数メートル先に止まった他所のタクシー。 | THMIS mama “お洒落の小部屋”

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好きになれない。  vol.202

ドキドキ 順平、
「何とかこれで。課長~~。」

佐津香、そんな順平を見てニッコリと、
「ありがとう順平。助かった。はは。さっすが~~、頼りになる。」

「なんの。佐津香さんたちのお役に立てるんなら、喜んで。うん。」
顔をコクリと。

菜帆子、
「ふ~~~。さてと。これから…。」

佐津香、
「うん。でも…、その前に。」
運転手に向かって、丁寧にお辞儀を。
「本当にありがとうございました。大変助かりました。」

菜帆子も、
「おっと。」

順平も、
「うんうんうん。」

3人揃って、運転手に一礼を。

菜帆子も順平も、
「本当に、ありがとうございました。」

思わず運転手、恐縮極まって、顔を左右に振るわ、両手前でヒラヒラと。
「いえいえいえ。とんでもない。」

佐津香、運転手に、
「本当に、助かりました。」
更に一礼。

運転手、照れながらも、
「いやいやいや。」
そして、
「では、私は、これで…。」
何度も頭をコクリとしながら、振り向きざまにタクシーの方に。

菜帆子と順平、玄関から、出て、
「ありがとうございました~~。」
そして、
「さてと。」
ふたり同時に。


運転手、タクシーに乗り込んだと思ったら、数メートル先に止まった他所のタクシー。

運転手、
「うん…???」

中からひとりの女性がカーディガンを羽織りタクシーから降りて駆けてくる。

運転手、また、
「うん…???」

すると、その女性、運転手が今来た家の方に。

「おっと…。」
そして、ふと思い出し、
「あ。な~~るほどね~~。」
と、2度程頷く。



女性、玄関に、
「すみません。江西美沙(えにしみさ)と申します。リアルエステート・アクロスの~~。」

その声と姿に、佐津香たち、
「へっ…???」

菜帆子、
「いや…。噓でしょ。」

順平、目をパチクリと…。

美沙、
「すみません。心配で、心配で…。居ても立ってもいられなくて…。来てしまいました。」

佐津香、腕時計を見て、女性を見て目をパチクリとさせながら、
「えっ…???…って…。わざわざ…???」

菜帆子と順平を見て。菜帆子も目をパチクリ。


タクシーの運転手、
「なかなかどうして。今時の不動産屋、や~るね~~。」
そして、タクシー、動き出す。

美沙、
「あの…、玄関の鍵は…???」

菜帆子、ニッコリと、
「えぇ~~。何とか…。」

佐津香、下駄箱の上に顎を…。

美沙、女性にコクリと。
「ありがとうございます。見つけたんですね。」

佐津香、
「…と、言うか…、不動産の方が…。」
菜帆子と順平をまた見て…。

美沙、立ったままで、その姿勢から、両手を両膝に当てるように思い切り深くお辞儀を。
「ありがとうございました。」
そして、体を戻し、
「小埜瀬さん。実は、私の最初のお客様なんです。」

その声に、佐津香も菜帆子も順平も、
「え――――――――っ!!!」

美沙、口をガッシリと噤んで。そして、口を開き、
「物凄い、頑固で、最初は怖いって感じたお客様なんですけど…。根はとっても、情に脆い、情け深い人間だから、安心しろって。頑固ではあるけどって、言われて。」

佐津香、
「あ。あ~~。」

菜帆子も、佐津香を見て。順平は、口を尖らせてモゴモゴと…。

美沙、
「でも、話を進めて行く内に、確かに頑固でした。でも…。とにかく優しいんです。こんな私でも…。まだ、不動産、入社して1年目なんです。ようやく仕事、ひとつ、任されて…。それが小埜瀬さんなんです。」

そして、美沙、目を落として、
「実は…、私の叔父の紹介なんです。小埜瀬さん。」

佐津香も菜帆子も順平も、
「叔父…???」

「はい。仙台に叔父がいるんです。化粧品会社の。」

瞬間、佐津香、目をパチクリと、
「あ、あ~~~。なるほど。そっか。」
菜帆子と順平に、
「仙台支社の小埜瀬さんの上司。が、多分。」

途端に菜帆子も順平も納得の頷き。そして、それぞれ、
「そういう事。」

佐津香、
「そぅだったんだ~~。」
そして江西と言う女性を見てニッコリと。
「…でも。うん。」
頭をコクリと、
「わざわざ、ありがとうね。さてと。小埜瀬さん、部屋に運ばないと…。このまんまじゃ…。どうしようも…。」

菜帆子、
「…って、部屋って…。」

美沙、
「あっ。そこになります。6畳間なんです。その向かいが茶の間で、奥が台所とトイレ。そして2階なんです。とにかく小さな家ですが…。しかも、古くて。」

小埜瀬を4人掛かりで運びながら…。

順平、
「だから…、家賃5万。なるほど。…でも、そんな…、古いとは…。」

菜帆子も、
「うんうんうん。何か、何処も傷んでなさそう。」

6畳間に運び込み…。美沙、タンスから布団を。

そんな江西に佐津香、
「あの…、…姪御さんって。…へぇ~~~。…で、不動産…。失礼ですけど…。お子さんは…???」

美沙、布団を敷きながら、
「はい。1歳半になる子供が。」

菜帆子、
「ワッツ。子供…、いるんだ~~~。ははは。」








好きになれない。   vol,091.  数メートル先に止まった他所のタクシー。

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