて、他の全ての事においても飽きっぽいじゃないの。あなたより飽きっぽい人なんて世の中にいるのかしら」

「……どれもこれも普通の事だと思うんだけど……そもそもお前のフライドポテトみたいに同じものばっかり食べてる人はかなり少数派のはずだぞ。それにお前だって毎回着てくる服は違うじゃないか」

「……あら、何を言っているのかしら。私は毎回同じ黒い服を着ているじゃないの。適当な事は言わないでちょうだい。あなたのようなガサツで鈍感な人が私の服なんて見ているはずがないわ」

「そんな事無いぞ!確かにほとんどデザインが似てる黒い服だけど、確実に毎回違うのを着てるじゃないか。私服で会う時はいつもお前がどんな服を着てくるのか楽しみだし、ちゃんと気付いてるぞ」

「……うるさいわね。今はあなたが飽きっぽいかどうかの話をしているのよ。私の感動のエピソードなんて今回の話とは関係ないわ」

「え?何だそれ?」

「うるさいわね。とにかく飽きっぽい性格を直すためにももうしばらく今の部屋の状態のままで生活すべきだと思うわ。少なくとも模様替えをする事があったら私も手伝うから事前に言ってちょうだい。カメラの配置が重要だもの」

「何っ!?何か聞き捨てならない事を言わなかったか?」

「違うわよ。家具などの配置が重要、って言ったの。聞き間違えて興奮しないでちょうだい、失礼な。闇雲に配置を変えたらどこに何があるのか分からなくなってしまうわよ。あなたのようなぼんやりした人ではあなたが部屋のどこにいるのかだって全く分からなくなるに違いないわ。だから私が新しい配置を全て記憶しておいてあげるわよ」

「ああ、なるほど。そういう意味だったのか。そこまでしてくれなくても良いけど……でも一緒にあれこれ考えながら模様替えするのも楽しそうだし、もう少し今のまま過ごしてみるよ。今回は春らしい色にカーテンを変える程度にしておこう」

「ちょっと、何を考えているのかしら。ここまで散々あなたの飽きっぽさについて話してきたというのに、結局はしっかりと模様替えをするつもりじゃないの、腹立たしいわね。カーテンを勝手に変えるなんて絶対に許さないわよ。本当に腹立たしいわね」

「おい!どうしてそんなにキレるのか理解出来ないぞ!カーテンくらい変えても部屋のものは何も見失ったりしないじゃないか」

「うるさいわね。キレてないわよ、腹立たしい。カーテンが変わったら何もかも見失うじゃないの。腹立たしいわね。何を考えているのかしら、腹立たしい。全くキレてないじゃないの、腹立たしいわね」

「いや、今までに見た事が無いくらい怒ってるような気がするんだけど……分かったよ。よく分からないけどそこまで言うなら勝手に変えないよ。カーテンくらいでそんなにキレなくても良いのに……」

「違うわよ。キレてないわよ、って言ってるじゃないの。私もカーテンも全くキレていないわ。とにかく何も変えないならこれ以上私から言う事は無いし、もう話は終わりにしましょう」

「うん。まぁ模様替えしたくなったらちゃんと声を掛けるようにするよ」

「……新しいカーテンでは全く監視用の切れ込みが入っていないじゃないの……何を考えているのかしら……」

「おーい、何をぶつぶつ言ってるんだ?」


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「あなたがクリックしたかどうか、カーテンの外から監視してしまうわよ」


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