インベーダー~世にもケッタイな物語 | みぶ真也 の 職業:怪談俳優

みぶ真也 の 職業:怪談俳優

浪速のユル・ブリンナー

おはようございます、大阪の俳優みぶ真也です。

皆さん、気をつけてください。

インベーダーの侵略は既に始まっているようです。

 

 

 撮影の帰りに、最寄りの駅で面白そうなガチャを見つけた。

 一個200円の「インベーダー」というもの。

 買ってみると、カプセルの中から白いのっぺらぼうの人形が出て来た。

「水に浸けると大きくなります」

 と説明書に書いてある。

 帰宅して風呂を出た時、ふと思いついて湯船に放り込んでみた。

 人形はしばらくプカプカと風呂の表面に浮かんでいたが、次第にお湯の中に沈んでいく。

 明日になったらどれくらい大きくなってるか楽しみにしながら、缶ビールを一本飲んで寝てしまった。

 夜中にトイレに起きた時、気になってバスルームを覗いてみた。

「こんばんは」

 いきなり声をかけられて悲鳴を上げそうになる。

 大人の人間と同じくらいの大きさになったのっぺらぼう人形が湯船の中から話しかけて来たのだ。

「みぶさん、はじめまして」

 湯船の中からのっぺらぼう人形がぼくに向かって言った。

「だ、誰だ!」

 思わずそいつに言う。

「私はインベーダーです。地球を征服する為にやって来ました。既に地球人の半分は我々に乗っ取られているのです。みぶさんも私に乗っ取られてみませんか?」

 人形は立ち上がりこちらに迫って来た。

 思わずそいつに正拳突きをすると、拳がインベーダーの腹部にズブズブと入ってしまい、そこから暖かい何かがぼくの体に流れ込んで来た。

 やがて、ベッドの上で目を覚ます。

 夢だったのだろうか。

 バスルームを覗くと、湯船の水が減っていて、インベーダー人形は見当たらない。

 今、こうしてブログを書いている自分が、昨日と同じぼくなのか、ぼくの肉体と記憶を乗っ取ったインベーダーなのか、自分自身でもよくわからない。