その声に小埜瀬、何とも申し訳ない表情で、
「あ、あ、あ~~。…いや…。こ、こちらこそ。…って、佐津香さ~~ん。」
佐津香、瑛士に、
「うん…???…でも。…だってさ~~。こういうの、もぅ、最初が肝心。会社、これから今以上に忙しくなる。…それを見込んで、みんなが、それに慣れて、ようやく…、落ち着いた頃に。…と、思ってねぇ~~。」
瑛士、その話に、
「あ、あ、あ~~~。な、な~~るほど。」
「それに。」
佐津香。
「瑛士さん、息子さんにも安心させてあげなきゃ。」
その声にいきなりビクンと優維香。
瑛士、佐津香の声に、
「あ、は、はぁ~~。」
「それに。」
佐津香。
「菜帆子やその他のメンバーたちにも、その方がいいと思って。ね。」
優維香、
「菜帆子さん…???」
佐津香、
「ふん。」
優維香を見て。
「我がマーケティング事業部、残念ながら、既婚者は愛結美さんひとり。その他、私も含めて結婚してない女性ばかりだから~~。少しは刺激に~~、と、思ってねぇ~~。」
思わず優維香、口を尖らせて目をパチクリ。
「あ。」
佐津香、
「そういえば、トラディショナル事業部だって~~。あんたんとこも、まだ、結婚している人って~~。池辺課長だけでしょ。真宮部長なんて、物凄い経営コンサルタント~~。」
瑛士、目を見開いて、
「えっ…???…そうなんですか…???」
「うん。凄いよ。もぅ~~。スピード結婚なんてもんじゃない。婚姻届け、突きつけられてすぐ結婚だから。しかも、ドド~~ンと、年上。」
瑛士、すぐさま、
「凄ぇ~~~。」
優維香、
「どこからその情報。」
そして考えて、
「はは~~ん、七瀬社長~~。」
「まねぇ~~。教えてくれる人は、教えてくれる。ただ、遊び半分で喋っている訳じゃ~~ないから。必要な時しか口に出さない。まっ。瑛士さんに話しても、口外はしない。…って言うか、瑛士さん自身に必要な事じゃなし。しかも、こんな話を口外したところで、何の得にもならないし。」
瑛士、
「確かに。」
「お待たせしました~~。」
テーブルに未梨と伽璃菜。トレイに料理を。
瞬間、優維香、
「うそ。」
母に小声で、
「まだ何も頼んでないけど…。」
そんな声に佐津香、左手をヒラヒラと、
「気にしない、気にしない。前以て頼んでおきました~~。」
伽璃菜、未梨、
「どうぞ。お召し上がりくださ~~い。」
瑛士、
「ありがとうございます。」
伽璃菜、小埜瀬に、
「小埜瀬さん。グッジョブ。」
ガッツポーズ。
そのポーズに小埜瀬、にこやかに、
「ははははは。」
未梨、頭を下げて、
「おめでとうございます。これで会社のみんなも。」
佐津香、その声に、
「ふふふ。」
伽璃菜、優維香に、
「おかあさんの会社の人、みんな知ってますから、佐津香さんと小埜瀬さんの事。」
瞬間、優維香、目を真ん丸に、そして口を縦に大きく。
「わ~~~お。」
そして頭の中で、
「…私と同じだ~~~。」
そして、ふと頭に過る、シェアハウスの事。優維香、再び頭の中で、
「…私…、どうしよ。…リーダー。隆英さん。」
佐津香、
「はい。…では、頂きましょう。」
瑛士、コクリと。
「はい。頂きましょう。」
優維香も、頭をコクリと。そして、また頭の中で…。
「…って、まさか。リーダー。隆英さんのおとうさんと、おかあさんが…。…結婚って…。…有り得ないでしょうが。」
佐津香、優維香を見て、
「うん…???…どうかした…???…何だか、表情…。」
その声に瑛士も反応して、優維香を見て、
「……。」
瞬間、優維香、目をパチクリと。
「あ、あ。ううん…。ふふふ。」
そして優維香、再び頭の中で…。
「…って言うか、この人…。プレゼンで…。確かにフランス…。外人ばっかりだから…。…でも、凄い、体格…。」
チラリと母を…。
「もしかして…。」
3人共に、メニューを口に。
そして、優維香、すぐさま、
「わっ!!!」
その声に佐津香も瑛士も、優維香を見て、
「ふふ~~ん。」
佐津香、
「ふふ、美味しいでしょ。」
優維香、目を真ん丸に、
「うんまっ。」
佐津香、
「はは。」
そして、カウンターに顔を。左手親指を上に。
伽璃菜、未梨、リチャード、ニコリと。3人も共に、親指を上に。
優維香、食べながらも頭の中で、
「…この人が、おかあさん、タクシーで家まで…。…ってか、考えても仕方ないっか。おかあさん、決めたら決めたでトコトンだから。…それにしても、美味しい。アネモッサとはまた違った感じの美味しさ~~。」
「…って、うそ―――――――っ!!!」
菜帆子。
「マジで、優維香ちゃんに…???」
休憩ブースで。
愛結美も、目を真ん丸に。
「早~~~~。佐津香さん。」
そしてニッコリと、
「わお。」
佐津香、
「まっ。だ~~って、いつまでも、じれったく~~???」
菜帆子、
「まま、確かに。」
愛結美も、
「うんうんうん。」
菜帆子、
「…で…???…肝心の…、優維香ちゃん。」
好きになれない。 vol,278. 「こういうの、もぅ、最初が肝心。」
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