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『こんな紙切れがなくたって 俺は 自分の気持ちを全うできる!!』
そういいながら 仁王立ちしている男の頭を 麻美は叩いた。
『バカかと思ってたけど バカじゃなくて キチガイ?』
『何言ってんだよ。 俺は こんな紙切れにーーーーー』
『ヒッピーか!! いい?? 私は この紙切れに縛られたいわけじゃないわ。
この紙切れは 約束だの 永遠の誓いだのっていう キレイごとじゃない。
責任っていう もっとずっと 重いものを背負いますっていうサインなのよ!
わかる? 惚れた腫れたなんていう 感情的なこととは 内容が違うの!!』
敦は 麻美のいうことも一理あるよ と声をかけたが またもや 叩かれた。
『一理とか 理屈が通ってるって話しでもないの!! 本当にバカ!!』
自分が信じる 感情的で 扇情的な 本物の愛のために 婚姻届を破いた敦。
自分が求める 合理的で 合法的な愛の形のために 婚姻届を作り上げた麻美。
2人の道がずれたのか それとも ずれかけているだけなのか
麻美にも もう 見定めることが出来なかった。
その日のうちに 香港の両親に 電話をかけた。
父親は 『離婚でもなきゃ 婚約破棄でもない。 じっくり考えるといい』と 男親らしい意見を。
母親は 『そんな失礼なことって あるかしら!』 と 戸籍に傷がつかなかったことに安堵し
すぐに 別れたほうがいい と言って電話を切った。
そして 半年が過ぎ 2人は 恋人でもない 婚約者でもない かといって
友達でもなければ 夫婦でもない 奇妙な関係を続けている。
『俺は 自分の気持ちに忠実に生きてるだけ。 言ったでしょ。
俺は 紙切れになんか 縛られることなく 麻美を愛し続けてくんだよ。』
敦は この言葉を 香港の両親と 自分の母親にも 何度となく電話で伝え そのたび
誰からも 『くだらない』 と言われ続けていた。
みなさんにとって 婚姻届って 大事だった??
それとも どうでもよかった??
私 とーたんとの婚姻届出したとき 書類が 真っ赤に訂正されてさ・・・
すっごく 『できそこない届け』 出したことを 覚えてるわ.
大事に思ってたのに 真っ赤な赤点届け・・・