エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸 -36ページ目

ジョージアン・テラスド・ハウスの表と裏

  今回は、テラスド・ハウスの表と裏のファサードについて紹介します。下の写真は

 ハイ・ストリート・ケンジントン駅近くにあったジョージアン・スタイルで統一された通

 りを写したものです。PHOTO-1が表通り側を、PHOTO-2が裏側を、PHOTO-3

 その妻面を写したものです。


  イギリスは地震がないため、同じ街区にたつテラスド・ハウスは、各住戸の外壁間 

 に空隙を設けることがなく、外壁同志をくっつけて建てられています。また、各テラ 

 スド・ハウスの表通りに面した面が、街区ごとに建物の高さと外壁面の出面が揃い
 交差点から交差点まで隙間なく続くため、ひとつの街区に通りに沿ってひとつの

 長い建物が立っているように見えます。

こういった建て方のため、大半のテラスド・ハウスの各住戸ファサードは、表通りに面した表(Front)と、その反対側の裏(Back)の2面しかありません。つまり、妻住戸を除き側面(Side)ファサードがありません。この建て方は、フロント・ファサードは表通りからしか見えません。バック・ファサードは、バック・ガーデンか、裏通りからしか見えません。つまり、フロント・ファサードとバック・ファサードが同時に見えることがありません。この性質を利用して、表通り側が格調高く仕立てられているのにもかかわらず、裏面がほとんど化粧をしないでコストダウンを図った例を数多く見かけました。

エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-ジョージアン・スタイルのタウンハウス

■ PHOTO-1

上の写真はハイ・ストリート・ケンジントン駅周辺の住宅街を写したものです。

前回の記事で紹介した通りの撮影地点からさらに駅から離れる方向200m

程行ったところで見つけた街並みです。ハイ・ストリート・ケンジントン駅から徒歩

10分のところにありました。ホワイト・タッコ塗りの中に黄煉瓦を残すアーリ

ー・ジョージアンと、面ホワイト・スタッコ塗りのレイト・ジョージアンがり混

ったテラスド・ハウスが立ち並ぶ街区です。

  

 テラスド・ハウスには必ずと言っていいほど表通り側にはフロント・ガーデン、 

裏側にはバック・ガーデンが付いてます。フロント・ガーデンには平地駐車場
  奥行きm程の地下室採光用のドライエリア、猫の額のような小さな庭、そして、

玄関ポーチに至る屋外階段が設置されています。
  

  テラスド・ハウスには、どの住戸にも表通りの地盤レベルより1.5m程

レベルが下にある地下室が設けられているため、各住戸の1階の床レベルが、

通りの地盤レベルより1.5m程床レベルが高い位置にあります。そのため、
  テラスド・ハウスの玄関ポーチは、半階程高い位置にあり、ポーチに至る屋外
階段は必ずと言っていいほど7~9段程上る構造になっています。

つまり、テラスド・ハウスの多くがバリア・フリーの構造にはなっていません。


エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-バック・ファサード

■ PHOTO-2


 上の写真は、PHOTO-1の通りの左側のテラスド・ハウスの裏側を、PHOTO-

の通りに直交する通りから撮った写真です。PHOTO-1のテラスド・ハウスの表

側ファサードと同じホワイト・スタッコで化粧仕上げされ、建物頂部にはコー二ス、

にはホワイト・スタッコの額縁が付き、テラスド・ハウスを立派に見せるため

づくりがれています。これに対してこの写真に写っている裏側のファサー
  は、ロンドン産の黄煉瓦に木製のホワイト・サッシの窓を付けただけの顔づく

されていません。

 

