「でも…。」
隆英、
「そんな中でも…。」
その声に麗子、
「ん~~~???」
ゆっくりと隆英を見て、
「そんな中でも…。」
隆英、
「えぇ~~。」
麗子を見て、
「特に、あの3人が…。」
「あの3人…。」
「柿崎優維香。そして、冴島悠里。それに江間亘夢。」
そこまで言って隆英、
「この3人には…、ある意味、一目惚れ。…でしょうか。」
その声に思わず賀寿恵、目を真ん丸に。
「わお。」
いきなり麗子、
「はっ。…かかかかかかか。」
思わず笑ってしまう。…そして、隆英を見て、
「えへ~~~。はははは。隆英…。…あんた、以外と、見る目、あるじゃない~~。」
隆英、その声に口を尖らせて、
「そうですか~~。あ、いや…、でも…。ただ、一目惚れと言っても…。」
顔を傾げて、
「何て言うか…。確実に、何かしらの、インテリアに対しての人に対して伝わる印象が違うと言うか…。」
麗子、話を聞きながら3回程頷く。
「うんうんうん。分かる分かる。」
そして麗子。
「確かに。前回のスタッフコレクション。立役者も3人、いたからね~~。その筆頭が家庭の都合で退社したけど、櫻田初美。そして…。」
「えぇ。池辺課長から聞きました。…でも…。」
賀寿恵、
「…でも…???」
隆英、今度は賀寿恵を見て、
「前回のスタッフコレクションと言うのは、今回のとは、まず比較にならない。」
麗子も、
「そぅ~~。全く…。」
隆英、
「それなのに…。あれだけの…。」
その時、隆英、
「…ん…???…何、この香り。凄っ。」
麗子、
「んふ…。」
佐紀、皿に盛り付ける。
賀寿恵、音の出ない拍手を両手で、
「できた~~。」
秋津、出来上がった料理を見て頷く。
麗子、
「できました~~。」
隆英、
「何と。炒飯。」
佐紀、
「お待たせしました~~。」
麗子、
「隆英、ちょっと食べてみな、この炒飯。もしかしたら、そんじょそこらの中華料理店でも、この味は…。」
秋津も、
「とうぞ。」
佐紀も、
「召し上がって下さい。」
隆英、麗子と賀寿恵を見て…。
賀寿恵、ニッコリと、
「どうぞ。」
隆英、
「では。」
そして、スプーンを持って一口。
目をキョロキョロと。そして2度の瞬き、目を丸く、
「…何これ…???」
思わず口に左手を。そして佐紀と呼ばれた女性を見て、
「こ…、これ…。あなたが…???」
目は真ん丸のまま。
麗子、ニッコリと、
「どうよ。絶品料理。」
隆英、まだ口の中でモグモグと…。そして、ようやく…。
「何、これ…???…今までこんな炒飯。食べた事…。…まっ。確かに、生まれてこの方、いろんな中華料理。中国でもそのお店。」
そこまで言って、
「嘘だろ…???…こんな味…。」
そして、
「え~~~ぇ…???」
麗子、
「かかかかか。まっ。筋金入りだからね~~。」
秋津を見て、
「ねっ、秋津さん。」
隆英もその秋津と呼ばれる男性を見て。
「秋津…さん…???」
麗子、
「この人、一流レストランのスーシェフやってて。そのレストラン、2つ星なのよ。」
隆英、その声に、
「凄っ。」
「…でも、自分の店を持つ事が夢で。何度もシェフと掛け合い。…で、とぅとぅシェフも、その思いに負けて。」
秋津、そんな麗子に何度も頷く。
「なら。この店、お前の腕で、3つ星にしてみろって言われて。何と、数年後には、見事、その店、3つ星にしちゃったと。」
隆英、
「何と。」
「…で、念願の自分のお店。まっ。このお店、それほど大きくはないんだけど…。それなりに。」
秋津、
「横井土先生には、大変お世話になっております。」
隆英、目をパチクリと。
「横井土って…。…えっ…???」
いきなり麗子、
「かかかかか。」
そして、
「実はね。ここ、私の従兄が、またまた、やってみなって。お手伝いしたお店なの。」
その話に隆英、またまた、
「え~~~~。何とそんな繋がりが…。」
賀寿恵も、
「そぅなんですって。私も初めてこの店、連れて来させられて、初めて知ってびっくり。」
「とにかく。」
麗子、
「食べましょ、食べましょ。折角の絶品料理、冷めてしまう。」
秋津、笑顔でお辞儀を。
佐紀も、
「どうぞ。」
そして麗子も賀寿恵も…。
「う~~ん。これこれ。最っ高~~。」
その頃、某レストランでは…。
梶美耶乃、ふたりいる席に、
「先生。お待たせしてしまい、申し訳ありません。」
先生と呼ばれた男性、日本経済団体連合会、専務理事、榊神埜進(さかきじんのしん)。
口をニンマリと。
「いやいや。構わないよ、うん。構いません。美しい女性を相手にするんでから。幾ら待たされても、はは。実に心地よい限り。」
美耶乃、そんな声に、丁寧に頭を下げて、
「恐れ入ります。…でも、そんな…。…先生…。お口が上手で…。」
「まっ。確かに。…口がある程度、上手でなければ、ある意味、この仕事は…。はははは。…務まりません…。かね。」
その声に美耶乃、可笑しがりながら、口に右手を、そして、
「またまた、ご冗談を…。」
好きになれない。 vol,076. 「特に、あの3人が…。」
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