『ふらり。』の感想 | まんが栄養素

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【マンガ感想】

 

『ふらり。 (谷口ジロー)』

 

4063729966 ふらり。 (KCデラックス)
谷口 ジロー
講談社 2011-04-22

by G-Tools

 

 

【あらすじ】

ゆらり、ふらり、と江戸歩き。それはきっとあなたの記憶につながる原風景。

 

 

江戸の町を歩き回る初老の男性を主役とする作品です。

 

商人として成功をおさめ、若くして隠居し(とはいっても50歳くらい)、江戸に出てきた初老の

男性。 そんな彼の日課は、江戸の町を1歩を二尺三寸で歩く練習をしつつ、江戸の町の

様子を探索すること。 彼の眼には、江戸の町はどのように映るのだろうか・・・。

 

というような感じの作品でして、若くして江戸で隠居生活を送る初老の男性が、

江戸の町を探索していき、様々な出会いやイベントをこなしていく作品です。
 
まんが栄養素-ふらり。
 
主な展開としては、江戸で隠居生活を送っている初老の男性が、1歩を二尺三寸で歩く練習を

しつつも、江戸の町を探索していき様々な人々に出会っていくという感じで進んでいきます。

ちなみに、1歩を正確に二尺三寸で歩く練習の意味合いですが、これは彼の夢である“測量”の

ための練習でして、自らの足を“測量”の道具として活用しようとする彼らしい練習方法です。
(のちに、車輪を利用して測量をする方法を考え出すことになる)

 
まんが栄養素-ふらり。

 

そんな作品の魅力は、もちろんその初老の男性が江戸の町を探索するイベントですね。

ただ、個人的には、そういうイベントよりも、その初老の男性の夢が叶うイベントが好きでして、
今回の感想では、初老の男性の夢に関してスポットを当てたいと思います。

 

で、この初老の男性の夢とは、“測量”です。

この初老の男性は、その“測量”をするために、自らの仕事を引退して、わざわざ江戸の町に

住みこむこととなります。 その熱意は、江戸幕府をも動かすこととなり、蝦夷地の地図作成の
許可を貰うこととなりました(ただし、費用は20両までと決められており、測量器機などは全て

自費でやってくれというあまり良い待遇ではない。 とはいえ、この初老の男性は商人として大成功

をおさめた人物なのでお金に関しては全然困っていないため、喜んで受け入れることになる)。
 
まんが栄養素-ふらり。
 

ということで、合法的に蝦夷地に行くことができるようになったのですが、一つだけ問題が出てきます。

それは、商売を引退し、彼と共に江戸へやってきた妻・『お栄』のことでして、彼女を一人江戸へ置いて
蝦夷地に行くこと対して、悩むこととなります(『お栄』はしっかり者の魅力的な女性でありますが、

彼の趣味に対してそれほど興味を示していない)。 とはいえ、夢を諦めることはできず、『お栄』に

蝦夷地へ行けるようになったことを正直に話し、蝦夷地に行くことを許しを請うこととなります。
そんな彼に対して、『お栄』はかなり肝の据わった女性でして、ナント、彼の旅についていき、彼の

サポートをすることを約束します。 その返答に、彼は驚きながらも手を合わせて喜ぶこととなりました。

 

個人的に、この夫婦のやり取りは非常に感動的で、軽く涙が出そうになってしまいましたよ(^^ゞ。

ただ、ここで連載終了してしまったので、その後の蝦夷地の測量の旅は描かれずに終わってしまったの

は残念でしたね(打ち切りというわけではなく、この作品自体、蝦夷地へ旅に出るまでがテーマだった)。

まあ、あえて、初老の男性(伊能忠敬)の名前を伏せて描かれていたので、ここで終わるのが一番

綺麗な終わり方であることは間違いなく、しょうがないところですね。

 

いや~、面白かったですよ。

 

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【総評】

日本で初めて日本地図を作った人物として有名な『伊能忠敬』を主役とする作品です。

ただし、この作品は『伊能忠敬』の人生や功績を描くのではなく、彼が江戸で隠居していた頃の

暮らしをのんびりと描いている作品です(日本中を旅立つ前の時期)。 主な展開としては、

『伊能忠敬』が特に何も起こらない江戸をブラブラと季節を感じつつ歩き回るという感じでして、

非常にまったりとした気分にさせてくれる作品です。 NHKで放送されていた『ブラタモリ』みたいな

感じが好きな人ならハマれるのではないかな、と思います。

 

点数的には

90点

です。

 

個人的にですが、『伊能忠敬』と言えば、『風雲児たち(みなもと太郎)』という作品を思い出します。

もし、この作品を読んで、『伊能忠敬』という人物に興味を持ったならば、ぜひとも『風雲児たち』と

いう漫画も読んでいただきたいですね。 彼だけでなく、この時代の江戸の様子が詳しく描かれて

いるので・・・。
 

 

では、ここまで。

 

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