はい、ちょっとお休みいただいてたガンダム話です。
まぁ、先に言うととてもホワイトデーにアップするような話ではありません。
しかも死ネタです。
避けたい方はお戻りくださいね。
何故早めたかというと、敬愛するPさんに少しでもエールを送りたかったから!!
どん底の内容ですけど。。。m(_ _ )m
ちょっとね、薄桜鬼短編で書きたい話もあったので、アップを早めた次第です。
#1はこちらから → ★
前回の#4はこちらから → ★
アニメ沿いのお話であり、
キャラ崩壊あります。
閲覧注意。
それでも宜しければどうぞ。
いつかはこうなることはスメラギさんじゃなくても、皆うすうすわかっていただろう。
私は苛立ちを抑えられないまま、ガンダムの整備にあたっていた。
畳み掛けるようにして、連邦軍はガンダム壊滅を目的に今まさに攻撃をしかけようとしていた。
刹那が乗るエクシアとGNアームズは地上でのミッションのため、不在という万全ではない状況で。
「○○!キュリオス、ヴァーチェはいけるな」
「いけますっ!!」
無線でのイアンさんの問いかけに応える。
「もう~、ハロって二倍速とかにならないわけ?」
「ゲンカイ。ゲンカイ」
「はいはい、ギリギリまでやってやりますよっ!」
無駄口でも叩かなければ、やりきれない。
自分に対する怒りが込み上げてくる。
私は何のためにここにいるのか。
「…○○!」
「…アレルヤ。…ハロ、ちょっとだけごめん」
アレルヤの姿を見て、少し身体の力が抜けた気がした。
「リョウカイ、リョウカイ」
スッと移動すれば、縮まる距離。
ふわりと浮かんで、アレルヤの頬に両手を添える。
「何、暗い顔してんのよ、アレルヤ」
「○○…」
「今までもどうにかなってきたんだし!これからだってどうにかなる!!ね!」
「そう、だね」
アレルヤは眉根を寄せながら、口元に微かに笑みを浮かべた。
「少なくともキュリオスの状態は万全よ?私が言うんだから間違いなし!」
「○○が言うんだったらそんな気がするよ」
「でしょ?!」
にこやかに笑う私にアレルヤは一つ息を吐いて、私を見つめる。
『こんな可愛くない言葉でしか見送れない私を許して』
顔を近づけて、そっとアレルヤに口付ける。
私をそっと抱きしめるアレルヤ。
身体を少し離して、アレルヤの顔をじっと見つめれば。
それに応えて何も言わずに見つめ返してくれるアレルヤ。
手を伸ばして、彼の左目にかかる髪をかき上げる。
現れた、オッド・アイ。
『…綺麗』
「どうした?」
その声はアレルヤかハレルヤかはわからなかった。
「アレルヤ、ハレルヤをお願い」
「…ハレルヤ、アレルヤをお願いね?」
少し見開いた瞳。
その表情に私はそっと笑みを向けた。
私はかきあげていた髪をそっと直す。
グレーの目は優しさを浮かべた。
私はキュッと口を結んで、その瞳を見つめる。
…ねぇ。
胸が締め付けられて苦しい。
辛いよ、アレルヤ。…ハレルヤ。
「さぁ、行った行った!私も忙しいの!」
アレルヤの両肩を気合を入れるように両手で叩く。
「…行ってきます、○○」
「行ってらっしゃい!」
私は上手く笑えていただろうか。
離れていく彼を見つめながら思う。
「アレルヤ!」
「…また、会いましょ?」
振り返ったアレルヤは少し目を見開くも、
目を細めて、了解というように手を上げた。
その背中を少し見つめたあと、私はデュメナスのエリアへと移動した。
「ハロー、アンタ分身出来ないの??」
「ムリ、ムリ」
「○○!そっちはどうだ?!」
「最低ラインまでは出来てるけど、どうもこうも時間足りなさすぎ!!あいつらムカつくーっ!」
別のエリアにいるイアンさんと通信をしながら、手を動かしながらも、
