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道普請人_http://coreroad.org/のブログ

道普請人HP, http://coreroad.org/

開発途上国農村部で「自分たちの道を自分たちで直す」意識を広める活動。「外務省「日本のNGO支援」という番組(ホウドウキョク「ニュースのキモ!」)でも紹介いただいた。

太平洋、小島嶼国における脆弱性の克服に対する支援にも活かせるのではと、まずは実績のあるパプアニューギニア、そしてその島嶼部で自治区であるブーゲンビル自治州での調査を行った。自治区は、ブカ島とブーゲンビル島と小さな島から成り、グーグルアース上ではバイオリンの形をしているように見える。




ブーゲンビル島では1988年に銅鉱山をめぐり住民側とパプアニューギニア政府間で紛争が起きた。2000年まで12年間続いた悲しい歴史がある。その後自治を得て開発を進めている。こういう経緯から、あまりパプアニューギニア本島での活動実績をアピールしない方がよい、と紛争勃発頃に協力隊として活動されていた方から助言を受けていた。ただ、治安は落ち着いてきているようで、今では青年海外協力隊も派遣されているらしい。紛争影響地域として、多くの開発課題がある。

自分達は2005年以来、ニューギニア島、ハイランド地方で活動してきた。海岸部に比べ治安状況がよくない、部族闘争が頻発する、と言われていた。こうした事情からこの地方には協力隊の方はいない。自分達も移動はほとんど車、夜間は出歩かないことを徹底してきた。同じ国とはいえ特殊事情を持つ地域での調査となることから、緊張感を持って調査を実施した。

かつて協力隊隊員として活動されていた方の親切で、自治州政府行政官が空港にむかえにきてくださるよう、手配いただいた。






空港と空港側の技術部門(Division of Technical Service, インフラ事業を扱う行政組織)の事務所

自治州行政官と打合せをし、その協力を得てコミュニティ道路状況の調査を実施することになった。






建物に掲げられるパプアニューギニア政府の国旗とブーゲンビル自治区の旗、エリザベス女王の写真とともに飾られる自治州歴代大統領写真
ナイロビの郊外。

日曜日の朝、ケニア事務所の皆が集結。一緒に道路調査を行った。



乾いていると、一見なんでもないように見える。



約60mの区間が水浸し。雨が降ると水が溜まってしまう。

どれだけ深いのかもわからない。車で通る場合でもいったん躊躇してから、進んだ。





わざわざバイクタクシーでこの部分を渡る人も。道路全幅が水に浸かり、靴を濡らさず渡ることが難しい。











ケニア事務所のスタッフと総出で、測量をした。




道直し、集会のあと、農家グループの畑を見せてもらった。一転し一番の門外漢となってしまうが、ここで収穫される作物の運搬のために、道直し研修をしている。



道から下り坂の人が通れる幅ほどのあぜ道を進む。鍵をあけてもらっておじゃまする。




トウガラシ、レモンの木など。大量のレモンをいただいたおかげで、このあと毎朝レモンティーを堪能できることになった。



ジャックフルーツの木



ハウスと井戸。なかなか創造的な農家さんだ。



アボガド

農業案件に参画させてもらっているが、農家のくらしってどんなんだろうと思う。

作業後、参加者が一同に会して、研修・作業内容の振返り、今後の活動、について総括する。地域を管轄する中央政府職員がこれまでこうした集会を仕切ってきた。今回もリーダーシップを発揮し、コミュニティをまとめて集会が進められた。





農業省スタッフを代表し、自分のカウンターパートが挨拶



会が終わり、待ちに待った昼食時間、大量のギゼリ



農業省スタッフら自分も含めて、家の中にお邪魔し特別メニューをいただいた。



皆さんがおいしそうに食べているのを見て、力仕事だったけど道も良くなりいい研修ができたと感じる。
ケニアでは地2013年以降、新憲法下で地方方分権化が進められている。中央政府の役割、地方自治体の役割が、旧来のものと新体制下のものが混在している。

土のうによる道直し研修について、農業省職員だけでなく、コミュニティの要望をくみとり支援できる機関を巻き込むことを重視している。研修後に、農家グループがその機関の助成を引き出し、持続的に道問題を解決することができるようにする、というねらいがある。



右側の坂を上っていく枝線の道で、農家グループによる道直しが行われている。



研修前に地方自治体の担当部署を訪問、ぜひ研修状況を見てほしいと伝えたところ、担当官が現場を訪問してくれた。農業省職員、農家グループ、そして中央政府からコミュニティに派遣されている職員とともに、活動内容を把握し、今後の対策を協議した。



中央、地方の行政官が一緒に記念写真



作業もひと段落し、農家グループ、参加コミュニティメンバーとともに記念写真
農家さんが市場まで作物を運ぶ道のうち、畑に近い雨季にいつも車が通行しにくくなる場所は、農家さん自身が現地材料を使って改修しよう、とケニア農業省が土のうによる道直しの研修を実施している。



農業省スタッフは、農家さん、コミュニティに対して農業技術を研修する体制をとっている。技術系行政官が、コミュニティに技術移転することができる。農業技術に土のうによる道直しが加わって約10年。農業土木技術者を巻き込んで、彼らによるデモ研修が行われている。