ロンドン産の黄煉瓦は、イギリスではストック・ブリック(STOCK BRICK)と

ばれています。つまり「幹となる煉瓦」という意味で躯体用の煉瓦です。ロンドン

のテラスド・ハウスの多くが、裏側は表通りから見えないということで、化粧が省

れ、ストック・ブリックを積んだだけのファサードとなっています。




これはテラスド・ハウスの分譲価格を少しでも安くするための措置だと思います。

表通り側は豪華に見せるための顔づくりにはコストをかけて顔づくりをしますが、

表通りから見えない裏側は徹底してコストをかけないタウンハウスづくりをしてい

ます。


エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-サイド・ファサード

■ PHOTO-3


上の写真は、PHOTO-2と少しアングルを変えて、テラスド・ハウスの妻側

ファサードを写しました。妻側のファサードは、表通り側ファサードのホワイト・

  スタッコ塗り仕上げとデザインを延長し、裏側外壁の角で仕上げを取り止めて

  います。その角からストック・ブリックのむき出しのファサードに切替えて

  ます。

ヴィクトリアン・テラスド・ハウスの表と裏


エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-フロント&バックファサード

■ PHOTO-1 


上の写真は、ハイ・ストリート・ケンジントン駅から徒歩で5分ほどの距離にある

ヴィクトリアン・スタイルのテラスド・ハウスが立ち並ぶ街並みを写したものです。

通りの右側にヴィクトリアン・スタイルのテラスド・ハウスのフロント・ファサード、

左側にヴィクトリアン・スタイルのテラスド・ハウスのバック・ファサード、突き当り

に、前回のハイ・ストリート・ケンジントンの記事で紹介したレイト・ジョージアン・

スタイルのテラスド・ハウスのフロント・ファサードが見えてます。



エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-ヴィクトリアン・バックサイド


■ PHOTO-2



上の写真は、PHOTO-1の通りの左側に写っているヴィクトリアン・スタイル
  の
ラスド・ハウスのバック・ファサードをPHOTO-1と反対方向のアングルで
  撮ったものです。


このテラスド・ハウスは表通りに面しています。また、通りの対面のあるテラスド・

ハウスも、ヴィクトリアン・スタイルのフロント・ファサードのデザインが施されてい

ます。それにもかかわらず、この通り側がこの写真の右側のテラスド・ハウスに

とっては裏側になるため、ストック・ブリックのむき出しのファサードになっていま

す。


結局、ジョージアンもヴィクトリアンも躯体をストック・ブリックでつくり、フロント・

サイドをジョージアンはイェロー・ブリック又はホワイト・スタッコで、ヴィクトリアン

はレッド・ブリックで化粧し、バック・サイドはストック・ブリックむき出しのままで

仕上げるのが、ロンドンのテラスド・ハウスの最も一般的に行われている施工

方法のようです。

  

ロンドンのタウンハウスの煙突

ロンドンのタウンハウスの外観を特徴付けるものは、屋根から象徴的に突き出た「煙突」です。


1700年代、ジョージアン朝の初期に、地方の失業者や海外からの移民がロンドンに流入し、それに呼応して大量にタウンハウスが建設されました。大半がワンルーム形式の労働者用住宅でした。建設コストが安く、大量にということでそうなったと思いますが、内部に間仕切りがなく、憩う、寝る、調理する、食事をする、用を足す、お風呂に入るという住まいに伴うすべての生活がワンルームで行なわれる形式のものでした。


その生活の中心になったのが暖炉です。暖炉の火一つで暖を取り、その火の脇に鍋を置いて煮炊きをし、やかんを置いてお湯を沸かし、その傍にテーブルと椅子を置いて食事をし、お茶を飲み、持ち運びできる桶を床に置き、やかんからお湯を注いでお風呂に入ることができました。そのワンルームがまさにその名の通り[生活をする部屋=Living Room]でありました。


人々の暮らし向きが豊かになるにつれて、[Living Room]から[寝る部屋=Bed Room]、[食事する部屋=Dining Room]、[調理する部屋=Kitchen]、[お風呂に入る部屋=Bath Room]が独立して設けられるようになりましたが、イギリス人にとって暖炉が常に生活の中心にあり、住まいに必要不可欠のものでした。


こうした住宅開発初期の暖炉の中心とした家づくりは、いくつかの部屋が多層階に積み重なったタウンハウスにも引き継がれています。現在なお住まわれ続けている100年以上たつ伝統様式のタウンハウスを見ると、各階の主だった部屋には必ず「暖炉」が設けられています。そして、暖炉から煙道を経て煙突に至る「火まわり」部分の構造部分と装飾が、ロンドンの煉瓦造りのタウンハウスの特徴を発揮する舞台となっています。


