【マンガ感想】
『蟲師 9巻 (漆原友紀)』
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蟲師 9 (9) (アフタヌーンKC)
漆原 友紀 講談社 2008-02-22 by G-Tools |
過去記事はこちら → 8巻
【あらすじ】
比類なき幻想世界、そこに脈打つ生命達の息吹。眩き5編に溢れる第9巻、ついに現出。
●残り紅・・・昼でも夜でもない、不確かな刻――夕暮れ。地に長く延びたふたつの人影が重なる時、永く眠っていた闇が目を醒ます。
●風巻立つ・・・凪の海で帆を揺らす船。意のままに“蟲”を操り風を呼ぶ危うき少年は、己が為に往く――心に地平を見る為に。
●壷天の星・・・輝きひとつ見えぬ夜空、しかし頭上にのみ散らばる幾多の星。独り、少女は見上げていた――異質な闇と懐かしき光を。
●水碧む・・・水に呼ばれ、自らも水を欲し――かの者は、求め続ける。胎内での記憶に呼ばれたかのように、しかし彷徨うように。
●草の茵・・・それは何処であったか、何時であったか。白き髪と緑の目を持つ少年は、世と生命の“理”を――そして己が居るべき処を照らす光を知った。
主人公は、『蟲』という普通の人には見えない妖怪のようなモノを退治したり、
その『蟲』に取り付かれた人々から『蟲』を取り除く治療などをする蟲師。
主人公は極力個性を殺した作りとなっており、思想・主張をあまり持っていないキャラでして、
『物語の主人公』というよりも、『蟲』に取り付かれた人々を観察する傍観者的存在です。
そのため、物語は、『蟲』に取り付かれた人々を中心に構成されており、
彼等が住む土地に主人公が訪れることにより物語が動きだす構成となっています。
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今巻も5編を収録。
個人的なお気に入りは、夕暮れ時に人が入れ替わるという話を描いた『残り紅』。
夕暮れ時にのみ現世に現れる「大禍時」というモノに飲みこまれてしまった人は、
身体を失い、夕暮れ時に、影のみ現世に現れるようになる。
そして、その現れた影に『現世を生きている人間』が踏んだり踏まれたりすると入れ替わってしまい、
その人が「大禍時」に飲み込まれてしまい、影の本体が現世に戻ってくる。
という設定のお話で、老人夫婦の家にお世話になるところから話が始まります。
おじいさんは、夕暮れ時になると、おばあさんがフラッと家を出て森の中に入っていくことを不信に思い
ギンコに相談すると、ギンコより上記の『大禍時』の話を聞きます。
ナント、おじいさんは、過去に、幼馴染(アカネ)がいなくなり、
嫁さんとなるおばあさん(みかげ)が現れるという、『大禍時』に似た体験をしていたようで、
そのことをギンコに話すことで、おじいさんの長年の謎が解かれることとなったのですが、
その話をおばあさんが聞いてしまい、『アカネと入れ替わったときの記憶』を呼び起こすこととなります。
自分の身代わりとなってしまった『アカネ』のことを思い悩むおばあさんは、
『アカネ』に対して、『夫』に対して、泣きながら・・・謝りながら・・・森を彷徨います。
その姿を見たおじいさんの
おじいさん 「わしには謝らんでくれんか」
「わしも・・・幸せだったよ・・・・ずっとずっと・・・・」
「お前の・・・・おかげでの」
「さあ・・・帰ろう・・・わしらの家に帰ろう・・・」
という言葉はジーンと来ました。
ラストは、なんともシュールな終わり方でしたが、夫婦愛を描いた素晴らしい作品だったと思います。
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【総評】
不思議な世界観の作品なので、なんとも感想を書きにくい作品であります。
読みきりタイプの作品なので、どこから読んでも楽しめる作品でありますが、
一気に9巻を読もうとすると、マンネリを感じてしまう作風の作品かもしれませんね。
やはり、一話一話、かみ締めて読んでいくべき作品だと思います。
点数的には
88点
です。
では、ここまで。
