薄桜鬼・妄想現パロ【Step before the start of the love】#10 | 浅葱色の空の下。

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薄桜鬼に見事にハマってしまったアラサーのブログです。
拙いですが、お話描いてます。
まだゲームはプレイしてません!色々教えてやってください。

少しずつフォレストにもお話を置いていっています。お楽しみいただければ幸いです。

第1話はこちらから → 



現パロ。


隊士?たちは美容師さん設定です。



キャラ崩壊あり。



それでも宜しければどうぞ。


















バレンタイン前日、仕事を早めに終わらせてチョコを作った。



総司さんと平助さんにはプラリネのショコラ。


左之さんにはザッハトルテ。



深夜までかかってしまったけど、多分美味しい…はず。






そしてバレンタイン当日。


少し寝坊して慌てて家から出る。


会社に持っていこうかと思ったけど、休憩室は結構暑いし溶けても嫌だから、家に置いておいた。




神様は優しくない。


早く帰りたい日に限って面倒な仕事が舞い込んでくる。


私は早く仕事を終わらせたくて文字通り『必死』だった。

未芙柚には「美奏さん、顔が怖いんですけど…」って言われたけど。



何とか仕事を終わらせたけど…。


『駅に着いて、家に取りに行って、店に行ってたら閉店ギリギリかも…』


駅に着いたら早歩き。


家に着いて、着替えずにチョコをバッグに入れて姿見だけ覗いて、また家を出た。



中のチョコをずらさないように気をつけながら、早歩き。





この時の私は今日という日のことをあまり深く考えてなかった。



何かを伝えることじゃなく、

ただ、彼に会いたかった。


一目だけでも会いたくて。





店の前に着いたころにはもう息が切れていた。



一階はもう室内も暗くなっていて。


二階に上がっていくと…。



中の電気はついてたけど、ブラインドは下ろされていた。



『あ…。どうしよ…』

息を整えながら考えていると、近づいてくる人影が見えた。



ブラインドを少し下げた指。


中からドアが開けられた。



「やっぱ美奏か」

笑顔で迎えてくれた左之さん。



その笑顔を見ただけで、胸がきゅっと締め付けられる。



「入れよ、寒かっただろ」


「はい、ありがとうございます」

開けてくれたドアに身体を滑らせて、笑顔でお礼を言う。



「お!美奏じゃん!」


「いらっしゃい、美奏ちゃん」

平助さんと総司さんが笑顔で迎えてくれる。


「良かった…。間に合ったんですね」

私は安堵の息を吐いた。



「平助が『美奏は絶対来るから待つ』ってうるさくてさ」


「う、うるせぇよ!欲しいって言ったのにいなかったら感じわりぃじゃん!」

総司さんが片眉を上げて平助さんを見れば、平助さんは頬を少し赤らめて応える。


「皆さん、いてくれて良かったです」

二人のやりとりに笑みが零れる。



「あ、美奏ちゃんごめんね。僕たちこれから用事があるから、先に僕たちにくれるかな?」


「は、はい」

総司さんの言葉に慌ててバッグからチョコを取り出す。



「お口に合えばいいんですけど…」


「ん、きっと美味しいと思う。後でゆっくり頂くね。ありがとう。
美奏ちゃん、これからもよろしくね」


「?は、はい。これは平助さんの…」

何だか意味ありげな笑みを浮かべる総司さんを気にしつつも、平助さんにもチョコを渡す。


「あーりーがーとー!美奏!!俺、家まで我慢出来ないかも」

はしゃぎながらチョコを受け取ってくれて、素直にその反応が嬉しい。



「じゃあ、僕たち帰るから。またね、美奏ちゃん」



「へ?そう…なんですか」


「左之さんお疲れー。美奏、またなー。左之さんを宜しくー」

ドアを閉めた向こう側で、平助さんが『ぐぇ』って言ったのが聞こえた。




「…」


ドアの向こうを窺っていると、感じた視線。


慌てて、バッグから左之さんへのチョコを取り出す。



「あ…あの。これ、作りました」


「おぅ。ありがとな」


「美味しいか…わかんないですけど」


「いや、美味いだろ。ここで一緒に食べるか?」


「いえ、…お家で食べてください…」


「そか…」


何だか恥ずかしくてずっと俯いてしまった。



途切れた会話。



訪れてしまった沈黙。



『ダメだ、何にも考えられない』


顔が赤くなるばかりで、言葉が上手く出てこない。



『私は何が言いたいの?』



前のカレシと別れてまだ2ヶ月も経たないし…。


でも気付いた気持ちは隠せそうもない…。




「…帰る、か…」


「…は、はい」



左之さんがバックに入っていく。


その後姿を見ながら溜め息を吐いてしまった。



『…何、やってるんだろ』


何だか自分が情けなくなってきて、涙が浮かんできた。




「電気消すぞー」


その声に私は入り口の前に立つ。



パチンと消された電気。



ブラインド越しに微かに外からの光が入ってきて。


ぼんやりと浮かぶ室内。




カツカツと近づいてくる足音。



高鳴る胸の音と締めつけが、もう苦しい。



暗い中、うっすらと浮かんだその表情はやっぱり優しくて。



「お待たせ」

私にそっと笑って、ドアの取っ手を持つ。



思わず私は反対の腕を掴んだ。



少し驚いて見下ろす瞳を真っ直ぐ見つめて。



震える唇をぎゅっと食んで、小さく息を吸った。





「…好き、です」




想いを告げた唇は、唇で塞がれた。



予想もしてなかった私は目を見開いたまま、動けなかった。











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うん、終われなかったwww











みふゆ