永遠の途中 -2ページ目

久しぶりに


長らく放置しておりましたが(^o^;)


久しぶりに続きを書いてみようと思います。


読んで頂けたら嬉しいです。




頑張ります。

会話

とりあえず、何か話さなくては。

そう思えば思うほど、言葉を見つけらない。


「お前なんか喋れよー」

大島くんが、谷くんの肩を軽く小突く。

「なんかって・・・」

困ったように、彼は目を泳がせた。


「ね、名前なんていうんだっけ?」

大島くんはにっこり笑いながら、あたしに問いかけてきた。

「あ、実優・・・です。」

「実優ちゃんか。今日はねー何でも質問があれば聞いちゃっていいからね。

この際だからどんどん聞いちゃおっか。なーんでも答えるよ、谷くんが」

「俺かよ」

「俺の話し聞いてもしょうがないだろー」


話の弾まない、あたしと谷くんに見かねたのか

大島くんが明るくフォローしてくれ、マイちゃんもそれに乗っかってきた。

「ほら、何座ですか?とか聞いちゃえ~」


2人に持ち上げられる形で、少しずつだけど会話が広がってゆく。


誕生日や血液型、家族構成、好きなアーティスト、食べ物。嫌いなもの。

初めはポツリポツリと喋っていた彼も、たまに笑顔を見せるようになり

あたしはかなり舞い上がってしまっていた。

それでも彼の表情はどこか冷静で、隙がない感じにも見えた。


・・そんな表情に、ついつい重ねて描いてしまうひとりの人を、

あたしは無意識に、頭の中から振るい落とした。



最初は心地よかった暖房も、緊張で顔を真っ赤にさせているあたしにとって、

こんなに邪魔なものはなかった。

これでもか、というくらいに顔の赤みは引く気配もなかった。



時間は刻々と過ぎ、外はすっかり冬の夜の顔をしていた。


大島くんの計らいで、谷くんの携帯番号も聞くことができた。

「今度遊びなよ、電話でもしてさ。また4人で会ってもいいし、2人でもいいし」

「ぜってー会話ないって」

軽く笑いながら谷くんが答える。

「でも、遊びたいよね。実優ちゃん、また谷くんに会いたいでしょ?」

「あ、うん・・・」

「じゃあ、またみんなで遊ぼうね」


最後まで優しくフォローしてくれる大島くんに感謝しつつ、

マイちゃんとの仲が進展するように と、心の中で強く祈った。



確かに、今日は楽しかった。

ドキドキしたし、もっと色々話したいと思った。

ただ、それが恋愛感情なのかはわからない。


実際、谷くんにはそんな気がないのだろう。

何枚もの破れなさそうな壁を感じた。



――その壁を、あたしは壊すことができる?



まだ火照りの消えない頬を、冬の冷たい風が心地よく撫で 通り過ぎていった。



初対面


公園から、東に少し歩いた所に、待ち合わせのハンバーガーショップがある。


入り口ドアの取っ手をグイっと押して、あたしたちは店内に入った。
来店を告げる鐘の音が暖かく店内に鳴り響く。
ふわりと包まれる暖気に、自分たちの身体がどれだけ冷えていたのかを知らされた。
「あったかーい」
「ほんと・・・」
そう広くはない店内を、ぐるりと見渡してみた。
彼はまだ来ていないようだ。
先にジュースでも頼んでいようか、と あたしとマイちゃんはレジへ向かった。

ここのお店は去年、岡田くんに渡せなかったチョコをみんなで食べた思い出の場所。
トリュフだと思って買ったらウィスキーボンボンだったんだよなぁ・・・と
あの時のことを思い出し、懐かしいやら可笑しいやらで 
高揚していた気持ちも、少しだけ落ち着いてきた。
「何にしよーかなぁ。これか、これか・・・」

隣ではマイちゃんがジュースの選択に悩んでいる。

「今日はあたしが出すよ。お礼に」

横からあたしがそう言うと、マイちゃんは目を見開いてこっちを向いた。

「えーっ実優どうしちゃったの?めずらしい!おごってくれるの?」
「なにそれ。あたしだってこれくらいするよー」

確かに、あたしのケチケチぶりは友達の間では有名だった。
大阪のレッスンに通っているめ、バイト代のほとんどはそれにつぎ込まれていると言っても過言ではなく、それに加え携帯料金も払っていたので、
常に節約節約な毎日だった。
そんなあたしが奢るというのだから、マイちゃんもかなり驚いたのだろう。

「ほんとに?やったーじゃあ、今日のフォローはあたしに任せて!」

トレイに乗せられたミックスジュースとミルクティーを持って、
あたし達は奥の方の席へと向かった。
座ってしばらくすると、また 入り口の鐘の音が小さく店内に響いた。
「あ、来たよ」
マイちゃんの声にドキッとしながら顔を上げると、
北高の制服を着た男の子がふたり、こちらに向かって歩いてくる。
少し小柄な身体で、俯きながら歩いているのが「谷くん」で、
その隣にいる、ちょっと背が高くて、にこにこ笑っているのが「大島」くん。


「ごめんねぇ、お待たせ」
明るくそう言ったのは大島くん。なるほど、たしかに爽やかでかっこいい。
「ううん、いいよー。すごい久しぶりだよね~覚えてる?」
同じ中学校というだけあって、マイちゃんも明るく返す。
「覚えてるよ、マイちゃんでしょ。卒業以来だよね」
大島くんとマイちゃんが話している間、あたしはチラリと谷くんの方を見た。
彼も、そんなあたしに気がついたのか ふっと目が合った。

「あ・・・どうも・・・こんにちは」
ぎこちなくあたしが会釈すると、彼も「こんにちは」と小さく返してくれた。

静まっていたはずの気持ちが、どんどん加速を始める。
今まで、片思いの恋は沢山してきたし、男の子の友達も少ないけれど居た。

だけど、恋愛経験のないあたしは、
目の前にいる この男の子を前に、どうすればいいのか分からないでいた。


あたしは、この彼と、どうなりたいのか?
今までの、
考えるよりも前に 身体が動いていた時の恋とは違って
今回は動く前に、考えなくてはいけない気がした。