不整脈の手術・治療について…追記あり | ☆出かけよう!気のむくままに…☆

☆出かけよう!気のむくままに…☆

プチ鉄道旅紀行、なんとなくアド街ック、ちょっと文化的に劇場へ、その他いろいろ書いています。なお、古い投稿は時々整理します。
また、記事と直接関係ないコメントは掲載されない場合がありますのでご了承ください。

 このほど不整脈の治療の一環として手術をしたので、同じ不整脈でお悩みの方の参考になればと思い、経緯と入院・手術についてこのブログにまとめてみたい。

 

 時々胸が苦しくなるとか、ドキドキするという事が10年ぐらい前からあったが、それが仕事に差し支えるとか、生活に影響を与えるとかはずっとなかった。それが昨年あたりから悪化し始め、動機や息切れ、首の痛みや肩こり、酷い時には立っているのがやっととなり、それが何時間にもわたって続いて足の冷えまで出る始末となった。不整脈は何の前触れもなく突然始まるので、特に出かけている時に起こるといろいろと困ったことになる。

 昨年夏、東京駒込の東洋文庫に向かった時(→『東洋文庫:東洋の医・健・美』)に比較的長い不整脈に襲われたが、その時は大事に至らずに済んだ。続いて、11月の北陸旅行中にも数時間にわたる不整脈に襲われた(→『2023年秋:北陸鉄道旅⑨七尾→穴水→和倉温泉』『2023年秋:北陸鉄道旅⑩兼六園・金沢城公園』)。さらにその後だったと思うが、近所のスーパーに出かけた時にも酷い不整脈に襲われ、休憩スペースから1時間以上動けなくなった。

 さすがに病院に行かないと無理だと判断して、かかりつけの整形外科医から循環器科を紹介してもらい、12月の終わりの頃に診察検査を受けた。しかし、その検査では不整脈が見つからず異常なし。通院の必要なしとまで言われた。患者と医者の認識の差にがくぜんとした。

 その後、酷い不整脈は出なかったが、軽いものは時々起こった。2月になって年に1回検査をしてもらっている別の病院の消化器外科の先生に事情を話して、そこの病院の循環器科を紹介してもらった。

 そして、24時間の心電図を取り、頻脈性不整脈などが見つかった。難しい心房細動ではないので、心臓にチューブを入れて手術(カテーテルアブレーション)すれば9割方治ると診断された。ただ、その頃はあまり深刻な不整脈が起こっていなかったので緊急性を感じず、薬(ベラパルミ塩酸塩)をもらって様子を見ることにした。

 2ヶ月後の診察日まで薬を飲むほどの酷い不整脈なかった。その後、家にいた時に酷い不整脈が出て、2度ほど薬を飲んだ。飲んだらいつの間にかに不整脈は収まり、よく効く薬だと判明。ただ、他の診療科の先生から不整脈を治療してもらわないと治療に進めないと進言され、次の診察日の7月に手術を受けると循環器科の先生に伝えた。先生も薬だと次第に効かなくなるし、不整脈は悪化するので手術には賛成だった。

 院内の循環器科で不整脈専門の先生を紹介され、担当を変わってもらうことになる。そして、新たな先生と相談して手術するならなるべく早めがいいだろうと思い、8月5日入院、6日手術、7日退院の予約となった。病気や手術に関してはパンフレットを読まされ、手術のリスクなどについての説明書に署名をして、当日に担当看護師に手渡した。当日までに薬を飲んだ回数は以前の2回を含めて計3回になっていた。

 コロナの流行以来、入院病棟(階)への出入りは厳しくなっているようで面会も難しい感じだったが、2泊3日の入院なのでその点は特に問題はない。荷物を減らすため、寝間着は病院内のコンビニで借りる手続きをして病棟に入ったが、2日単位なので4日分となった。しかし、手術の前後は手術着だったので実質的に一晩しか借りた寝間着(ガウン)を利用しなかった。

 

 ここで治療・手術についてに説明する。手術前に尿道に管を入れ、腕にも点滴の針を刺す。しかし、点滴で入れるのは薬ではないそうだ。治療方法はカテーテルアブレーション(心筋焼灼術)というもので、足の付け根のリンパ節あたりから動脈に管を入れて心臓まで伸ばし、不整脈の原因となる場所を特定するために人工的に電気を流してわざと不整脈を発生させる。

 本来ないところにできた電気の流れる場所(刺激伝導系)を特定したら、その場所を焼いて電気(刺激伝導)の流れを断ち、再度電気を流して不整脈が発生しないか確認して問題がなければ管を抜いて手術は終了となる。まれに場所を特定できずに手術を終了することもあるそうだ。

 この手術の最長時間は3時間までとの事。傷口は小さいので縫わないが、出血を防ぐため術後は傷口をきつく圧迫して安静となる。そのためベッドに戻ってから6時間は動けない。

