間接製鋼法では 銑鉄の脱炭がむずかしいと述べましたが、銑鉄を脱炭する方法はいくつかあります。
まずは 前回述べたように小分けした銑鉄塊をロストフのような受け台のうえで炭といっしょに酸化炎で焼く方法です。
これが一番簡単で直接的な方法です。
次は、坩堝のような容器に銑鉄をいれて全体を加熱して銑鉄を溶かしてそれを棒でかき混ぜて空気と触れさせて銑鉄内部の炭素を燃焼させて炭素量を下げる方法です。
これが炒鋼法の原型のようです。この時ちょうどよいところで脱炭の操作をやめないと完全に炭素を失って極軟鋼になってしまいます。
この失敗を古代中国では 一炒到底とよんでいます。
実はわたしも電気炉で完全な空気との遮断のできていない環境で銑鉄を溶解したら炭素量ゼロの極軟鋼ができてしまった苦い経験があります。
この極軟鋼はこ分りにして坩堝に詰めて上から溶けた銑鉄を注いで炭素量を鋼程度に平均化する方法もあります。
実は 鎌倉時代の粟田口派の製鋼法はそれだったという秘伝書もあります。
炭素量の少ない鋼と炭素量の多い銑鉄を混ぜて炭素量のちょうどよい鋼を作ろうというのは賢い方法です。
まだその方法は実験したことがありません。
今後の課題です。
そのほか 銑鉄に鉄鉱石の粉や砂鉄を入れて加熱する方法も奈良時代にあったという説があり、これも実験の課題です。
このテーマについては次回展開します。
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