公道での作業となり、コミュニティの協力を得て実施される。そのために誰を巻き込むか、これまでの経験から、そのノウハウが蓄積されている。中央政府のある省庁から派遣されている職員の協力を得ている。



説明が終わり、作業が始まった。全体の様子を確認しながら、時々手を出してみる。



のどが渇いてきたころ、全体で休憩をとる。



作業に夢中だったけど、こうした休憩用のチャイと食パンなどの段取りがされていた。
約10年前に、ケニアで初めて業務を行った。これまでの渡航歴を振り返ってみた。

1回目:2007年3月~4月
2回目:2008年4月~9月
3回目:2009年3月~10月
4回目:2011年3月
5回目:2012年1月~3月
6回目:2013年4月~5月
7回目:2013年10月~12月
8回目:2014年7月~9月

2007年にプロジェクトで活動していた運転手の方は今も活躍している。休みの日、一人のドライバーさんが彼の自宅近くでの名物?ポークをご馳走してくれた。家族が別の用事に出かけているようで、彼の時間を自分のために使ってくれた。車を友人から借りてくれて、送り迎えもしてくれた。

これまで一緒に活動してきたことに話に花がさく。彼の、週に一回の散髪(坊主頭)にもつきあう。少し彼の生活環境も見れた。こういう人間関係ができるのも、うれしい。

彼もたくましく生きている。自分もしっかりしないと。


(独)国際協力機構の実施する、地方分権下における小規模園芸農民組織強化・振興プロジェクト、農村インフラ(土のうを利用した農道整備)に関する業務を行っている。

 畑と市場を結ぶ道で通行困難なところは自分達で直し、作った園芸作物をより多く市場へ出せるようにしよう、運送費を低減させたいというねらいがある。

 ①園芸作物生産からの収入を向上させたいと活動する事業対象農家グループが、市場へのアクセスで問題となっている箇所を地方自治体が認識する仕組、
 ②そして地方自治体が安価で有効な対応(農家グループやコミュニティの動員、適切な改良方法(道路排水処理、土のう工法)の提案、必要資材の調達、実施)を取れる体制

に導くことが課題だ。

 地方自治体所属の農業土木技術者が、適切な改良法提案から実施までできるようになっているか、確認のためのデモを行った。



農業土木技術者から、対象箇所の様子、対応策について説明を受ける。谷筋に続く緩やかな勾配の未舗装道路の深い路面浸食のある部分が対象となった。



次の日、農業土木技術者が普及員とともに、測量をしながら必要資機材量を算出する。地域の方への聞取りから、主な交通はバイクや乗用車程度らしい。



ある箇所では谷側に地すべりがあって、道路幅員が狭くなっていた。この箇所のために、7トン車クラスのトラックが通れなくなっていた。



約4m下の原地盤から土のうを積んで擁壁を作り、幅員を広げることにした。地すべりあとのゆるい土を取り除き、斜面を段々状に整形した様子。





土のう積、締固め、近くの山斜面を削って得た土砂の運搬、裏込め、裏込めの締固め、と作業を繰り返す。1メートルの高さで踊り場をつくり、また土のうを積む。路面の高さまで、十分な幅員が確保されるよう土のう壁の設置を目指す。

村人のやる気、地方自治体農業セクター職員のがんばりで日没まで作業が続けられ、ほぼ完成した。
一年半ぶりにケニアでの約2ヶ月間の業務機会を得た。

ナイロビに滞在して一週間、大学院の後輩がケニアの大学敷地内で実験をしているというので、見に行った。



実物大走行実験のための、準備状況



後輩(左)と、奥で作業する協力者たち



大学からナイロビの滞在先へ戻る途中の幹線道路。青い空、明るい陽射し、舗装道路。これもアフリカの一つの風景
東ティモール国立大学工学部、土木工学科では2015年に4年制プログラムとして初めての卒業研究指導が実施された。

プロジェクトとしてもその支援を実施してきた。

①テーマを教官が提示すること、②研究費用を学生ではなく大学・工学部として用意すること、③4年制としてだから学期末、2015年12月までに卒業研究指導も終わらせるためのスケジュール管理を、プロジェクト側からの指導事項として実施してきた。

上記のことは日本では当たり前のことかもしれないが、現地ではこれまで(3年制の卒業研究)真逆のことが行われてきた。

残念ながら12月末までに終えた卒業研究は今年も無かった。卒業式が行われる今年の5月頃までにほとんど学生は終える見込みだ(卒業式は毎年二回、5月と11月に行われる。工学部だけの問題でなく、大学として卒業式を実施する時期の調整も必要と思われる。)。

実験、アンケート調査、測量などデータ取得はどの学生も終えているようだ。1月からはデータ整理、文章や図表の作成の段階に入っている様子。

土木工学科の実験室や教員会議室で、先生方が学生指導する様子が見られた。卒業研究・その指導は、教官と学生の距離が縮まり一緒に励む様子が見ていて気持ちいい。自分の憧れでもある。