シンガポール経由の御国帰り? | 道普請人_http://coreroad.org/のブログ

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東ティモールで活動中であるが、どうしても約2週間、パプアニューギニアに行く用事ができた。アジア開発銀行担当者が評価・視察に来るので現場に合流せよとのこと。来年3月始めまでの期限を前に、今一度進捗を確認し今後の対策(延長するか、第二フェーズを始めるのか)についてパプアニューギニア政府道路省とも協議するという。自分達にとっても重要な場と判断し、東ティモール活動にもできるだけ支障の無いようにして、パプアニューギニアへ行くこととした。


東ティモールからの西へ約2,500 kmに位置するパプアニューギニア。経路はいったん東へ約2,500 kmのシンガポールへ飛び、その後西へ5,000 kmのポートモレスビーへ飛ぶ。帰りはその逆である。機内スクリーンの飛行経路図を見て思わず、ディリで下ろしてもらえないか、なんて思ってしまう。


移動の続くこと、頭の切換え、が求められるが、国際NGO理事の宿命か、なんて非常にやりがいを感じる。手を広げすぎて粗相のないように、と気も引き締まる。


パプアニューギニアではちょうど、選挙戦が終わり結果が出始めたところだった。負けた候補者の支援者たちが暴れている、なんてことも拠点を置くハーゲンではあったようだ。自分の滞在中はすっかり落ち着いていた。それでもアジア開発銀行担当者は、世界銀行おかかえの安全担当コンサルタントの意見を取り入れて、首都どまりとなった。自分を含め現地コンサルタント二名が首都まで出向き、会議を行った。


レポートの遅れや影響評価のデータの取得方法について指摘、助言をもらうことになったが、これまでの現場活動は評価してもらえた。道路省事務次官にも、幹線道路に接続する小規模なコミュニティ道路整備のモデル事例になると、評価していただいた。アジア開発銀行担当者も、なんとか今回の教訓を踏まえて第二フェーズを展開したい、それにあたって資金の出所を検討している、とのコメントがあった。本プロジェクトでは今後、これまでの道路整備や研修の成果について検証していくことが重要で、最後まで気を抜かずにやっていきたい。この影響評価の内容が、次につながることになる。


道路省の技術分野のトップが、コミュニティのオーナシップを促進しつつ現地材料や人力による方法を、コミュニティ道路整備には最適と認めている。パプアニューギニア政府では、国会議員が出身選挙区の地域開発に向けた予算をもっている。その額約2 million US$相当とも言われている。本プロジェクトのアプローチ、その成果、または限界を是非国会議員に知らしめよう、との事務次官の意見があり、新聞広告に載せれるようなパンフレットづくりを進めている。


東ティモールでも同じアジア開発銀行担当者が設計したプロジェクトに関与している。コミュニティ道路整備に向けた事業で、社会科学面での研修(コミュニティビジネススキル、保健衛生、ジェンダー)も行う。大きな違いはもちろん活動する地域で、独立の経緯やその後の年月だろうか。(パプアニューギニアが37年、東ティモールは10年)


パプアニューギニアは人口約800万人で800の部族がいる。現代でもひとつの国家としての公共意識はうすく、部族間での家族意識がより強いとも言われる。県の中でも複数部族はいてそれぞれの関係があるが、その代表である国会議員はその県の発展には、社会的にも政治的にも、資金面でも影響力を持つことになる。この国会議員のリーダーシップのもと、コミュニティが道路整備を経て便益を受けることの実感からオーナーシップを持つように働きかける。かつ現地調達可能材料を主としながらも適宜資機材の提供と道路整備技術を彼ら自身が身につけることで、自己発展意識のもとでの道路整備活動を活発化させる。持続性に向けた青写真が明確である。


実際、これまでも単発、突発的に国会議員の予算を利用した道路整備は行われてきた。道路の問題はこれまでも深刻だった。ただその実施の仕方に問題があり効果的ではないのではないか、との意識がある。本プロジェクトを通して道路整備(土のう工法も技術面では新しい効果的な取組)とともにコミュニティ活動が活発化されるモデル事例と期待されている。


東ティモールは今の自分の立場からは、インフラ整備省のコミュニティ道路整備に向けた方針、地方における公共サービスの実施方針が見えてこない。パプアニューギニアのように道路管理者や行政官、政治家たちが、道路整備に四苦八苦してきた様子が伝わらない。プロジェクトマネジメント機関は、外国人技術者らで占められていることもあり、とにかくよい道路をつくる!という方針になっている。


施工対象延長を少なくし道路整備単価を上げている。資機材費のみで1kmあたり約30,000 US$となっている。全長にわたり砂利を敷き詰め、必要なコンクリート構造物はすべて建設する。


パプアニューギニアでは1kmあたり6,000 US$である。問題箇所のみを対処し(砂利敷や構造物(木や土のうを利用した))、セメントはほとんど使わないという方針である。


幸いにも同様のプロジェクトに同時期に関わることができ、自分にとってもコミュニティ道路整備に向けたノウハウを身につけることに役立っている。