ロンドンの煉瓦造りのタウンハウスは、下図に見るように、いくつかの部屋にある暖炉と煙道が配置よく検討され、煙突がまとまって、界壁や戸境壁の煉瓦壁体の部分に整然と並ぶように設計されています。また、破風や屋根の上に突出する煙突上部は、目に付きやすい位置・小塔としての象徴的な視覚価値から、煉瓦造の積み方・細工を含めて建築的表現上の重要な部分となっています。実際、屋根から突き出た数々の煙突が、ロンドンの住宅街のスカイラインを表情豊かなものにしています。



エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-煙突と煙導


■ 煉瓦の界壁の暖炉と煙導と煙突の納まり図


  上は、テラスド・ハウスの界壁の暖炉と煙導と煙突の納まり図です。

  ロンドンのテラスド・ハウスは、長屋形式の共同住宅です。日本で長屋と言え

  ば、木造の平屋か2階建ての、庭付きの住宅が横につながったものを想像し

  ますが、ロンドンの長屋は、日本より規模が大きく、煉瓦造で地下1階、地上

  3階~5建ての庭付きの住宅が横に何戸も連接し、つながっています。

  

  上の煙突の納まり図は、地下1階、地上3階に屋根裏部屋がついた典型的

  なテラスド・ハウスの戸境壁の納まり詳細図です。左が断面展開図、右が

  平面図です。ロンドンの一般的なテラスド・ハウスの住戸の戸境壁は、

  屋根や各階の床を支える煉瓦造の構造壁になっていますが、上の図は、

  その構造壁に沿って、各階各室に設置された暖炉から屋根の上の煙突まで 

  「煙の道」つまり煙導がどのように配置されているかを示したものです。





エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-スカイラインの煙突


■ スカイラインを彩る煙突

  

  上は、ハイ・ストリート・ケンジントンからノッティング・ヒルに向かう通りを散策

  中に見つけたヴィクトリアン・スタイルのテラスド・ハウスの写真です。

  外壁がヴィクトリアン・スタイルの特徴である赤煉瓦が使われています。頂部

  の勾配屋根部分が、赤煉瓦タイルを使ったこけら葺き仕上になっています。

  

  勾配屋根部分を見てください。上の煙突の納まり図で示した煉瓦でできた

  戸境壁が屋根の仕上げ面から突き出ているのが見えます。戸境壁が屋根面

  より突き出ているのは、屋根が木造でできているため、火災が起きた場合の

  隣戸の延焼防止措置だと思います。

  

  その戸境壁の最上部の天端部分が、ホワイト・スタッコで塗り固められてい

  ます。それは、その部分が雨や紫外線に対して暴露部分となるため、その他

  の外部の垂直部分の仕上より、煉瓦が速く劣化します。それが雨漏りの原因

  になるとともに、建物全体を劣化させます。天端のホワイト・スタッコは、その

  防止対策として行われているものです。そのホワイト・スタッコが屋根面の

  赤褐色とのコントラストが利いてデザイン的にも利いています。

  

  屋根の最上部には、先の戸境壁の上に煉瓦でつくった煙突の立ち上がり壁

  が突き出ているのが見えます。その頂きに煙突が2列突き出ているところが

  ありますが、そうした部分で、相接する2つの住戸で共用する戸境壁の両側

  に、それぞれ暖炉が設けられている様子を見て取ることができます。





エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-象徴的煙突


■ 煙突を象徴的に扱ったタウンハウス


  上は、上の写真と同じく、ハイ・ストリート・ケンジントンからノッティング・ヒルに

  向かう通りを散策中に見つけたヴィクトリアン・スタイルのディタッチド・ハウス

  の写真です。

  外壁仕上げに、基壇部分(1階部分)にロンドン産の黄煉瓦が、上部(2~3

  階、屋根裏部分)にヴィクトリアン・スタイルの特徴であるこけら葺きの赤煉瓦

  タイルが使われています。煙道が外壁に沿って設けられ、煙突が屋根面より

  独立して高く立ち上がっています。煙突がこの住宅の外部デザインを印象的

  なものにしています。

ハイ・ストリート・ケンジントン周辺の住宅街

2008年末から2009年正月にかけて行ったロンドン旅行で、私が泊ったコプソーン・タラ・ホテルは地下鉄サークル・ラインのハイ・ストリートケンジントン駅の近くにありました。ハイ・ストリート・ケンジントンは、ダイアナ妃の住まいがあったケンジントン・ガーデン近くにあり、映画「ノッティング・ヒルの恋人」で有名なノッティング・ヒル・ゲートが隣の駅です。ハイ・ストリート・ケンジントン駅周辺地区は、ロンドンの中心市街地に近い住宅街にありながら、閑静で落ち着いた雰囲気をもつ高級住宅街になっています。


