森や川や動物たちと同等の自然の一部として自らを「パガニョ(人間)」と呼ぶカレンの人たち
家族でカレン族の村に住んでいた。
なぜそんなことになったかというと、ひょんなことで知り合いになったカレン族の村のブチャパおじさんが
「うちの庭に家を建てて住めばいい」
と言いだしたからだった。
その場の思いつきでそんなことを言い出すブチャパおじさんには驚いたが、
今思えばそれを真に受けるわたし達もわたし達だ。
かくして家造りが始まった。
ブチャパおじさん、ブチャパおじさんの息子2人、
ブチャパ家の隣の(車を作ってくれと言った)おじさん、
とカレンパ(夫)の5人。
山から木を切り出してくるのに2日。
竹を割ったり、木を削ったりする作業で1日。
そこから組み上げて家が出来上がるまで2日。
合計5日ほどで出来上がった。
床は割った竹、屋根は茅葺き。
あっという間に家ができあがってしまったことに私たちが驚いていると、
「壊れたらまた建てればいい」とブチャパおじさん。
「日本の家は、100年も壊れないって本当か?
でも、それだとどうやって造り方を伝えていくんだ?」
パガニョの家は、自然素材100パーセント。10年くらい経ったら寿命が来て、
新しい家に建て替える。
最初は祖父や父の手伝いで。
次には自分の家を、父と一緒に。
その後は自分の子の家、孫の家を。
一生のうちに何度も家を造る機会がある。
必要なことを必要な時に、自然に身につけていく。
そうやって暮らして来て、だから今も繋がっているんだ。
こうして、わたしたちのカレンの村での暮らしが始まった。