永遠の途中 -3ページ目

放課後


金曜日、あたしは どうにも落ち着かない一日を過ごすことになった。

明日は学校もお休み。

ひとつひとつの授業が終わるごとに、気分も晴れやかになるはずだった。

普段ならば。


だけど、今日はちょっと違う。

いつもの金曜日のようで、いつもの金曜日じゃない。

今日は、初めて谷くんと会うのだ。

地元の駅前にある、ハンバーガーショップで。



朝からソワソワしてはマイちゃんにからかわれ、

数時間後のことを想像してはドキドキしてしまう。

授業にも集中できるはずもなく、かといって、それを見透かされて 

これ以上からかわれるのも嫌だったので、とにかく何でもない風を装っていた。




そして迎えた放課後。

いつもよりも少し早めに学校を出たあたしとマイちゃんは、

足早に駅へと向かっていた。

まだ、時間的にも余裕はあるはずだ。

でも、そこは女の子。

やっぱり会う前に髪型もセットしたいし、軽くメイクだってしておきたい。

早めの電車に乗っておかないと、もしかして同じ電車に乗られたら困る。


地元の駅に着くと、あたしたちはバス乗り場の隣にある小さな公園のベンチで、

お互いの身なりをチェックしあった。


「うん、オッケー。スカートもう少し短くてもいんじゃない?」

「そう?あ、マイちゃんそれ貸して~」

「うん、実優もうちょっとリップぬった方がいいよ」



まだ日が沈んでないとはいえ、12月の気温は決して温かいものではなかった。

それでも、その時のあたし達は、寒さも感じないくらいテンションがあがっていた。




遠くの空の色が、数分単位で濃くなっていく。

気がつくと、視界は赤に染められていて 

ドキン、と鼓動が早くなっていくのを感じた。



午後4時半。――約束の時間だ。





クリスマスミサ

実優です。


今日、卒業式ぶりに高校へ遊びに行ってきました。


毎年この時期になると、あたしたちの高校ではクリスマスのミサを行うのです。


この日は学校も開放されて、一般の方たちも式典を見ることができるんですが


3年間通って、ただただ時間が過ぎるのを待っていた在学中よりも、


卒業して、数年たった今のほうが、その素晴らしさを実感することができました。




キャンドルサービスや聖歌、神父様のお話


昔は退屈でしかなかったものも、
今では受け入れて それを自分の中で糧にできる。
ロウソクの火が灯るだけなのに、綺麗すぎて泣けてしまう。

成長していないようで、ちゃんとオトナになっているんだなぁ と思えた日でした。


そして何年もたって初めて、

自分があの学校を選んだのは、間違いではなかったという事に気がつけました。


思うように上手く行かない高校生活。
辛いことも沢山あり、何度辞めようかと思ったかわからないくらい、あの学校が嫌いでした。

でも、それでも色んな人たちとの出会いがあって
その出会いだったり経験が、間違いなく今のあたしを作っているんだなぁ
と、しみじみと感じました。

あの頃の自分に感謝です。



学校に行ったついでに、写真も何枚か撮ってきたので
文章に合いそうな場面でアップしていきたいと思います。


あまり分かりやすい写真だと学校がバレちゃうかな(^-^;)



ではでは年末年始の間、更新も頑張ります。

変わる心


次の日の朝電車に乗り込むと、マイちゃんがあたしに手招きをしてきた。


「なに?」

「谷くん。朝も電車一緒だったみたいだね、ほら向こうに友達といる」

小さく指をさした方を見ると、確かに、そこに彼はいた。

電車のドア側に立ち、何人か友達と話をしている。


「あっち、行かなくていい?」

「いやいや、友達もいるじゃん、やめとこうよ」

動きかけるマイちゃんを、慌てて止めた。

話もした事がないのに、いきなり皆の前で初めまして、なんて恥ずかしすぎる。


二人でコソコソと話していると、彼らもあたし達に気がついたらしく

チラチラ見ては、何かを言っている様子だ。


「あぁぁぁ何言われてるんだろう、どうしよう」

ビクビクと心配するあたしに、毅然とした態度でマイちゃんが彼らを見返す。


「今度会う子はどんなだろうって知りたいんじゃない?すごい見てるし、こっち」

恥ずかしくて、あたしは顔も向けられない。


マイちゃんみたいに綺麗でもないし、可愛いわけでもないし、

とてもじゃないけど堂々としていられない。

マフラーに顔を埋めながら、じっと俯いてしまう。





ガタン、と大きく揺れて 電車は一つ目の駅に着いた。

ここで、彼ら北高生が降りる。

ワイワイうるさいぐらいに騒ぎながら、たくさんの北高生がホームへと降り立っていく。

谷くんたちも、その波に紛れて見えなくなった。



ドアが閉まり、再び電車が走り出すと

あたしはホッとため息をついた。

こんなんで、大丈夫なんだろうか。

ちゃんと話できるのか・・・?


「実優、とりあえず押して押して押しまくるんだよ、勢いだからね~」

マイちゃんに諭されながら、電車は次の駅に着く。


今度は西高生が、ホームに沢山溢れている。


速度を落とした電車の窓から、すぐに見つけてしまう岡田くんの姿。




忘れていたのに。

忘れたかったのに。


目が、追っている。

身体が、反応する。



俯き加減で電車に乗り込む彼は、相変らずで

純粋にキレイだと思った。


色の白さも、肩の線も、流れる柔らかい髪も。

こんなにキレイな男の子、きっとどこにもいない。


そう、思うだけで あたしの心はギュッと苦しくなった。



だけど、もうおしまい。

もう、忘れるんだ。





どんより曇った空の下、

電車はゆっくりと、三つ目の駅に滑り込んでいった。