今回は、そのハイ・ストリート・ケンジントン駅周辺の住宅街を紹介します。ハイ・ストリート・ケンジントン駅周辺の住宅街は、ジョージアン・スタイルのタウンハウスが立ち並ぶ街並みとヴィクトリアン・スタイルのタウンハウスが立ち並ぶ街並みが入り混じっています。しかし、日本の住宅街のように、敷地ごとに材料、工法、建築様式、外部デザインが異なる建物が接するようなことはほとんどなく、街区ごとにタウンハウスの建築様式・外部デザインが統一され、異なる建築様式に切り替わる場合には、必ず街路を挟んで切り替わっています。


今回紹介する写真は、建築様式の異なるタウンハウスが実際どのように切り替わっているのかを紹介するため、ハイ・ストリート・ケンジントンの住宅街の中でも、ジョージアン・スタイルとヴィクトリアン・スタイルが混在する住宅街をあえて選びました。下に掲げる写真は、ジョージアン・スタイルのテラスド・ハウスとヴィクトリアン・スタイルのテラスド・ハウスが、入り混じっているように見えますが、それぞれ別の街区に建っていることを確認できると思います。


ロンドンのテラスド・ハウスは、多くが2住戸でペアになっています。そのペアが左右裏返しのシンメトリープランとなっています。住戸のプランだけでなく、プランに対応して窓の配置や窓の形や外部のデザインも左右裏返しになっていて、2住戸がプラン、外部デザインとも完全シンメトリーになっています。ロンドンのセミディタッチド・ハウスは、プラン、外部デザインとも、左右裏返しの完全シンメトリーになっていますが、ロンドンのテラスドハウスは、そのセミディタッチド・ハウスをいくつも連結していくような建てられ方がされています。


下の写真(№2)の外観が真っ白に見えるタウンハウスは、ファサード全体をスタッコ塗りしたタイプのレイト・ジョージアン・スタイルのテラスド・ハウスです。この写真でも判るように、ジョージアン・スタイルのテラスド・ハウスは、19世紀にロンドンの人口が急増し、ディベロッパーが住宅を大量供給した時代の建築様式です。短期間に大量供給するため間取りが同じものを、同じ材料を大量に使い、同じ工法でつくるように合理化され、その結果、各住戸の外観デザインがあまりに似かよったものになっています。


初めてジョージアン・スタイルのテラスド・ハウスのある住戸へ私達が訪問する場合、ジョージアン・スタイルのテラスド・ハウスは、通りに面して立ち並ぶ各住戸のファサードが、同じ窓の配置、同じ形、同じデザインになっているため、つまり、あまりに同じ顔をした住戸が延々と続くため、住戸のファサードだけでは、目的の住戸を他の住戸と識別することが非常に難しい形態になっています。もし訪問する住宅の番地を忘れてしまった場合には、目的の住戸にたどりつくのが大変難しそうな外観です。それほど各住戸の顔が同じ顔をして並んでいます。


(実はこの話をしていて、各住戸の顔が同じで識別ができないことは、日本のマンションの方がもっとひどい状態であるのに気が付きました。)


下の写真の左奥、通りの突き当りに見える赤煉瓦造りのタウンハウスは、ヴィクトリアン・スタイルのテラスド・ハウスです。このテラスド・ハウスが建っている街区は、すべてヴィクトリアン・スタイルで統一されています。この街区は、100m程同じヴィクトリアン・スタイルの外観デザインが施された街並みが続きます。


ヴィクトリアン・スタイルのテラスド・ハウスは、ジョージアン・スタイルのあまりにも同じ間取り、同じ顔に施されたデザインに、住宅購入者がもの足らなくなったため生まれた建築様式です。ジョージアン・スタイルのテラスド・ハウスより、赤煉瓦を外装に使うことでより華やかに、各住戸のプラン、窓、外部デザインを細かく変えることで、より個性を表出するデザインが施されています。