 麻酔は使わないが、局所麻酔をかけることもある。手術中は意識があり、状態を確認しながらの手術となる。血管に穴をあける時にメスを使うので痛みがあるが、その部分を除いて基本痛みはない。局所麻酔をかけるとすれば足の付け根だ。

 手術の成功率は8割から9割。カテーテルアブレーション治療によるリスクとしては、患部が特定できない場合やごくまれにおこる合併症、血栓症、心筋穿孔、食道障害、再発などがある。

 

 8月5日当日は日本株大暴落の日で、含み益が1日で125万円ぐらい減った。しかし、売る株もなかったし、手術の方が大切だったので空いている時間にスマホでチェックしたのみだった。

 手続きが終わって4人部屋の病室に案内されると、看護師長?と担当看護師に治療や準備・入院生活の説明を受ける。手術の順番は2番目で、午後からになりそうとの事。直前の食事はできないが、午後からなら朝食は摂れそう。先生の許可がいるそうで、そこの確認をお願いした。

 また、尿道カテーテルは経験がなかったし、痛いと聞いていたので不安を伝えると、年配の看護師の方から考えないようにと一蹴された。合理的な考えだ。

 予め貰っていた入院案内のパンフレットにシャワーや歯磨きを推奨していたので、手術日前のこの日にシャワーを借りる。歯磨きも持参したもので消灯前にしたが、翌日に看護助手?の方からか歯磨きのセット(口内洗浄?)が用意されることとなった。しかし、安静なので使う事はなかった。

 ベッドはいちばん上がマットレスで、そこにシーツを敷いた感じ。マットレスが柔らかくて体全体に密着し、腰が痛くなるわ、背中が蒸れて痒くなるわでたいへん。ベッド問題が自分にとってはいちばん気になった。

 手術当日、朝食後にしばらくして担当看護師の方から左腕に点滴の針を刺されて点滴が始まる。担当看護師は初日と違う日替わり制だった。

 尿管カテーテルの方は先生がすると言ったのでてっきり男の方かと思ったら、研修医の女性だった。ちょっと恥ずかしかったが、うまい先生で手袋をして消毒用のゼリーを出口につけると、管をぐいぐいぐいと3押しして終了。思ったほど痛くはなかったが、その直後に痛みが来た。

 腰の痛みと尿道の痛みが容赦なくきてしんどかったが、徐々に収まるとその先生は言った。確かに30分ぐらいしたら慣れてきて動かない限りは尿道の痛みは遠のいた。

 翌日(3日目)、管を抜いた担当看護師の方から聞いた話だが、男性は18㎝、女性の場合は5㎝管を入れるそうだ。そして、挿入後に管を膨らまして抜けないようにするとか。膨らました時が痛かったと知る。たぶん、今の医療器具は年々良くなっているので、痛みはあまり伴わないものになってきているのではないかと思う。

 そのあとT字帯を着けてもらって、腰ぐらいまでの丈の上着を着せられた。下半身にはタオルケットのようなものを掛けられる。病室で手術の順番を待つ。

 午後になって看護師の方たちが5、6人、ストレッチャーを押して病室に来る。いよいよ手術だ。ストレッチャーに乗せられると腰が軽くなった感じで楽になった。それまで、腰が痛くて手術のことがあまり気にならなかったが、いっきに緊張してくる。

 広い手術室に入ると手術台に乗せられ、上着もタオルケットも剥がされ、上体40ヶ所ぐらいにシールを貼られる。詳しい心電図を取るためだ。さらに上体を軽く固定され、そのあと右足の付け根や股間に、たぶんヨード系の消毒液を塗って準備完了。

 天井のカメラが恥ずかしい。地域の基幹病院で多くの研修医を受けつけていることや昨今の医療裁判など対策でもあるのかもしれない。

 手術台には半弧状のアーチが設置されていて、それが血管や心臓の映像をモニターに投影させる機械なのかもしれない。そのほか、見えるだけでも室内にはモニターが多数あり、執刀する先生が見るモニターの他に、少し離れたところで心電図などをチェックするモニターも並んでいたように思う。

 手術室には先生方や看護師、助手の方々がいて、最初は10人ぐらいかと思ったら、手術後にストレッチャーに移動させられるときに6、7人に囲まれたので、実際にはそれ以上いた模様。

 手術前、すっぽんぽんで手術台に寝かされていた時は寒くて、もはやまな板の上の鯉という感じだった。造影剤を(点滴から?)注入すると次第に寒さがなくなってくるが、その時はすでに手術が始まっている。

 担当医が始めますと言った後、右足の付け根にピンポイントの痛みが走る。動脈に管を通すまでゴリゴリと痛いが、2本ぐらい局所麻酔を打ってくれたのかもしれない。途中、点滴からも痛み止めを入れたかもしれない。痛みは足の付け根の傷口のみで、管が血管に入ってしまえばあとはほとんど何も感じないまま管は心臓に達した。

 患部を特定するために起こす不整脈はドラマや映画でよく見る電気ショックのアレに近い。胃の辺りがビクンとして身体が持ち上がる感じで、そのあと胸から首にかけての動脈がドキドキと速まった。気分が悪くなることはなかったが、ああゆうのを何回もやったら身体に対する負荷はあると思う。

