好評をいただいているこのシリーズですが、まず最初に、日本の大学とは大きく違う3学期制を中心とした制度について書くべきでした。

 

順を追ってご説明します。

 

①卒論は必修ですが、ゼミはありません。

 

多くの指導教授が個別指導の形を取ります。

月に1度指導教授についている学生を集めますが、内容はゼミではなく各々が自分の進捗状況を発表してそれに指導教授が5分ほどフィードバックを加えるという、1対1の指導を他の学生が眺めるという、ゼミとは言い難いものでした。

(私の場合です)

また、多くの教授が英語での論文執筆を勧めてきますが、英語ができないだいたいの学生は上手く日本語執筆に逃げて卒論を完成させます。もちろん私もそうしました。

卒論指導教授の人気の偏りはあり、人気というより指導が楽、放任型の教授が好まれて選ばれている感じでした。

これは他の大学も同じなのか、私には分かりませんが。

教授によっては指導生がゼロ、という教授もいました。

経営学の小川昭准教授という、発達障害の傾向がある癖のある教授でした。

私も授業を1つ受けたのですが、知識が豊富でドバーッと喋るのですが、それが一方向で発達障害的なんですよね。

まぁ、大学の教授には多いでしょう。

 

②3学期制のため秋休みがあり、夏休みが長く、春休みが短いです。

 

ICUが他の日本の大学と異なる最大のポイントです。

ICUは

春学期:4月1日~6月中旬

夏休み:6月下旬~9月初旬

秋学期:9月中旬~11月上旬

秋休み:11月中旬~12月上旬

冬学期:12月中旬~2月下旬(年末年始休みを挟む)

春休み:3月いっぱい

という学年暦になっています。

 

他の大学を知らずにICUの暦に慣れてしまえば、別に違和感も何もありませんでした。

特に、秋学期が終われば、3週間ほどの秋休みから年末年始休みを挟んで春休みまで休み続きなので、精神的に楽なのはとても良かったです。

1年生は夏休みにSEAプログラムという短期留学制度があります。私は行きませんでしたが。

 

ただ、他の大学のお友達がいる場合、あるいはサークルに属している場合、スケジュールを合わせるのは大変な方もいたでしょう。

学生NPO系のサークルに入られている方はスケジュールの調整に苦労していました。少数派でしたが。

 

③70分授業です。3学期制に伴い、1科目の単位が3単位が標準です。2単位は少数ながらありますが、4単位の授業はありません。

 

他の大学は、90分×14週で2単位となるところ、ICUは70分×2×9週で2単位となっています。(時間上は同じだということです)

つまり、70分の1コマで1単位になっています。

70分の授業3コマで講義が用意されているのが標準で、1つの授業が3単位になっていることが殆どです。

また、3単位の授業のコマも特殊で、ICUには独自の用語がたくさんあるのですが、「ゴロチ」(567限の略語)と呼ばれる、午後3時10分~午後7時まで4時間行う授業が3単位の多くを占めています。

 

なぜか午前中は、火曜日の123限という形ではなく、火曜日の1・2限と木曜日の1限、火曜日の3限と木曜日の2・3限と三角形の形で3単位が区切られています。

教務部が週1回の集中授業は教育観点からあまり望ましくないと判断しているようです。

また、午後との違いは、午前中はICUの専任教授が授業を受け持つ一方で、午後の週1回の授業は外部の講師が受け持つことです。

当然ながら、外部の講師の方が宿題をあまり出さないので、授業の負担は軽いです。

 

この他にも、Long4と呼ばれる、火曜日と木曜日に105分という1.5単位分の授業を週2回行う3単位の授業も存在します。

体感的に、同じ3単位でも、これが一番負担でした。

105分のこの授業を取ると、お昼休みが70分から35分になってしまうのです。

昼食を急いで食べて眠い中で受ける授業ですから辛いです。

 

④英語教育に力を入れる一方で、第二外国語は必修ではありません。第二外国語を履修する人は少数派です。

 

ICU生の学力低下に伴い、それまで1年次でみっちり英語教育をしていたのですが、2年次の1学期まで延長されました。

その一方で第二外国語はバリエーションも少なく、履修する人も少数派です。

火曜日の1限~3限、木曜日の1限~3限と言った時間割を拘束される形で週6コマ420分ある一方で、単位数が6単位ではなく3分の2の4単位であること「コスパが悪い」ことも原因だと思われます。

 

今回は一般的な大学ではない単位システムについて書いてきましたが、ネタ的に「週2回登校で15単位修得」という猛者も存在します。

火曜日と木曜日の授業を、1~3限と5~7限、そしてLong4の授業を履修すれば成立するわけです。

私の知人でそれをやっていた人は死にかけていましたが。当然でしょう。

 

(過去のシリーズはこちらから)

ルポ・ICU(国際基督教大学)① 深井智朗氏の不祥事、あまりに強い女たち、著名卒業生の印象

ルポ・ICU(国際基督教大学)②イエス自ら語る ズルい「キリスト教推薦枠」の問題点

ルポ・ICU(国際基督教大学)③ 授業の特徴/低調なサークル活動/卒業生はオール左翼/学生寮

<ルポ・ICU>④学生の雰囲気、卒業生の進路 「日本的価値観」が合わない学生たち

<ルポ・ICU>⑤ 貧弱な奨学金制度、財政状況、評判の悪い学生寮のイベント

<ルポ・ICU>⑥ ICU生と心の病 寄り添うのは辛いが貴重な体験かもしれません

<ルポ・ICU>⑦ 小室圭さんは典型的なICU生です/推薦合格と学力低下/見かけ騙しの少人数教育