子宮推命では、生年月日の干支を
陰陽五行の考え方で読み解いていく。
けれど、暦として生まれた干支は、
始めから陰陽五行説と結びついて
いたわけじゃなかったんだ。
陰陽説の始まり
陰陽説と五行説は、今では
別々に考えられないくらい
密接に絡まり合っているけれど、
もとは別々に生まれたものだ。
陰陽説をつくったのは、
中国最古の王・伏羲（ふっき）
と言い伝えられている。
陰陽説とは、すべてのものは
陰と陽から成り立っている
と考える二元論だ。
明暗、冷熱、乾湿、火水、天地、表裏、
上下、凸凹、男女、剛柔、善悪、吉凶……
これらのものは相反しているけど、
陰のなかには陽が含まれている。
陽のなかには陰が含まれている。
陰が極限まで極まると陽に転じ、
陽が極限まで極まると陰に転じる。
陰と陽は交互に現れて循環する。
五行説の始まり
一方、五行説は、夏（か）の国の
聖王・禹（う）がつくったと言われている。
禹王は亀の甲羅の文様から
「五」という数を悟った。
五行とは、木・火・土・金・水。
「水」は潤し下へ流れる性質を持つ。
やがて海に下ってしょっぱくなる。
「火」は上へと燃えあがる。
焦げたものは苦くなる。
「木」は曲がったり真っ直ぐに伸びたりする。
そしてその実はすっぱい。
「金」は形を変えて刀やクワになる。
味で言うならば攻撃的な辛さ。
「土」は熟した種を実らせる。
そしてその実は甘い。
さらに後の時代になって、
斉国の陰陽家・鄒衍（すうえん）が
この五行を五つの惑星に当てはめて、
さらに万物はすべてこの五行から
生まれるという観念的な説に発展した。
木火土金水は「もっかどごんすい」と
読んで覚えるけれど、この順にも意味がある。
「木」は燃料となり「火」を生む。
「火」の燃えかすが「土」となる。
「土」の中では「金」が育つ。
「金」の表面には「水」がつく。
そして、「水」は「木」を育む。
ぐるりと循環しているのだ。
循環？ そうそう、中国では
「暦」も循環すると考えていたんだ。
陰陽五行説が暦と結びつく
陰陽五行説が体系化したころ、
天体観測の方法も進歩して
暦が整ってきた。
十干と十二支の組み合わせで循環する暦。
ここに同じく循環する五行説を
当てはめる発想が現れたんだ。
春秋戦国時代、呂不韋（りょふい）が
編集した『呂氏春秋』にこう記されている。
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甲乙を「木」、丙丁を「火」、
戊己を「土」、庚辛を「金」、
壬癸を「水」と定める。
甲丙戊庚壬を陽と定め「兄（え）」と読む。
乙丁己辛癸を陰と定め「弟（と）」と読む。
そうすると、十干は訓読みでは
こんなふうに読まれる。
甲 ＝ 木の兄（きのえ）
乙 ＝ 木の弟（きのと）
丙 ＝ 火の兄（ひのえ）
丁 ＝ 火の弟（ひのと）
戊 ＝ 土の兄（つちのえ）
己 ＝ 土の弟（つちのと）
庚 ＝ 金の兄（かのえ）
辛 ＝ 金の弟（かのと）
壬 ＝ 水の兄（みずのえ）
癸 ＝ 水の弟（みずのと）
最期の文字が「えと、えと……」と続く。
つまりこれが干支を「えと」と読む語源。
えとって今では十二支を意味する
言葉として使われているけれど、
もともとは十干のことで
十二支は関係なかったのか……
参考にした書籍はこちら。
こうして暦と陰陽五行説が結びついた。
そして「命」と呼ばれる占いが
発展していくのである……！
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