 途中で「大きい」とか、「だいたい」というような言葉が医師から発せられて不安になったが、無事に患部の焼灼を終える。手術時間はおよそ2時間半。ツボ押しの石のようなものを足の付け根の切り口に押し当てて、粘着テープで何重にも固定した。

 ストレッチャーは初日の担当看護師と年配の看護師が押す。初日の方は説明がしっかりしていたし、堂々としていたのでけっこう経験がある方だと思ったら、2年目の21歳の方だった。今年22ですと強調していたが、そんな話もできるぐらい手術は順調だった。

 病室に着くと先回りした他の看護師とともに、またあの柔らかいベッドに戻された。仰向けで6時間安静、足も曲げるなと言うけど、腰が痛くなると無意識のうちに動かしていた。

 手術の終了がだいたい午後3時で、病室に戻ってから6時間の安静だと安静解除は消灯時間の9時を微妙に回ってしまう。しかし、出血もしていないようだったし、特別な痛みもなかったので9時ギリギリ前に夜勤看護師が安静を解除してくれた。

 

 翌日、9時前に担当の先生が傷口を確認にきて異常なしと判断。ガチガチに止めていた患部を押さえるテープを剥がし、傷口のサージカルテープを交換した。予定通りの退院が決まり、3日目の担当看護師の方が来て点滴と尿道カテーテルを外した。T字帯から普通のパンツになり、手術用の上着も回収される。

 退院は10時までにしないといけないので慌ただしい。荷物をまとめ、看護師の忘れ物チェックを受け、入院病棟の出入り口まで見送りを受けて退院手続きに向かった。アブレーション手術のパンフレットだと安静解除後、最大1週間程度院内でリハビリ的な生活もあるとあったが、予定通りの短期入院だった。

 この3日間の治療費は3割負担でおよそ30万円。クレジットカードが使えるので助かる。高額医療費として対象(国民)健康保険から後日還付を受けれる。

 この3日間の入院で感じたことは、アブレーション手術の経験豊富な先生と、充実した新しい設備、広い病室、落ち着いて優しい看護師・スタッフという印象だった。1食490円の食事にお茶がつかないのは物足りない。朝食も寂しかった。昼食・夕食については特に不満はない。あとは何と言ってもベッドが柔らかすぎて合わなかったのが残念だ。

 

 退院後、家に帰ってシャワーを浴びるが、はたしてよかったのか?先生からは特に生活の注意を受けなかったので浴びたが、出てサージカルテープを交換する時に傷口のかさぶたが取れてしまった。消毒して新しいサージカルテープを貼ったが、その後数センチ離れた足の付け根に内出血が始まる。傷口は触ると痛いし、止血しようと押すともっと痛い。しかし、傷口自体が2、3ミリなので外部への出血はほとんどない。

 内出血を気にしつつも日常生活を続ける。足の付け根に並行するように内出血はその後も徐々に広がるが、卵大のものが2個、3個連なる感じでそんなに酷い訳ではない。術後5日目ぐらいで内出血は止まった感じとなり、その後内出血の場所が内股にゆっくり移動していくようになる。さらに1週間ぐらい経つと、徐々に紫色の範囲が狭まっていき、一部は黄色く跡が残る。術後3週間で内出血の跡は完全に消えた。

 傷口が完全に塞がるのには2週間以上かかった感じだが、内部の血管やリンパなどは安静時に塞がっていたと思う。知り合いに訊いたところでは、内出血はリンパ腺に漏れた血液が遅れて表面に出てきたもので、重篤な内部出血ではないようだ。

 一方、不整脈は術後しばらく以前よりも多めに気配があった。気配とは不整脈の始まる最初の独特の感じのものを言う。個人的表現だ。しかし、実際に不整脈になったのはこの3週間でそんなにない。しかも、治療の成果で軽いものが数秒続くだけで、長くても10分あまりのものが1回あるだけだった。生活に影響は及ぼすほどではない。治療前にあった脈拍が170とかになる頻脈ではなく、何度かに1度脈が抜ける軽い不整脈だった。時間が経つにつれて気配や不整脈の回数は減っている。

 また、歩いているとすぐに息が上がるが、これも手術の影響かもしれない。手術で受けた心臓の負荷が原因か。術後1ヶ月の診察があるので、そこで先生に訊いてみたい。

 

 以上、不整脈の治療として受けたカテーテルアブレーション手術の患者としてのレポートでした。これはあくまでも個人的感想であり、実際には違う事もあるかもしれないので、不整脈の方が今後治療を受ける場合は担当医に相談の上、自分に合った納得の治療を受けた方がいいでしょう。

 

【追記】その後、術後1ヶ月の診療では特に問題はなかったが、10分以上の軽い不整脈が1度あったという事で、3ヶ月後にもう1回診察をすることになった。何度かに1度脈が抜ける不整脈は問題ないそうだ。