これはあくまで私の印象ですが、ジョージアン・スタイルでまとめられた街区は、真っ白なファサードが多く、しかも、シンプルで同じような外観デザインで仕立てられているため、清楚でおとなしい女性的イメージの街並みに見えます。これに対して、ヴィクトリアン・スタイルでまとめられた街区は、赤色のファサードでタウンハウス戸々が個性的デザインを競い合っているため、自己主張が強い野性的な男性的イメージの街並みに見えます。


ロンドンの住宅街を散策しますと、街角を曲がるたびごとに、今まで歩いてきた街がヴィクトリアン・スタイルの街並みであったものが、ジョージアン・スタイルの街並みへというように、異なる建築様式をもった街並みが次々に展開していきます。街歩きが好きな私のような者にとっては、次の街角を曲がるとどんな街並みが待っているのだろうかと探索心をかきたてられます。あてどなく散策するうちに、次々に展開する彩り豊かな街並みに目を奪われて、気がつくととんでもなく遠い所まで歩いてしまっています。それほど魅力的な街並みです。




エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-ハイストリートケンジントン1


■ テラスド・ハウスー№1

  

 上の写真の通りの突き当りのタウンハウスは、ヴィクトリアン・スタイルの

 テラスド・ハウスです。このテラスド・ハウスが2住戸でペアになっているの

 が、窓、バルコニー、ポーチの形や外部デザインの違いから見て取ることが

 できると思います。下のレイト・ジョージアンのテラスド・ハウスに比べて

 各住戸間の窓や外部のデザインを変化させ、各住戸の個性の表出を打ち

 出しているのがわかると思います。



エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-ハイストリートケンジントン2

■ テラスド・ハウスー№2

   

  上の写真は、豪華に見せるため、煉瓦造の外壁の上に全面にホワイト・

  タッコを塗って石造に似せた、レイト・ジョージアンのテラスド・ハウスです。

  どの住戸の窓、出窓、バルコニー、ポーチ、門柱も形が同じで、ほぼ同じ

  デザインでつくられ、各住戸がほぼ同じ顔をしているのを見て取ることが

  できると思います。



エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-ハイストリートケンジントン3

■ テラスド・ハウスー№3


  テラスド・ハウスー№1の写真と同じ通りに立って、テラスド・ハウスー№1と 

  は反対の方向を撮った写真です。

  ファサード白いレイト・ジョージアンと赤いヴィクトリアンが入り混じっている

  のが見えますが、街区ごとにタウンハウスの建築様式が統一され、建築様

  式が切り替わるのは、街区が切り替わる時にしか切り替わっていないのが

  見て取ることができると思います。

  

  こうした街区ごとのタウンハウスのファサード・デザインの統一が可能に

  なったのは、ロンドンのディベロッパーによる大規模な住宅が17世紀に

  始まり、まとまった規模の住宅開発が、道路、宅地の開発・整備から、住宅

  の建設・販売まで一つの不動産業者と建設業者を兼ねた開発業者に任さ

  れてきたところによるところが大きいと思います。特に住宅地については、

  その傾向が顕著であり、街区ごとに同じ開発業者に開発が任されてきた

  ことが、街区ごとのファサード・デザインの統一が可能になり、現在のロンド

  ンの住宅街の落ち着いた街並みになったのだと思います。


建て方による分類

(1)タウンハウスの建て方による分類



イギリスの住宅は、建て方の違いで大きくハウス(house)と呼ばれる住宅とフラット(Flat)呼ばれる住宅の2種類に分けられます。


ハウス(House)と呼ばれる住宅は3種類あります。

1) 独立した一戸建て住宅は・・ディタッチド・ハウス(Detached House

2) 2戸連続した住宅は・・・・・・セミ・ディタッチド・ハウス(Semidetached House

3) 3戸以上連続した住宅は・・テラスド・ハウス(Terraced House

と呼ばれています。(日本ではテラス・ハウスと呼んでいますが、その綴りの通り

テラスド・ハウスの方が正しい呼び方です。)


フラット(Flat)と呼ばれる住宅は、日本でアパートとかマンションで最も一般的な形式と同じ形式のもので、一ファミリーが同一階を使う形式の住戸が縦に積み重なった集合住宅を指します。



