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道普請人HP, http://coreroad.org/

ホームページでも報告しているように、NPO法人道普請人は土木学会創立100周年記念事業『市民普請大賞』の準グランプリを受賞した。

市民普請とは、『市民が主導的な役割を果たしながら、地域を豊かにするために実践する公共のための取り組み』と定義されている。

当団体は日本の土木技術と道普請の精神を世界の貧困削減のために活用し、これまで世界20か国でその活動を広めてきた。その実績を評価されての受賞である。

まずは、世界各地で活躍している道普請人達やこれまで本団体の活動をサポートしてくださった会員・寄付者の皆様に感謝したい。
 
11月21日、東京国際フォーラムでの土木学会創立100周年記念式典で、その表彰式が行われた。団体を代表し、国内にいた自分が出席させていただいた。

1部は皇太子殿下御臨席で、祝辞を述べられ100周年宣言をご覧になられている同じ会場に、受賞者の一人として居合わすことができたことを、光栄に思う。

列席予定の文部科学大臣の代わりに事務次官が祝辞を述べられるなど、衆議院解散の慌しさを感じさせる一幕もあった。国土交通省大臣が祝賀会で挨拶され、行政を巻き込み土木業界をあげての慶事となっている様子に驚いた。

自分は2004年に、会社を辞め博士課程に入学した。現在は道普請人理事長で当時指導教官であった京都大学大学院工学研究科の木村亮教授に、途上国の貧困削減がテーマやと言われ、是非やらせてくださいと応えたことから、この活動は始まった。

当初は実績の無い状況で、うまくいくの?と言われ続けた。それから10年、栄えある土木学会創立100周年事業の中で、市民普請大賞準グランプリを得ることができた。自分の三十代を費やし、ゼロから作り上げてきた活動が、世間に認められつつあることが、本当にうれしい。そしてそんなうれしい思いができる自分は、恵まれていると思う。

木村教授のこれはモノになる、という先見性と信念、それを育てる過程での辛抱強く熱いご指導に、敬服する。先生のおかげで自分は冒険ができた。

まだまだ、地球上には自分達の活動が求められている地域がある。これをまた新たな10年のスタート地点として、気を引き締めて活動していきたい。


10月末。乾季の終わりに近づき、11月には雨が降り出すだろうと期待される頃である。一年で一番水不足が深刻な時期とも言える。



水道元栓が開かれるのを待つ人たち。正午前に元栓が開かれるそうだが、早くから順番待ちをしている。




別の地域の水道



近くの家では、太陽光パネルが設置されていた。共同水道、電気(太陽光でわずかに得る)、薪のくらしである。



国道脇でも、人々が水道箇所に集まっている。




リアカーで水を運ぶ少年



かろうじて水が流れる河川から灌漑で、稲作をしている箇所。水があるところには緑がある。



マンゴーの季節。国道沿いの屋台にも並ぶ。日本ではなかなか食べられないので、つい食べ過ぎてしまうのは、ここ東ティモールでも一緒だ。
乾季で水を調達すること。水道などの発達していない地域で生活するのは、大変だろうと思う。プロジェクトでは、道路を改修し同時に井戸の掘削を支援していた。



深さ5mぐらいで水が出た井戸



掘り出して岩にあたり、少し離れたところで掘り直す。8m近く掘っていて、まだ水がでないそうだ。いくつも穴があり、落とし穴のようで夜の暗い中では危ないと思う。敷地内の家の人々は、よくわかっていることだとは思うが。



掘削作業中の井戸



屋根、井戸周りの水たたきなども整備されつつある。



コンクリート製の柱の上に木組みトタンで屋根を作っている。



掘ったあと、穴の壁面を保護するためにコンクリート製のパイプが設置される。そのパイプ、手製の型枠で建設されている。



側で練られるコンクリート



鉄筋もちゃんと入っていた。


プロジェクトでは農道・生活道路を対象として、コミュニティ参加で道路の改修・改良が進む。11月末の完了に向けて、最後の工程である表層工、砂利舗装が行われていた。



砂利舗装が行われたところ。乾季でもあり路面状況は良好だ。一方で、しっかり締固めるために適度な湿り化が必要で、そのために散水車を用立て、乾季も水の枯れない水源から運んでくる必要がある。




