わたらせ渓谷鉄道で足尾銅山へ①北千住→神戸 | ☆出かけよう!気のむくままに…☆

☆出かけよう!気のむくままに…☆

プチ鉄道旅紀行、なんとなくアド街ック、ちょっと文化的に劇場へ、その他いろいろ書いています。なお、古い投稿は時々整理します。
また、記事と直接関係ないコメントは掲載されない場合がありますのでご了承ください。

 2023年10月下旬、以前から考えていた往路は東武伊勢崎線、帰路は日光線の周回ルートの日帰り旅にいってきた。これは日光-足尾間のバスルートがあるからできるもの。鉄道移動もいいが、バス移動もまた楽しみだ。

 北海道鉄道旅の事をブログにまとめながら、次の旅は北海道から2か月後の11月かなと思っていたが、東武鉄道の株主優待乗車券も有効期間が12月末までなので、早めに使っておこうと思いたっての旅だった。

 前日に「のんびりホリデーSuicaパス」で北千住に立ち寄り、東武鉄道の窓口で北千住から相老までの特急指定席券を購入して当日に備えた。

 そして当日、乗るのは北千住9:53発の赤城行『りょうもう7号』全席指定の6両固定編成。現在運行されている東武鉄道の特急車両の中ではいちばん古いタイプの車両だろう。足掛フットレストが設置されているが、個人的には座席の下に足が延ばせないのでかえって邪魔だった。表と裏とで土足用と素足用になっているが、近くに座った乗客などは素足用の方に靴で足をかけていた。まあ、さもありなんという感じだ。

 

北千住『りょうもう7号』

▲北千住駅特急ホームに入線する『りょうもう7号』

 

 いちばん後ろの車両だったせいか、北千住を出発した『りょうもう7号』の乗車率は30%にも満たない感じだ。たぶん平日下りのこの時間帯は、当日券でも余裕で乗れただろう。ただ、3両編成のリバティ車両の時は早めに買っておいた方がいいかもしれない。

 白い雲はあるものの、まずまずの晴天の中、伊勢崎線の複々線区間を『りょうもう7号』は快調にとばす。次々と緩行線の電車を抜いていくのは爽快だ。北越谷からは複線となり、特急『けごん』や『きぬ』『会津』が停まる春日部も通過する。『りょうもう』の北千住の次の停車駅は日光線との分岐駅・東武動物公園だ。こちらは逆に、『けごん』や『きぬ』『会津』が通過する。

 都心郊外の市街地を邁進してきた『りょうもう7号』も、車両基地のある北春日部辺りから徐々に農地が混ざるエリアに入る。東武動物公園を過ぎると、今度は農地の割合が多くなってくる。駅と駅の間には稲刈りの終わった田圃も広がるが、まだ都心の通勤圏で、駅周辺部には住宅地が広がっている。

 

久喜-館林間車窓

▲久喜-館林間の車窓

 

 この先で単線になる館林では上り『りょうもう20号』と行き違う。隣の線路に入線してきた『りょうもう20号』の方はかなり乗客が乗っていた。

 館林5分停車で出発。北西に進むにつれて山並みが近づいてくる。足尾山地の南側の山裾になる。

 

館林-足利市間車窓

▲館林-足利市間の車窓

 

 前年に市内を歩いた足利市駅にも停車、今年は降りずに先に進む。いったん左にカーブして南に向かい、太田の市街地に入ると左から館林・東小泉からつづく小泉線が並走となり、太田で接続となる。太田からは伊勢崎線を離れて桐生線に入り、再び北に向かう。伊勢崎線は左に離れて伊勢崎に続く。

 少しずつ減ってきた乗客は太田を出ると4人になった。北関東自動車道をくぐり抜け、やがて新桐生に着くと3人が降り、とうとう乗っている車両の乗客は自分だけになってしまった。

 両毛線の桐生と東武桐生線の新桐生とは渡良瀬川を隔てて1.5キロほど離れているが、どちらにも市街地が広がっている。

 さらに北上し、下新田の留置線を右に見ながら両毛線を越えると右からわたらせ渓谷鉄道(鐵道)の線路がきて、11:29相老(あいおい)に到着した。ここで乗り換える。

相老駅④番線赤城方向

▲相老駅を出発する『りょうもう7号』

 

 2面2線のわたらせ渓谷鉄道と、1面2線の東武桐生線が隣り合わせる相老駅はホームが跨線橋で繋がった共同使用駅で、改札口などの駅業務はわたらせ渓谷鉄道の方で行っている。両鉄道を結ぶ渡り線はないので、両線は鉄道としては完全に分離している。

わたらせ渓谷鉄道相老駅足尾方

▲相老駅跨線橋から見た赤城・足尾方面

 