(2)ハウス(House


ハウスとフラットの一番の違いは、すべての住戸が地面に接して専用庭をもつかどうかです。セミ・ディタッチド・ハウスとテラスド・ハウスは一戸建て住宅が横につながった形と考えられますから、ハウスと呼ばれる住宅は、すべての住宅が専用庭をもつ住宅と考えてもよいと思います。





ロンドンでは地下1階地上3~8階建のテラスド・ハウスを見かけますが、それらは「ハウス」ですから縦に積み重なった住宅ではなく、横につながった住宅です。つまり、庭付きの地階から最上階まで細く縦に伸びた一軒一軒の住宅が戸境壁を共用して横に連続したものです。いわゆる日本で「長屋」と呼ばれる形式の集合住宅です。


かつては、地階は台所を中心とする使用人の仕事場、1階にはダイニングルーム、2階には応接間、3階以上には寝室、最上階の屋根裏には使用人の寝室、という具合に階ごとの用途が決まっていたそうです。


テラスド・ハウスは、高密度高集積で住まうことを余儀なくさせられる都会の真ん中であっても、イギリス人の、大好きなガーデニングをしたい、庭で食事をしたい、子供に庭遊びをさせたいという欲求がこの形式の住宅を発展させたのではないかと思います。つまり、テラスド・ハウスは、文字通りのディタッチド・ハウス(Detached House=隣と離れた住宅)ではないけれど、タッチド・ハウス(Touched House=連続住宅)にすることによって土地の有効利用をし、都会の真ん中であっても各住戸が専用庭をもつディタッチド・ハウス(=戸建て)感覚を味わいたいという欲求を実現した住宅ともいえます。ロンドンのタウンハウスのうち、ジョージアンやビクトリアンの伝統様式で建てられている住宅のほとんどが、この形式で建てられています。




(3)フラット(Flat


テラスド・ハウスが、各住宅が横につながった長屋形式の集合住宅であるのに対して、フラット(Flat)は、各住宅が縦に積み重なった日本のマンションやアパートと同じ形式の集合住宅です。フラット(Flat)の意味は、一ファミリーが同一階を使う、つまり、平ら(=Flat)に使う形式の住宅であることから、一ファミリーがいくつもの階を縦に使うハウスと区別してそう呼ばれているのだと思います。このタイプの住宅は、その名が示す通り、名前の後ろに「ハウス」という言葉が付いていません。つまり、日本でマンションと呼んでいる集合住宅は、イギリスではハウスの仲間に入れてもらえていないようです。



エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-ディタッチド・ハウス
























 ■ ディタッチド・ハウス(Detached House


   

   ハム・ステッド・ガーデン・サバーブの1900年代初頭に流行ったエドワーディ
   アン・スタイルの戸建て住宅。




エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-セミ・ディタッチド・ハウス



























  

    ■ セミ・ディタッチド・ハウス(Semidetached House  

  

  ◇ ロンドンのハム・ステッド・ガーデン・サバーブの2戸で1棟建てのエド
      ワーディアン・スタイルのセミ・ディタッチド・ハウス。

  

  ◇ ロンドンの住宅の多くは定期借地の建売分譲住宅です。セミ・ディタッチ

    ド・ハウスは、2住戸の間の空地が節約できるため、一戸当たりの宅地

    面積を少なくすることができ、建設コストも安くすることができます。そのた

    め、ディタッチド・ハウスより安価な価格で売買されています。

  

  ◇ ディタッチド・ハウスに住みたいけれども、収入がそれ程ない人にとって、 

    手軽に購入できることから、セミ・ディタッチド・ハウスはロンドンでは高い

    人気があります。そのため、ロンドン郊外ではディタッチド・ハウスより、

    セミ・ディタッチド・ハウスの方が多くみられます。




エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-テラスド・ハウス


  ■ テラスド・ハウス(Terraced House


     ハイ・ストリート・ケンジントンからノッティング・ヒルに向かう道筋にあったヴィ

  クトリアン・スタイルのテラスド・ハウス。屋根の上に突出している煙突付きの

  立ち上がり壁は、戸境壁です。




エンドウ・アソシエイツ加藤峯男の無陸-フラット


■ フラット(FLAT)

  

  上記の写真は、テムズ河畔の街ピムリコのモダン・スタイルのフラットです。