そして、土の十分な締固めのため、コンパクターが必要になっている。全長34 kmにわたり砂利舗装されることと、工期がないので複数台のコンパクターが調達されていた。



先に行くと、表層材となる砂利を隣接する山から掘削、採取し、残り箇所に荷卸しする作業を行っていた。コミュニティ参加を主体としながらも、目標とする品質で工期内に仕上げるため、プロジェクトとしては機械の援用もやむを得ないのだろう。





簡易で安価にできる擁壁として建設された土のう擁壁。中詰め材はソイルセメントで、プラスチック製の袋が日光でこのようにボロボロになっても、中身は石のように固まっている、という作戦だ。固まり具合が悪い箇所もあり、セメント量不足、混ぜる土にシルト・粘土分が多かったため、水との撹拌不足など原因が考えられた。今後に活かしていく。





雨季でも水没しないように、と敢えて山中へ振られ新しく開かれた区間。道路脇の樹木が伐採、焼かれて、新たな土地利用が検討されている。




ある土曜日、前のプロジェクトコーディネーターと連絡をとり、現場を見せてもらうことになった。この日は暑い熱帯のディリで、早朝マラソンがあるという。朝6時から通行規制が始まるからその前に町を脱出する、ということで5時半に出発した。

途中の国道工事がたけなわだ。海岸線沿いの国道を拡幅するため、海に迫る山斜面をスライスカットし、斜面を支える石積工があちこちで見られる。






脇に石、砂、砂利、セメント、ミキサー、混ぜるようの水をためるドラム缶、がある、似たような工事現場が続く。



アスファルト舗装されたところは、とても快適だ。

皆が飛ばすようになり交通事故が増えてかえって、危険だと運転しているプロジェクトコーディネーターがいう。急カーブ、アップダウンのある道路できれいに舗装もされるから、危険度は余計だ。

工事会社は国際色豊かで、インドネシア国籍、スペイン国籍などである。
ある日、ホテルに帰ると、、、



駐車場に入り口の先、交差点にかけて電線が垂れ下がっていた。

周りの人によると、車が引っ掛けたとか。ホテルが停電でなければいいと願う。幸い、影響はなかったようだ。




電柱が根っこから倒れています。



電線が垂れ下がっていて、通行する車両やバイクにあたりそうです。上の写真の右側4階建ての建物が、日本人が多く利用する、自分も泊まっているサクラホテルです。



結局、この日はそのまま。夜になって通行車両や通行人に被害は出ないか心配だった。翌日には復旧していた。
ディリ市の景色が一望できる山がある、と人に教えてもらった。どんな景色が見えるのか、気になったのでその山に登ってみることにした。



向かう途中、大きな川を渡る。乾季の終わりごろで、水がほとんどない。堆積した砂利があちこちで採取されている。



今年の始めインドネシアの会社により建設された橋。片道2車線、歩道付。



目的の山を目指して西へ向かう。意外と?車が走っています(日曜日の午後)。



国際空港への交差点



独立時の首相の像か。



山の頂上から見たディリ市の西側の様子



北側が海で空港が見える。



そして東側、ディリ市街の様子



パノラマバージョンで撮ってみた。



基準点があった。



久しぶりに自分撮り。
東ティモール国立大学、工学部キャンパスは首都ディリの郊外、一山超えたところにある。

学生たちは、大学が運航するバス、トラックを利用し通学する。一部の学生、教官は自家用バイクで通う。教官の何人かは、自家用車を持っているし、学部長、副学部長は公用車が割り当てられている。