 もともと地元の相生村から駅名をとって足尾鉄道相生駅として1911年に開業したが、兵庫県の相生と重なることからすぐに相老に駅名が改められた経緯がある。東武鉄道は足尾鉄道に2年遅れて相老駅を開業している。

 足尾銅山の鉱石輸送用として敷設された足尾鉄道はその後国有化されて国鉄足尾線となり、JR東日本をへて、1989年第三セクターのわたらせ渓谷鐵道(桐生-間藤間44.1キロ)となって現在に至っている。

 

 乗り換え時間8分だったので直接わたらせ渓谷鉄道に乗り換えてもよかったんだが、外に出てみたくて改札口を出た。わたらせ渓谷鉄道のきっぷを自動券売機で買おうとしたら、見慣れないタイプの券売機に手間取り、その間に間藤行の列車(気動車)が来てしまった。見かねた駅員が硬券の乗車票を差し出し、降りる時に精算してと助けてくれた。

 駅舎の撮影どころではなくなり、急いでホームに向かった。ホームにいた乗務員に訊いたら、発車までまだ1分あまりあると分かり、車両の写真を撮ってから乗車した。両運転台式の気動車1両だが、運転手の横に補助の乗務員も乗って11:37相老出発。

 

相老駅②番線間藤行後面

▲相老駅②番線間藤行の後面

 

 座席はボックスシートで、両サイドだけ運転台方向を向いた2人掛け席。どこの席にも一人二人座っていたので、座りながら車窓を撮るのは諦めて、2人掛け席に荷物を置いてもっぱら後部運転席の横から後方の車窓を眺める。

 相老-間藤間はだいぶ前に乗ったことがあるが、起点側ともいえる桐生-相老間はまだ乗ったことがない。もっとも、桐生から大間々辺りまでは都市部といえるエリアなので、景色を堪能するのなら渡良瀬川沿いに進む大間々以北で充分なのかもしれない。

 相老を出てしばらくすると、並走していた東武桐生線が左に分かれていき、さらに上毛電鉄の下をくぐり抜けると運動公園駅だ。わたらせ渓谷鉄道と上毛電鉄・東武桐生線に挟まれて桐生市の運動公園がある。

 その後くねくねと渡良瀬川沿いの市街地を進み、相老から7分ほどで沿線の中心駅大間々に到着。ここで3分停車。桐生-間藤間は1日ほぼ11往復運行されているが、都市部の桐生-大間々間にはさらに7往復の区間運転がある。

 

大間々駅

▲レトロな木造駅舎の大間々はわたらせ渓谷鉄道の中心駅

 

 大間々を過ぎると右に渡良瀬川が見え隠れするようになってくる。川沿いの狭い段丘は渡良瀬川の蛇行に合わせて、右岸になったり左岸になったり。山が川にせまったところは周囲が樹木に覆われていて、ローカル色の強い景色が味わえる。

 

大間々-上神梅間後方車窓

▲森林鉄道のような雰囲気の大間々-上神梅間

 

大間々-上神梅間後方車窓

▲山の斜面を切り開いたこの区間は石垣が珍しい

 

 前方に鹿がいますと車内放送が入り、スピードを落とす。何人もの乗客が運転席の近くに行き、様子を見る。今にも停まりそうな牛歩並みのスピードで進んでいくと、どうやら鹿が逃げたようで再びスピードを上げる。

 上神梅(かみかんばい)は大正元年開業で昭和の初期に増築された駅舎が、国の登録有形文化財になっている木造駅舎。無人の棒線駅だが、その改札口を見ると駅員が硬券切符を切るところが目に浮かぶ。

上神梅駅

▲戦前のドラマに出てきそうな上神梅の駅舎

 

 上神梅を過ぎると渡良瀬川は両岸から山が寄せているV字谷の様相になってきて、いよいよ渡良瀬渓谷という感じになってくる。ただ、紅葉の方はまだあまり進んでいない印象だ。川に沿って線路は右に左にカーブしていき、時折短いトンネルを抜ける。

 近くの高台に集落のある本宿も棒線駅だ。

中野駅後方車窓

▲静かな佇まいの本宿

 

 右手に渡良瀬川を見ながら列車は進む。斜面に樹木が茂っているのでうまく渓谷美の写真を撮れない。やはり車窓は動画にはかなわない。

 水沼で上り桐生行と交換。黒保根大橋は駅から150~200mぐらいのところ。

 花輪、中野とJR東日本と同じ名前の駅に停まり、小中を過ぎると、今度はJR西日本と同じ名前の神戸となる。ただし、こちらはごうどと読む。神戸でおよそ10分間の停車だ。

 

 以下つづく。

 

 次の投稿→ わたらせ渓谷鉄道で足尾銅山へ②神戸→通洞