森や川や動物たちと同等の 自然の一部として 自らを「パガニョ(人間)」と呼ぶカレンの人たち
家族でカレン族の村に住んでいた。
カレンモ、というのが私のカレン名だ。
「かれん(長女の名前)のお母さん」という意味。
「モ」というのがお母さん。
お父さんだと「カレンパ」になる。
日本でも、ママ友間などでは「かれんちゃんママ」などと呼び合うが、
それともちょっとニュアンスが違う。
子どもが生まれて名前が決まると、「その子の名前+モ(またはパ)」と呼ばれるようになる。
その日から、いわばそれが正式な自分の名前になるのだ。
「うちの庭に家を建てていいよ」と言ってくれたブチャパおじさんは、長女の名前がブチャさん。
元々の名前は「ゲオ」さんという。
カレン語ではなくタイ語でガラス、という意味。キラキラした、美しいものの意だ。
だが子どもが生まれた後からは、
「ブチャパ(おじ)さん」と呼ぶのが丁寧で、
年下の私たちが「ゲオ(おじ)さん」、と呼ぶのはむしろ不作法だ、と教えてくれた。
ちなみに「ブチャ」はブッダのこと。
ブッダを敬愛するブチャパおじさん、「ブッダの父、と呼ばれたかったから娘にブチャとつけた」
なかなかしたたかなブチャパおじさんである。