周りは何もないけれど、学生だって、教官だって、自分達だってお腹が減る。大学構内入口近くに、屋台がでてお腹を満たすことができる。飲料水を買ったり、食後のコーヒーを学生に混じって飲むことがある。







元気な農家さんのいる農村部もそうですが、若人の集まる大学も、素敵な雰囲気です。
現在(独)国際協力機構の委託を受けて、東ティモール国立大学能力強化事業に参画している。大学運営管理に関する助言と、土木工学科教官の研究活動補助が主な業務だ。日本の大学(山口大学)の先生方がこれまでに研究テーマを与え指導されており、その指導に従い教官らが研究を進められるようにする。

レベルはともかく、現地で大学教官を対象に業務をすること、日本の大学の先生方と関わりを持てることに、刺激を受けている。しっかり自分の研究も進めたい。

昨年の2月までは、東ティモールで農道整備に関する事業に従事していた。その時に得た国際機関(ILO)や公共事業省とのネットワークを活用し、大学の教官が現場の要請に基づく研究活動ができるようにしたいと思っている。

言葉が大きな壁になっている。ポルトガル語が公用語とされるなかで、ポルトガルに留学し修士を取る教官が多い。JICA事業では、研究の打合せ、発表は英語を求めている。授業は現地の言葉、テトゥン語で行われている。

大学運営のための会議もテトゥン語で、通訳に同席させ英語の議事録を提出してもらう。そこで始めて内容が掴めるわけで、じれったい。




学部運営会議の様子



水理実験の様子



先生(写真右端)が学生に指導中



コンクリート実験用の道具



地盤の状態を現地で知るための試験機



土質材料の試験機

これらの試験機や道具は、固く施錠された部屋に奥深く仕舞われている。これらを運用しデータをとり、研究活動が進むよう自分も再勉強しながら指導していきたいと思う。
8月にようやく業者が決定、9月始めから現場作業が開始された別地域のパイロット事業を視察した。まだ準備段階かと思っていた。ところが、施主、業者ともに熱心さが違うようで、かなり現場が進んでいた。視察時には、現場の雰囲気(プロジェクト担当者、施主監督者、施工業者、コミュニティの表情)が明るく勢いが感じられ、気分がよかった。



事務所のあるイリガン市内の様子、自動車、バイク、自転車に混じって未だに馬車も庶民の足として使われている。



現場に入る前には、地元の警察に届け出。一緒にくるセキュリティが警察との連絡も担当する。



コンクリート舗装化が国策として進められている。



農道(畑と市場を結ぶ道路)をコンクリート舗装化しようとするプロジェクトの看板、小規模な予算のためか短い距離を行う。この看板はあちこちで見られた。




まずは現場事務所について、打合せ。右から三人目、四人目が施工業者のエンジニアで、父娘らしい。娘さんのしっかりぶり、父娘のやりとりの様子が見ていて微笑ましい。





コミュニティグループによる側溝の掘削が開始されていた。プロジェクトから支給されたテンプレートを使って所定の断面を確保している。





コンクリート製カルバートを調達し、設置している様子





土のう工法のデモも行った。ココナッツを積んだトラックが通行する。



ボックスカルバートの建設現場。すでに均しコンが打設されている。フィリピン人専門家が鉄筋の組み方を指導している。施工業者が連れてきた熟練工が従事していた。20人近いチームが現場事務所で寝泊まりし、工事をしているらしい。だから、早朝から夕方まで、しっかり仕事ができる。



写真右端の男性が、いつも警護、してくれるセキュリティのナッシュ。鞄の中身は銃と弾倉。どこへ行くときも影のように?付いてきてくれる。店に入るとき、武器の持込は禁止だが、彼らは免許を持っており許可されている。さりげなく、入口でのチェックの際に合図している、らしい。道路工事視察に付きあわせて悪いなあ、とも思う。彼の夢は警察官になることでそのための学校行く準備をしているらしい。