2023年10月23日。北千住から相老(あいおい)で乗り換えて、わたらせ渓谷鐵道(鉄道)に乗ってきたが、神戸(ごうど)で約10分停車。列車の交換がある訳ではない。ここまで、相老出発時の乗車率40%ぐらいから少しずつ乗客が減ってきた感じだったが、神戸ではさらに半数近い人が降り、そしてここでは降りた人以上の人が乗ってきた。地元の人というよりも、沿線の景色やレトロな施設・建物を楽しむ観光客が大半のように思う。紅葉にはまだ少し早いようだ。
ここでボックス席の一角を確保できた。席を確保してから外に出てしばらく写真を撮る。きっぷを買っていれば途中下車できるみたいだが、こちらは相老できっぷを買い損ねて下車時の精算になるため改札口の外には出なかった。
▲神戸駅相老方向
2面2線の神戸駅、対面の②番線ホームに隣接して列車のレストランがある。 昔の東武特急1720型デラックスロマンスカー『けごん』の車両を利用したレストランで、列車の座席とテーブルで食事をすることになっている。改札口の無い側のホームなので、一応は構内施設になるのかもしれない。
▲対面のホームに隣接した列車のレストラン「清流」…
おかれた列車内での食事の他、予約すれば駅弁の販売もするそうだ
レストラン車両は2両が2列で置かれているが、①番線からだと手前がの車両しか見えない。臨時運転されるトロッコ列車で、駅弁を食べながら車窓を見るのも楽しそうだ。
▲レストランとして利用されている東武1720型車両と②番線ホーム
▲神戸駅①番線から見た足尾方向
大勢の乗客が神戸駅の駅舎の内や外で写真を撮ったり、レトロな雰囲気を味わったりして停車時間を過ごした。12:29に列車(気動車)は神戸を出発した。
引き続き渡良瀬川沿いに線路はつづくが、まもなく5,242mの草木トンネルに入る。このトンネルは草木ダムの建設で水没することになった旧線に代わって建設された、わたらせ鉄道でいちばん長いトンネルだ。そのため、旧線上にあった草木駅は無くなった。
トンネルを抜けると細長いダム湖の草木湖を第一渡良瀬川橋梁で渡る。草木湖は関東地方の貴重な水瓶の一つだ。支流からの落差を利用した沢入水力発電所の建物が湖岸に見える。今まで右側に見え隠れしていた渡良瀬川が、この橋梁の先では左側になる。橋を渡るとすぐにまたトンネルだ。
▲草木トンネルを抜けると草木湖を渡る…沢入発電所が見える
沢入トンネルを抜け、支流の谷を渡ると次の停車駅の沢入だ。わたらせ鉄道は相老、上神梅、神戸と難読駅が多い。沢入も、そうりと読める人は、地元の人か鉄道通だけだろう。ここで、上り列車と交換のため5分ほどの停車。
▲沢入駅の相生方向
しばらくして、四方に窓のある個性的な待合室がある対面ホームに上り桐生行が入ってきた。同じ単行運転だが、乗客はこちらの方が多いかもしれない。
▲沢入駅に入線する上り桐生行
左に渡良瀬川を見下ろしながら列車は進む。岩のごつごつした渓谷美だが、ダム湖より上流は水量が少ない。この辺りは白御影石の谷みたいで、全体的に白っぽい岩が目立つ。
▲沢入-原向間の渡良瀬川…水量が少なくて流れはほとんど見えない
蛇行する渡良瀬川に沿ってくねくねと進んできた列車は、足尾山地支脈の稜線の端をトンネルで抜けて栃木県に入る。そして、川沿いの棒線駅原向に着く。神戸-沢入間7キロで130m、沢入-原向間5.3キロで110m上ってきたので、この2駅間は平均でおよそ20‰の急勾配だった。
▲原向駅相老方面
原向を出発してしばらく進むと、また渡良瀬川を渡る。谷沿いの狭い平地に足尾銅山の坑夫(作業員)の長屋がいくつも並んでる。足尾銅山は1973年に閉山になって輸入鉱石による精錬も1989年に終えているので、長屋は現在では使われておらず、廃屋になっている。
次の通洞で降りる。この駅の近くに当時の足尾銅山の坑道の一部を観光用に整備し、足尾銅山の歴史や当時の様子を伝える足尾銅山観光という施設があるのでそこに寄るためだ。
降りる時に乗車証を見せて清算した。相老-通洞間は1,010円だ。わたらせ渓谷鉄道全区間が乗り降り自由の「一日フリーきっぷ」だと1,880円なので、往復するなら「一日フリーきっぷ」が得だ。今回はバスで日光に抜けるので、フリーきっぷは利用しない。
ホームで駅を出ていく列車の後姿を見送り、さらに2、3枚写真を撮ってから無人駅の駅舎を出た。
▲通洞駅を出ていく間藤行
▲ホーム側から見た通洞駅の改札口
一段上の駅舎から見ると、駅前は足尾銅山街道(銅山=あかがね街道)から分岐してきた狭い道路と、取付道路がT字路になっていて、そこに少しスペースがある感じだ。
駅周辺は人が少なくて閑散としている。列車(気動車)を降りた人は6、7人いたが、みなバラバラに散っていった感じで、地元の人にせよ観光客にせよ目的地はみな別だったようだ。
▲街道と駅を結ぶ取付道路から通洞の駅舎を見る
わたらせ渓谷鉄道の時刻に合わせて、日光駅行の日光市営バスが街道沿いのバス停で連絡していたが、銅山観光に立ち寄るので乗車するのは2時間後の次のバスになる。銅山観光での時間は2時間はかからないだろうと予想していたが、日光行のバスは利用できるだけで有難い。
取付道路を歩いて足尾銅山街道に出て、右に折れ、足尾銅山観光に向かう。
以下つづく。
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