薄桜鬼・妄想現パロ短編【You were close to.】♯2 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。


現パロ。


土方さんのお話。


隊士たちは美容師設定です。


前編はこちらから → 




因みに同じ設定で左之さんの話はこちらから → 



キャラ崩壊してます。


それでも宜しければどうぞ。
















翌日。


今日は春めいていて暖かかったから、ワンピにジャケットを羽織ってみた。



出かけるとき親に

「何?トシくんとデート?」

なんて言われてしまって恥ずかしくて全力で否定してみた。



今まで彼氏がいなかったわけじゃない。

それなりにはいたけど。


トシもあんな綺麗な顔だから彼女もいたわけで。


それでも私の中でトシの位置は揺るぎない。



いつでも…その場所にいた。



『親友に近いのかな…。トシと甘い雰囲気になったことなんてないしなぁ…』

なんて考えながら美容室へと歩いていく。




階段をあがって、定休日だからガラスのドアをコンコンとノックすれば、
中からガチャリと鍵が開く音がする。


ドアを開けてくれたトシに『おはよ』と声をかければ「ああ」と声が返ってくる。



室内に入ればマネキンと周りに散らばる髪の毛。



「どうしたの?」


「ああ…。女の髪の毛切るの久しぶりだからな。確認がてら練習ってとこだな」



私はふとトシが美容師になりたての頃を思い出した。


よくマネキンで練習してたっけ…。


トシの白く長い指が髪を少しずつ取りながらカットしていく。


そしてその真剣な眼差しと綺麗な横顔も…つい目で追ってしまう。



それは今も変わらない。




「そこのソファに荷物と上着置いておけよ」


「うん」


荷物を置いて、トシが待ってくれてる椅子の前に行き腰を下ろす。



「悪いが今日はカラーとかパーマは出来ねぇぞ。やりたいなら原田か総司にしてもらえ」


「うん、今日はカットだけでいいよ」


「で。どうするんだ?」

トシの細く長い指がそっと私の髪を梳っていく。



「ん~、もう春だから短く行っとこうかな。顎のラインくらい」


「前髪は?」


「多くていいけど空いてほしい。細かいとこは任せる」


「了解。じゃあ頭洗うぞ」



移動してシャンプーしてもらいながら、改めて店内が静かなことに気付く。



『…二人きり…』



後頭部の泡を流すために頭を抱えられる。


鼻に掠めたトシの煙草の匂いに混じった香水の匂い。


何だか急に恥ずかしくなってきて、顔にかかってる薄いハンカチに感謝した。



洗い終われば背を起こしてタオルドライ。


トシはその後に頭皮のマッサージもしてくれた。



「お前、頭こってるな」


「うん、気持ちいい」

目を閉じて、気持ちを零す。



「…そりゃ良かったな」


「トシも後でやったげるね~。眉間の皺も伸ばしてあげる」


「うるせぇよ」

茶化したように言えば、喉の奥でクッと笑っていつもの口癖を返された。




また鏡前に戻ってからは雑誌とかも読まずに、トシとずっと話してた。



お互いの仕事のこと。


最近顔を見てないお互いの家族のこと。




「…お前、最近男でもいるのか?」


「いないよ、何で?」

鏡越しに目をあわせながら答える。



「いや、…珍しくワンピースなんて着てるからな」


「ああ、何となく。今日暖かかったし。何?変てこと?」


「そんなこと言ってねぇだろ。…似合ってる」


「…ありがと」


トシの褒め言葉は凄くくすぐったくなる。

それを隠すために視線を逸らせて言葉を零した。




髪を切っていく音が沈黙を埋める。




「…トシは彼女…いないの?」」

視線を外したまま今度は私が問いかけてみる。


「ああ、今はいないな」


「へぇ、意外」

眉を上げて鏡越しに表情を窺えば交わる視線。



「…どういう意味だよ」


「いや…、だってもてるでしょ?それが嫌で1階にも行ったんだし」


「いくら女が寄ってきたって、好きな女じゃなきゃ意味ねぇだろうが」

一つ溜め息を零したと思えば、視線を私の毛先へと向ける。



「…それは…わかるけど」



「…ホントにわかってんのか?」

手を止めて鏡越しに私をじっと見つめるトシ。



「…どういう意味?」

私が問いかければ眉根を寄せて言葉を零した。



「…それをわかってねぇって言うんだよ」

意味がわからない私はトシの言葉を頭で繰り返していた。





トシは鏡の裏にある大きな手鏡を持つ。


「…出来たぞ。これでいいか?」


「流石。うん、いい感じ!ありがと!」

私が笑顔になれば応えるように口元に浮かんだ笑み。


「ほら、髪流しに行くぞ」

両肩をポンと撫でられ、椅子は反転させられた。




シャワーが終わると髪を乾かしてもらって、最後の仕上げをしてくれる。


鏡の中に映る私はさっぱりした顔になってて。


自分でもいい顔してると思った。



「いいか?」


「うん、すんごくいい!トシ、ありがと。トシに切ってもらってやっぱり正解だった」


「どういたしまして。…指名料取るぞ?全く」

笑みを浮かべながら、ひとつ息を吐いたトシ。



「…じゃあここ片付けるからちょっと待っててくれ」


「うん」


移動してソファに腰掛けて頬杖をつく。


そして片づけを始めるトシをぼんやりと眺めていた。




「…何だよ、人の顔じろじろ見やがって」


「ん~?いい男だと思って」

表情を変えずに思ったことを素直に言ってみた。


「馬鹿にしてんのか?」


「してないよ」

眉間に皺を寄せるトシに口元に笑みを浮かべて応える。



トシは顔を背けて、ブツブツ言いながらバックに入っていく。


その後姿が何だか可愛くて笑みが零れた。






バックから出てきたトシはそのままドアへと向かう。



「え…トシ、会計してないよ?」

眉を上げて問いかける私。


「ああ、いい」


「え!ダメだって!何で?」

私は慌ててソファから立ち上がる。



「お前は俺のカットモデルになったってことでいい」


「ええ!そんなのヤダ!」



「…じゃあこの後付き合え。飯行くぞ」


「へ?」

思ってもなかった言葉に目を丸くする。



「どうせ暇なんだろ?ほら、行くぞ」


急かされた私は慌てて鞄を持って、少し開けてくれていたドアの隙間に身体を滑り込ませた。









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。。。うん、終わんなかったよ。











みふゆ