苛立ちを発散するため口も動かす。
「○○」
呼びかけられた声で目を見開く。
ゆっくりと呼びかけられた方向を向けば、
そこにいたのは…勿論、彼。
「ロックオン…何、してるの?」
「○○、出してくれ」
何事もないかのようにいつもの飄々とした表情で私を見つめる。
「出撃…するの?」
「当たり前だ。こんな状況で出なくてどうする。それに…GNアーマーもつけてくれてる。
ここまで出来てんなら上等だ」
デュメナスに視線を向けて口角を上げるロックオン。
万全ではない。
本当にギリギリのライン。
それは彼もわかっているはずで。
「…ごめん。本当に時間がなくて」
自分が情けなくなって、申し訳なさで歯を食いしばる。
「んな、泣きそうな顔すんな。お前が謝ることじゃねえよ。
それよりもまたぶっ倒れるなよ。まぁ、寝顔は可愛いけどな」
「なっ!…いつ見」
ロックオンに伝えようとした言葉は
彼の唇で塞がれた。
「…な、」
目を見開いて何も言葉が出ない私。
「おし、気合出た。ちょっくら行ってくる」
ニヤリと笑って軽い言葉を残しながら手をヒラヒラさせ、コックピットへと身体を向けるロックオン。
「…っ!待って!」
無重力空間で振り返る彼の首元に腕を絡めれば、驚いたように目を少し見開いた。
でもすぐさま目を閉じて、私をきつく抱き寄せる。
私は彼の負傷した右目を守る眼帯にキスをした。
首元に絡めていた腕を解いて、私たちの近くを飛びまわっていたハロに手を伸ばす。
ロックオンは浮かび上がる私を離すまいと今度は私の胸元に顔を埋めた。
ハロを捕まえた私はハロに軽くキスをする。
「ハロ…、ロックオンを宜しくね」
「マカセロ、マカセロ」
ハロに向かって笑っていれば、胸元から不服そうな声が上がってきた。
「おいおい、お前から俺にキスはないのか?」
軽く睨んでくる視線を私は笑いながら返す。
「ロックオン、甘えん坊なんだ?キスはさっき奪われたし。
そうだね…、アレルヤは怒るだろうけど、無事に帰ってきたらキスくらいしてあげてもいいかな?
いってらっしゃい、戦友」
クセのある髪を優しく一撫でして、精一杯の笑顔を向ける。
「ああ、いってくる」
細められた目。
でも口元には笑みが浮かんでいた。
GNアーマーで出撃したデュナメスを見送る。
「おい!○○!!デュメナスを出したのか!」
駆けつけたイアンさんの言葉に私は笑い返して次の作業へと移った。
イアンさんは私を責めることはしなかった。
きっとイアンさんでも彼にお願いされれば出していただろうから。
どれだけの時間が経っていたのだろう。
作業に没頭していた私は不意に自分の中で糸が切れる感覚を覚えた。
どっと押し寄せる疲労に飲み込まれないように静かに長く息を吐く。
その時、ハロの通信が耳に届いた。
「ロックオン、ロックオン、ロックオン、ロックオン…」
何度も繰り返されるハロの声。
艦内に響き渡った。
目を見開き、息を飲む。
強張る身体。
その意味を理解するまでに時間はかからなかった。
「…ロックオン…?」
まるで何もない闇に突き落とされたような感覚。
胸を引き裂かんばかりの痛みが走る。
目の前が歪んでいく。
目を閉じ、割れそうな頭の痛みを右手で額を押さえる。
機械音が止まないこのドッグ内なのに、
ハロの無機質なのに悲しみに満ちた声しか響かない。
…届かない。
出撃前のロックオンの姿がスッと脳内に甦る。
胸元にあったぬくもりも、
唇に灯った微かな熱も、
まだ思い出せるのに。
いつかは、
いつかこうなるかもしれないということは。
わかっていた。
それでも。
身体中が悲鳴を上げた。
溢れた涙が空間に浮かび上がる。
ああ、誰か。
世界を止めて。